[4644-2] 谷川うさ子 2016/12/29(木)14:24 修正時間切れ
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問題は、「知らないよ」「よく分かんなーい」と言う人は、「知らなくて困った」「知らないこととはいえ、とんでもなくみっともないことだ」とは誰も思わないでしょう。 この「困っていない」「知らなくてもいっこうに平気」「知らなくても今日と同じように明日も、今年中も、来年もうまくいく、だいじょうぶ」「きっといいことがやって来る」と思っているのが日本人です。
●日本人の要介護の現在。女性が圧倒的に多い
日本人の要介護者は、607万人。 このうち男性は「187・5万人」。 女性は「420・3万人」。
認知症があったり、病気やケガで心身が不安定な人、支援や介助が必要な人は「介護保険」が始まった平成12年以来、毎年増えつづけている。 当初は「218万人」だった。この15年で2・78倍に膨れ上がっている。 (厚生労働省調べ)
この日本人の現実を「自分のことじゃない」「自分の親のことでもない」「介護殺人など、自分が行なうはずがない」と思っているのが、日本人の「認知症(痴呆症)」の症状が顔をのぞかせているところです。
吉本隆明は『共同幻想論』の「禁制論」で、「意味が分からなくても、仕事の中の言葉(名詞、抽象名詞)など知らなくても、手足の動かし方を憶えれば、そのくりかえしの行動が仕事のルールになる」(黙契)と説明しています。 「他者が、ああしろ、こうしろと言い、ああしてはいけない、こうしてもいけない、と言うその言葉が共同の秩序になる」(禁制)と説明しています。 日本人は、古代から現代も、食糧を手に入れるための「仕事」「労働」を「黙契」と「禁制」のとおりにおこなってきています。
●日本人は、知的学習能力のある人、無い人が二極化している理由
この「黙契」と「禁制」は、吉本隆明ふうにいうと、大きな疑問を浮び上がらせます。 古代の日本人は、確かに日本語(和語)は、ア、イ、ウ、エ、オの「ひらがなの言葉」だけを話していました。 だから、「自然」だとか「考える」とか「現実」といった言葉は知りませんでした。すると、ぼんやりとしたもうろう状態のまま毎日が過ぎていく、ものごとを比べたり、違いを分かるといった思考の能力は無かったと考えられます。 しかし、現代の日本人は明治以降、欧米の文明や哲学、抽象の規範概念(時制、法、民法、など)が輸入されています。 当時の明治の知識人は、欧米人と同じ「空間概念」や「空間構造」(言語の中でも名詞、抽象名詞など)を学んで習得しています。 それなのに、厚生労働省の発表にみるように、古代人と全く変わらない強迫観念や分裂病、うつ病の病理症状(認知症)が現代の日本人にも発生しつづけているのは一体、なぜか?という問題です。 |
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