ポルソナーレ 新・脳の働きと心の世界 「個人べつの症例とカウンセリング」 その1 |
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ポルソナーレには、この30年間くらい、たくさんの心のトラブルにかんするご相談をいただいています。 そこで、日本人の心の病いとはどういうものか? その脳の働き方とは、どういうものか? このインターネットの時代で、ひとりひとりの心の世界はどうなっているのか? を個別の相談に即してのカウンセリングをご紹介します。 ※ なお、ご紹介する個別のご相談はいくつかの相談を合成しています。ある特定の個人とは無関係です。住所、年齢、職業もつくり変えられています。連載に先立ってあらかじめお断りいたします。 |
No.1 母親の因果が娘に憑く |
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■ ガス症で困っています。デートもままなりません。結婚できますか? (山田京子。女性。26歳。大阪府大阪市。学校職員) 私は、独身です。もう間もなく26歳になります。私の悩みは「放屁癖」です。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング 山田京子さん(仮名)は、13年間、ガス症で悩んできています。山田さんのガス症は、家の中でもいつの間にか気がつかないうちにガスが出てくるが、しかし家族の間では全く気にならないというものです。しかし、いったん家の外に出ると、道路でもガスが出てくるし、職場の中でもガスが出てきて困る、という症状です。まわりの人が「臭い」と言ったり、「なんか、ニオわない?」という声を耳にすると非難の目が自分に向けられているようで異常に緊張する、とのべています。 「ガス症」とは、一体どういうものでしょうか。簡単にいうと、「快感を求めるための症状」ということができます。フロイドをお読みになった方はご存知のとおり、人間は、幼い赤ちゃんの頃から「身体に快感を求めるものだ」というのが自然なあり方です。「くちびるに物を触れて快感に感じる」「おしっこをする時にも快感を感じる」「排便の時にも快感を感じる」というように生理的身体は快感を享受します。 ● 人間の気持ちの安心のしくみを分かりましょう ところで、人間は、いつでもどこでも不安や緊張を感じるというように存在しています。疲れると不安が生じるし、空腹になってもストレスを感じて不安がひきおこされます。このような不安は、身体なら身体が「生きている状態」にたいして「そろそろ生きるために必要なものを供給する時間ですよ」というメッセージの意味をもっています。空腹の時ならば、食事を摂らないと血糖が不足しかかっていて、脳の働きが低下しますよ、という警告になるのです。 ● ガス症とは、母親の哀しい表情を見て記憶した人がつくります ある人は、肛門からガスを出すことによって快感をつくり、こまかく、ささやかな安心を得る、しかし別の人は性的な快感に安心のテーマを見出していく、という違いは何に由来するのでしょうか。それは、「母親との関係」によって決まるのです。日本人の対人意識は、「母親との関係」が出発点になっています。右脳に「ブローカー言語野」という視覚のイメージをつくる中枢神経があります。この約3分の2の領域に、母親の喜びの表情やまなざしをイメージするというように記憶できると、心や精神は、強力な安心の能力を手に入れることができたことになるのです。日本人の脳の働き方は、もともとこんなふうにつくられているのです。もし、乳・幼児の頃から中学の3年生までの時期に、母親の喜びの表情やまなざしを記憶できた子どもは、高校をすぎ、20歳をすぎてもガス症になることはありません。 しかし、母親がなんらかの家庭の事情でいつも苦しげな表情を子どもの前でも隠さない、家の中で何かに追われているように小さくなって動き回り、なかなか子どもの側に近づかない、という日々をすごしていたとしたら、どうなるのでしょうか。 ● 視床下部から性の欲望のGnRHの代わりに「ヤル気」のTRHを分泌させて「リトルブレイン」の食腸を活性化しています 人間の脳には、「欲の脳」といわれる「視床下部」があります。 母親の哀しげな表情と、何かに追われてせき立てられているような表情を「右脳・ブローカー言語野の3分の2の領域」に記憶した子どもは、TRHのホルモンをつねに分泌しつづけます。