作家の山口 恵以子先生。ごきげんよう。お忙しい時候に大変恐縮ですが、どうか、私の悩みを聴いてくださいませ。私には父親の違う2歳違いの妹がいます。彼女が非行に走りだしたのは、中学3年生の頃からです。暴走族まがいのボーイフレンドと、気にくわないレコード店にガラス瓶を投げ込みました。免許も無く乗りこなせもしないバイクに乗り、警察に補導されたこともあります。結婚相手も探す気がないのか、不倫もしました。介護に明け暮れる元妻から男を横取りして、偽装再婚した後で、飽きて離婚したこともあります。そんな妹ですが、私には唯一の家族です。父親の考え方を理解できれば、母親の呪縛から解き放たれる日が来ると甘く考えていました。正直に言えば、私自身、自分の人生を生き抜くことに夢中で、現実に目を向けていませんでした。ところが、妹と信じ込んで疑いもしない井本が、私の本当の家族ではありえない事実に直面しました。私の母親は、私の父親も常日頃「汚い」と拒絶しました。小学生のころ一度だけ、父母の性器を結合する場面を目撃したことがあります。母は、父の男性器を馬鹿にしくさって、「ほら!まだか?いかんか?萎みよるぞ」と罵倒しました。父親は自分の手で自分の性器をしごくのですが、「くそ!くそ!」と落ち込むのです。そんな父親の哀れな様子を、母親は嘲笑していました。そんな遠い記憶を、今更思い返すのは、父親の遺体を「汚いから触るな!」と私に命令した時からです。
作家の山口 恵以子先生。ごきげんよう。お忙しい時候に大変恐縮ですが、どうか、私の悩みを聴いてくださいませ。私には父親の違う2歳違いの妹がいます。彼女が非行に走りだしたのは、中学3年生の頃からです。暴走族まがいのボーイフレンドと、気にくわないレコード店にガラス瓶を投げ込みました。免許も無く乗りこなせもしないバイクに乗り、警察に補導されたこともあります。結婚相手も探す気がないのか、不倫もしました。介護に明け暮れる元妻から男を横取りして、偽装再婚した後で、飽きて離婚したこともあります。そんな妹ですが、私には唯一の家族です。父親の考え方を理解できれば、母親の呪縛から解き放たれる日が来ると甘く考えていました。正直に言えば、私自身、自分の人生を生き抜くことに夢中で、現実に目を向けていませんでした。ところが、妹と信じ込んで疑いもしない人物が、私の本当の家族ではありえない事実に直面しました。私の母親は、私の父親も常日頃「汚い」と拒絶しました。小学生のころ一度だけ、父母の性器を結合する場面を目撃したことがあります。母は、父の男性器を馬鹿にしくさって、「ほら!まだか?いかんか?萎みよるぞ」と罵倒しました。父親は自分の手で自分の性器をしごくのですが、「くそ!くそ!」と落ち込むのです。そんな父親の哀れな様子を、母親は嘲笑していました。そんな遠い記憶を、今更思い返すのは、父親の遺体を「汚いから触るな!」と私に命令した時からです。私と、私の親が汚いと罵られる理由の一つは、B型肝炎です。父の本当の娘は、B型肝炎の予備軍だから汚いそうです。でも、私は、父のDNAを継承していない妹が怖ろしくてたまりません。私はズルい女です。母親の本望は、父が引き受けない妹を、私に押し付けたいのです。でも、私は耐えられません。そんなことばかり考えていると、本当に死にたくなります。田原克拓先生には、生涯ご恩返しできなほどの救済をしていただきました。私が、こんなふうに死にたい。この方法だと苦痛もなく、眠るように死ねるからと相談すると、強くお叱りをいただきました。今も、毎日、折に触れて「ありがとうございました。」と唱えています。