みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●投資先をなくしている金融資本主義の日本と世界
昨年2008年の秋(9月)に「アメリカ発の金融システムのバブル」が崩壊して、一年以上がすぎました。この一年間、「金融のバブル」が膨張させた「消費と需要の期待価値」は、「レバレッジ」という概念から、今は、債務に変わりました。
ポルソナーレは、この「レバレッジが変化した債務」を「バブル性の観念」に当る、と再定義しています。
「バブル性の観念」とは何か?といいますと、経済概念では「期待価値」のことです。「期待」とは、「いつかどこかで実体性のある価値に変わるだろう」と美化して、快美感とともに信じて、その期待した何ごとかのイメージのとおりに行動する、ということです。
●お金が、現実に向かわなくなっている
「アメリカ」の「金融商品」を売る会社は、金融工学を使って「金融派生商品」という「レバレッジのかたまりの期待価値の金融商品」をメーカーのように生産しつづけました。
「金融」とは、還元すれば「マネー」のことです。「マネー」とは等価交換の機能をもつ「お金」のことです。本来は、「実体経済」という「実物の物(もの)」や「人間の労力や精神活動の価値のサーヴィス」に「一義性」をもつ量と、お金を使用する社会の中の循環の速度に裏付けられて存在すべき性質のものです。この「一義性」の部分が取り出されるというのが本来の「期待価値」の意味です。ふつうにいえば「投資」ということです。この「一義性」には「期待どおりには実体経済を実現しない」ということもあります。それが「リスク」であったり「損失」といわれるものです。穀物に投資しても、天候やその他の影響で生産量が少なかったり、多すぎるということ、また流通コストがかかったり、需要という市場の変化で実体経済にむすびつかないなどが「リスク」です。この「リスク」を初めから予想した投資のことが「投機」といわれるものです。
●お金にも「性格」がある
投機か、投資かに向けられる「お金」のことを「資本」といいます。この「資本」のもつ「一義性」の意味に注目して、「マネーとは、じつは情報のことだ」と定義している人もいます。なぜ、「マネー」が「情報」なのか?というと、「お金も何に使うのか?」という使い方の中身に注目しているからです。
「お金」というものの根本的な性質があります。それは、何もしなければ減っていく、というものです。人間は、ただ生きているだけで何かを消費します。
空気、水、食料、熱や光のエネルギーを消費するでしょう。ここで「お金」が消失します。そこで、この消費して消えて無くなるものを補い、消費という「消失の拡大」を安定させるために「投資」が必要です。ここまでは、一般的な「経済学」が話すところなので、どなたもよくご存知のところです。
問題は、この「投資」を「情報」ととらえる立場があるということです。
「投資」には、二通りがあるということに注目する人がいるということを意味します。
一つは、「物」への投資です。
もう一つは、「観念」への投資です。「物」と「観念」とは不可分一体のように見えますが、実は、別々のものです。「投資」としての「観念」とは?についてご説明します。
●アメリカ人の教育への投資の考え方のアンケート。生徒・親・教師の発言
『人はなぜ、エセ科学に騙されるのか?』(C・セーガン。新潮文庫)の中で『パレード』誌が、読者にたいして「アメリカの教育の現状についてどう思うか?」と質問し、これに答えた読者の意見が紹介されています。
◎ミネソタ州高校一年生の回答
- 「アメリカ人がバカなのではなくて、学校の成績がひどく悪いだけだと思う」
- 「アメリカ人がよその国の人のように賢くないのは、いいことだ。なぜかというと私たちは製品を輸入すればよくて、そういう部品を作ることばかりにお金を使わなくてもすむからだ」
- 「生徒は宿題をやらずにテレビをよく見ています。私もよくテレビを見ています。前は一日、4時間見ていましたが、これでも減らしたのです」
- 「たしかに、アメリカにはやる気のない子もいます。でもその気になればどの国の子よりも賢いと思う」
