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平成28年3月1日、 最高裁は、認知症(痴呆症)の 男性(91歳)が徘徊して 電車にはねられる事故に たいして、「家族に 賠償責任はない」と 判決した。 認知症(痴呆症)の人が 起こした 他者に与えた全ての損害が 免責になるわけでは ない。 しかし、認知症(痴呆症)は、 賠償をともなう トラブルを起こしうる。 その認知症(痴呆症)は あなたにも起こる、ということだ。 予防と治し方を教える。
《ケーススタディ》
2007年12月7日。 愛知県大府市のJR東海の線路に入った認知症(痴呆症)の男性(91歳)が疾走してきた電車にはねられて死亡した。
「列車の運行に支障が生じた。振り替え輸送の費用が発生した。 そこで監督義務のある妻(当時85歳)と長男(当時50歳)に720万円の損害賠償を求めた」(JR東海)。
男性に認知症(痴呆症)の症状があらわれたのは2000年12月だ。 食事のすぐ後に「食事はまだか?」と言い出した。 夜と昼の区別がつかなくなって、昼まで寝て夜はいつまでも起きている。 玄関先で排尿する。 突然、怒鳴る。 「ここはどこか」の場所の理解もないのに外出したがる。徘徊してどこに行ったか分からなくなるので玄関にカギをかけた。すると、外出したがる男性は暴れた。
警察庁によると徘徊で行方不明になる人は年間1万人を超える。 2014年には、行方不明の429人が死亡していた。 線路に立ち入って人身事故を起こしたケースは、この10年間では130件数起きている。
事例の妻は、徘徊をひんぱんに起こす認知症(痴呆症)の男性の着衣に連絡先を書いた布を縫い付けた。玄関にはセンサー付きのチャイムを設置した。 長男は、横浜市に住んでいたが、長男の妻が転居してきて、介護した。 長男は、横浜市から月に1回から3回、週末に実家に通った。 これが約7年間つづいた。 |