胃腸をつねに活発に働かせる状態をつくります。これが「ガス」になります。日本型の対人関係の意識の「人と自分の間にある距離をなくそう」という能力も育ちません。「右脳・ブローカー言語野の3分の1の領域」には母親のイメージは何も記憶されていないからです。そこで、フロイドのいう「肛門性愛機能」というもっとも原始的な安心の享受の仕方で「対人関係の中の分からなさの不安」のもたらす緊張をガスの放出の快感によって快感を得ようとするのです。 ● ガス症の人とは、社会性の意識は高い人のことです 「右脳・ブローカー言語野で3分の2の視覚のイメージを記憶させている人」は、それじたい「社会性の世界との適合」を意味しています。それゆえに「ガスが出て辛い」という思いを抱えながらも「仕事に行く」とか「恋愛もする」とか、「いずれ結婚もする」というように「社会意識」は正常に働きます。「私のガスのせいでみんなに迷惑をかけている」と気に病みながらも「仕事に行かない」と、「抑うつ状態」に陥ることはありません。それどころか、仕事も、勉強も、人間関係も非常にきまじめにしかも正しく努力しつづけるのです。 ● 幼い女の気持ちを学習によって解消する、がカウンセリングのテーマです 症状の解決のための対策は、ポルソナーレ式イメージ療法で「右脳・ブローカー言語野の3分の1の領域」に、クローズ・アップの能力を回復させることと、自我の正常な発達のために性のホルモンのGnRHを分泌させることから始めます。 |
No.2 密着がつくる母子地獄 (脳の働きの退行化のケース) |
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■ 母親が監視する独身地獄の日々を送っています 私は、43歳の独身男性です。父親は亡くなり、母親と同居しています。私は、ここ数年働いていません。病院で薬をもらって服用しているために働けません。病気のきっかけは離婚でした。しばらく別居状態がつづいていましたが、弁護士を介して離婚を迫られて応じました。子どもは、元・妻が引き取りました。調停で月に一回子どもと会うことができています。薬は、母親が口うるさく、飲め、飲めと言うのでしかたなく飲んでいます。体がけだるく、いつも不快感があるので止めたいと思っています。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング 明治時代の日本人は、「人は、いい時もあればよくない時もある。よくない時は、あせらずにいい時のことを考えて明るく生活して、人に気に入られるように楽しげにすごすことだ」と言っていました。「人が、いったん落ち目になって破滅の道を転がっていくのは、悪い友だちと付き合い、その人の言う恨みごとだの人のアラを探して中傷する言葉に同調して、ますます暗い気分を抱えこむからだ」とも言います。 ● 母親と同居のリスクについて教えます ポルソナーレは、この「母親」と何度も話したことがあります。服用している薬の名称を教えてもらい「副作用」を調べました。 ● 精神科医は、処方する薬を、「副作用はあって当然」と考えています 精神科の医者は、「いつ、どのような道のりをたどって治るのか?」ということは説明しません。「薬を止めれば、リバウンドが出て、ひどい症状に苦しみますよ」と言います。 ● あなたも「トカゲの脳」を中心にものを考えていませんか? しかし、「トカゲの脳」が働いている人は、「A10神経」が「A9神経」にスイッチしてしまいます。「A9神経」は、「幸福のボタン押し」といわれる「中隔核」にむすびついています。すると「脳内最強の快感」のドーパミンが分泌しつづけるのです。「右脳・ブローカーの3分の1」で「クローズアップ」のイメージの記憶を柱にしてものを考えつづける人は、「幸福のボタン押し」を押しつづけている人である、と診断されるのです。 ● 薬を止められる人は「右脳・ブローカー3分の2」で知性の言葉を憶えようとする人です 「薬を止められる人」とは、どういう人のことでしょうか。 ● 母親が「右脳・ウェルニッケ中心の人」は子どもの脳を退化させて喜びます ポルソナーレは、「性格プロファイリング」という性格の診断学を開発しています。 ● 母親と同居から逃亡されない人は、「性の機能・能力」が破綻します 二つ目の不都合は、「性の機能・能力」を喪うことです。 ● ポルソナーレの指示性のカウンセリングの対策と指導方針 佐川圭三郎さん(仮名・43歳)のカウンセリングは、次のとおりです。