- 「悪いのは学校ではない。ぼくのお母さんも、ぼくの宿題を手伝わされるよりはぼくがバスケットボールをやっているのを見ている方が好きなようです」
- 「アメリカの子は、バカだとは思いません。たいていの子は働いているし、あまり勉強しないだけです。アジア人はアメリカ人よりも頭がよくて何でもよくできるという人がたくさんいるといいますが、それは違います。彼らはスポーツができません。スポーツをやる時間がないのです」
- 「アメリカが一番になろうと思えば、私たちは一日中、ずっと学校で勉強しなければいけなくて、人と付き合う時間がなくなってしまうでしょう」
- 「先生たちがもっとおもしろい授業をしてくれれば、たぶん、生徒も勉強したくなると思う。科学がおもしろければ、生徒は勉強します。そのためには、もっと小さいうちから始めなければならないし、教え方も、細かいことばかりやっていてはだめだと思う」
- 「小学校5年生で33時間も勉強するなんて、ぼくの意見では多すぎます。それじゃフルタイムの仕事と同じくらいです」
- 「私たちは理科や数学の成績が悪いかもしれませんが、あなたももう少し、思いやりのある書き方をしてくれませんか。もう少し、自分の国のアメリカとその力に誇りをもってください」
◎親たちの意見
- 「子どもが人間として完成されるためには、親が無知であってはならないのです。親たちにそれが分かっているのでしょうか?家に本はありますか?虫メガネは?百科事典は?子どもたちの勉強を応援していますか?」
- 「親が子どもたちに教えるべきは、根気と忍耐です。親が子どもに与えてやれる最高の贈り物は勤勉の精神です。口で言って聞かせるだけではだめです。親自身が勤勉に働き、絶対にくじけない後ろ姿を見せなくてはなりません」
- 「仲間からの圧力はすさまじいものがあります。気の弱い子どもは、理科で良い成績をとると目立つというので嫌がります。私の娘は、もともと科学が好きだったのですが13歳か14歳のころには興味をなくしたようです」
◎教師たちの意見
- 「教員養成の仕方が悪いからくだらない教師が山ほどできるのだ」
- 「教師もカリキュラムも最低レベルのどん底です」
- 「考えるよりも暗記する方が楽ですが、子どもたちには考えることを教えなければなりません」
- 「教師は、生活指導や社会教育科目にやたら時間をとられています。自分の判断で何かできる雰囲気ではありません。お偉方がいつも目を光らせているからです」
- 「息子は、クラスメートに比べて学年分くらい読む力が遅れているのですが、そのまま進級させられてしまいました。学校側の説明を聞きましたが、社会的な配慮ばかりで、教育的な配慮はなされていませんでした。留年させてもらえなければ、息子は決して追いつけないでしょう」
●日本人の教育への投資不在の現状
■「観念」とは、二とおりの内容があります。一つは、態度や姿勢、行動にあらわされないイメージだけを思い浮べること、です。もう一つは、ここにご紹介しているように自由に、自分の言葉で考えることを「公」(社会全体)に向かって、社会的に意味のあることを表現することです。
日本人は、学校ではなく、また家庭の中でもなく、「企業」にそれをゆだねてきました。
企業は、その企業の内部でしか通用しない「言葉」のためにコストをかけてきています。その「企業」が永久雇用制度を止めて、年功序列型の賃金制度を止めると、日本人の一人一人は、ここにご紹介しているような自由な発言の能力をなくしている、というのが、日本人の「観念」への投資不在の姿です。
●日本人の日本語の文法に自由な発言の能力の低下の原因があります
■ポルソナーレは、日本語そのものの文法に、ここにご紹介しているような、よくも悪くも自由な発言の能力を阻害するメカニズムがあるということをつきとめました。『谷川うさ子王国物語』は、そのための実践実技版の通信教育のテキストです。関心のある方は、こちらからお問い合わせください。
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