皆様 5月25日(土)の研究会の報告です。参加者は4名でしたが、それぞれご都合があり、本日は、5時30分までの1時間でした。
この1時間は、2名の参加者が作成した、「電車」の名詞文についての話し合いに使われました。名詞文を書こうとする時、辞書や百科事典をどのくらい参考にするかが話題となりましたが、提出された名詞文と田原先生の作られた「『大根』についての名詞文」をお読みいただいたほうが、話し合いの内容の詳述をお読みいただくよりも、得るところが大きいと考え、そうさせていただきます。なお、「ニューズレター1008号」についての話し合いは、本日は行いませんでしたので、次回にまわさせていただきました。
青山恒久
一名の方の名詞文
電車 電動車の事。また、電動車を動力車として仕立てた列車。電動機を原動機とする客車、貨車。およびこれを連結する付随車,制御車
もう一名の名詞文
<電車というもの>
<形> 大きさ 長方形
<型> 固さ 直方体
乗客を乗せてレール上を移動する乗り物。車体は鉄製で大きく、角ばっている。
<電車ということ>
地上に敷かれたレール上を走行することによって、乗客を運搬する乗り物。電力によって、車輪を回転させる。レールに接した駅で乗客は乗降する。
<名詞文>
乗客を乗せて地上に敷かれたレール上を移動する乗り物。車体は鉄製で大きく、電力によって車輪を回転させて移動する。乗客は駅で乗降する。
田原先生の作られた「『大根』についての名詞文」
「大根」は普通名詞です。この「大根」の名詞文を書くというときは、「大根」の本質となる「意味」を正しく知る必要があります。
ここで「意味」とは、二通りの内容があると理解することが重要です。
例…「大根」の二通りの意味とは?
一つめ…形(長さ、円形)
型(太さ、円柱型)
二つめ…食材としての性質、交換価値(成分、栄養価、保存期間による有用性など)
この二つの「意味」をひとつにまとめて言い表すとそれが「大根」の変わらない特質を言い表すことになります。この変わらない特性が「大根」の定義です。この定義が「概念」です。
フォームで名詞文を書く初めに「もの」と「こと」の名詞文を書いてくださいと伝えています。
だから「大根というものは、直径5センチから10センチくらいの太さで、長さは20センチから30センチくらいの根菜である」と言い表されます。
「こと」の「名詞文」は、「大根は根菜の食材である、外皮も中身も白色で、水分、せんいが多くジアスターゼ、ビタミンCを含み、生では数日で腐敗するので干すとか漬けるなどの加工した食材も大根だとされる野菜のことだ」と言い表されます。
この「もの」「こと」の二つの名詞文も「概念」を説明しているので、「概念思考」の基準をつくっていることを理解しましょう。
「概念思考」とは、「もの」(形、型、場面)を意味とする対象の説明か、もしくは「こと」(大根の例でいうと「大根の性質」「大根の有用性か交換価値」)を意味とする対象(大根)の説明か、のいずれか、もしくは両方のことをいいます。
この「もの」と「こと」のいずれか、もしくは両方が「概念」です。
この「概念」が判断の基準になります。
令和3年11月度「月報」