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No.3 女の能力も魅力もないので、生きていける社会がどんどん遠くなる |
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■ 嫉妬心がつよいので、人と接したくない私です(山田順子(仮名)、17歳、女性、高校生) 私は、高3にもなってまだ人と自分とを比べる性格に悩んでいます。人と話す時に「あの人のように話をしなければ」って考えて、自分が出せなくなります。ポルソナーレでよくいわれている「人の目を気にして自分を良く見せよう」とするのでしょう。ありふれたことを話しているのにすんごく気をつかってどっと疲れています。 ◎ ポルソナーレのカウンセリング 山田順子さんがここでこだわっている「嫉妬心」とはどういうものでしょうか。万人に共通する知性の次元でいうと「自分ももっているが、別の人はそれをうまく活かして欲しいものを手に入れている」という思いです。ほんとうは自分が先に手に入れるはずのところを先を越されてしまっている、自分は損をしている、という損失感です。能力も価値もさして変わらないように、なぜ、あの人はうまくやれているのに自分はまだ、こんなにも欠如感がいっぱいなのか、という自己差別の無意識が嫉妬心の本当の姿です。 嫉妬心も、考えようによっては悪いものではありません。山田順子さんはまだ高校生なので、未来があります。その未来にたいしての向上心のエネルギーになるからです。楽しそうに話している人がうらやましいということが目標になれば、自分だってやれるはずだという努力のテーマにもなるはずです。「あの人のように人と楽しく話したい」というのが嫉妬心の内容ならば、「自分がその位置にいてもおかしくないはずだ」というように至近距離に見える目標になるからです。 ● 「嫉妬する」、にも、診断学が必要です こういう建設的なモチベーションをもっている「嫉妬心」かどうかは、どこで判断できるのでしょうか。それは、行動力とか探究心といった形であらわれます。自分も同じようにやってみようというのが行動力です。探究心は、こんなふうな話し方をしていた、こういうかわいらしいしぐさをしていた、など、方法やテクニックに観察の目がいっている場合です。 ● ポルソナーレ式イメージ療法の役立て方を教えます 山田順子さんのような「ケータイでならなんでもしゃべれる」「人とは、自分から接したくない」というところに「イメージ療法」を施してみると、頭の中にはこんなふうなイメージが思い浮んでいます。 これは、「右脳・ブローカー言語野の視覚のイメージ」のことです。しかも、大きく、拡大されて、明るく強調されているので「クローズ・アップ」の視覚のイメージです。これを「右脳・ブローカー言語野の3分の1の記憶のゾーンの視覚のイメージ」といいます。「脳の働き方」の言語の学習回路のしくみでいうと「右脳・ウェルニッケ言語野」の触覚の認知で「相手と自分の関係」を認知しているというメカニズムになるのです。「私は、左手です。あなたは、右手なのね」という擬似血縁意識で認知するのが擬似血縁意識のことです。なぜ、「私は左手ね」と思っているのかというと、もし、「私は右手よ」と思っていれば、それは「自分が上位に立っている」ということを意味しますので、「一体、なんで私と仲良くしてくれないんだ」と威張る考えが無意識のうちにあらわれてくるからすぐに分かるのです。山田順子さんは、かくべつイライラしたり、相手を自分の言いなりにさせたり、自分の気持ちが良くなるようにと支配的な従属を強いているふうではありません。 山田順子さんは、擬似血縁意識で人間関係を意識する「性格」の人です。多くの日本人がこんな対人意識を根づよく抱えているので、山田さんだけに特殊なことではありません。山田さんのまわりにいる人にも、同じように、「自分と相手との間には距離がないのが当り前。これがいちばん安心できて、心地よい関係」と思っています。 ● 生育歴の中で母親が大声を出すと「右脳・聴覚野」に記憶されて全ての人の話を打ち消す働きをつくります 「それくらいのことなら、日本人なら誰もが望んでいることだから簡単にできそうなものでは?」と誰もが思うでしょう。山田さんは、なぜ、それができないのでしょうか。理由は、「母親の記憶のイメージ」にあります。子どもの頃の、「母親についての記憶」のイメージとは。 脳の中には「扁桃核」という価値決定をしてドーパミンなり、ノルアドレナリンを分泌させる中枢神経があります。母親が作った料理を「好み」として記憶する中枢神経です。 ● 「日本人」に特有の「嫉妬」のメカニズム では、なぜ「嫉妬する」のでしょうか。 ● 女の本質の魅力、価値が減退しつづけている…女の世界からの孤立が生じています 山田順子さんの「嫉妬」とは、「女の能力を正しく身につけていない」という孤立がつくる抑うつ意識のことを指しているのです。「女一般の世界」から孤立させられていて、自分の女の価値が貧しくなっているのではないか?という欠如感が「嫉妬」の実体です。 女の価値は、相手との距離をなくすことだ。おしゃべりが、距離をなくす手段だ。お仕事の言葉もよく憶えて、おしゃべりできる。すると、お金だっていっぱい稼げる。 |
No.4 私は中学校の女性教師。今の競争社会でミジメな思いをしています |
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■ 私は、中学校の女性教師。いじめ、教師への反抗、子どもの親からの不満で、仕事への自信をなくしています (佐倉京子。37歳。女性。中学校教師) 私は横浜市磯子区に、母親と二人で生活しています。37歳です。中学校の教師です。 ◎ ポルソナーレのカウンセリング このご相談者の中学の教師は、「音楽」教科担任です。学校の教師で、生徒とうまくいかない、という教師の中で、「うまくやれない人」の専門の教科は、「音楽」「体育」「数学」という傾向が見受けられます。これは、ポルソナーレの長い間のカウンセリングの現場の経験から観察される実感です。佐倉京子さんは、もともと「音楽の教師」だったのです。自分が、18歳から23歳くらいまで何の勉強をしてきたのか、してこなかったのか?は、「33歳」くらいまで影響します。「音楽が専門」ということが、なぜ、「学校の教師」になって「担任」になると生徒との関係がうまくいかない要因になるのでしょうか。 ● 自分の人生、仕事にとって「脳のしくみ」を分かることが有力なスキルになります かんたんに、脳の働きのしくみをお話します。 ● 誰も知らない脳の言語の学習のしくみ 左脳にも右脳にも、同じように「言語」の中枢神経があります。「聴覚野」と「ブローカー言語野」と「ウェルニッケ言語野」の三つです。するどいゼミ生の方が「右脳は言語を覚えないのに、なぜ、ブローカー言語野とかウェルニッケ言語野というんですか?」と質問されます。たしかにそのとおりです。これは、大脳生理学系の書物に書かれているとおりの名称ですとしかお答えするしかありません。本当は「右脳」のブローカー視覚野とかウェルニッケ触覚野というべきところです。 言語は、左脳で憶えます。左脳・聴覚野から左脳の左脳のウェルニッケか、ブローカーに伝わって、右脳のブローカーの「3分の2の記憶のゾーンで「意味のイメージ」を喚起するというのが正常な脳の発達のしくみにしたがった「学習の回路」です。このことは、非常に重要なところなので、しっかり覚えておくことをおすすめします。 ● 音楽は、「右脳」の聴覚野で憶えています。すると「言語を壊す」というメカニズムが生まれます まず、「右脳の聴覚野」で音楽のリズム、メロディを覚えます。ここは、「人間の言葉」を聴く機能にはなっていません。 すると、「左脳」から伝わってくる「人間の話し言葉」はどうなるのでしょうか。 ● 音楽を熱心に愛好した人は、人間の会話の中の言葉を次々に壊す、ということをつねにおこなっています こういう脳の働き方を完成させた人が「担任を受けもつ教師」になればどうなるでしょうか。生徒の話している言葉の大半は「意味不明」として消えていくでしょう。 人が、いったい何をしゃべっているのか?人は、いったい何を言い出すのか予測がつかないので緊張する、と思えば、人は、誰でも無呼吸症状態になります。心臓の心拍が低下して、「心停止の不安」が無意識のうちに感じられてくるのです。 ● 対人関係の中で「頭がまっ白」「逃亡のために音楽を喚起してドーパミンで脳を退行化させています」 「音楽」を愛好した人は、つねに「対人関係」の会話の中で「頭の中がまっ白になる」「頭の中が空白になる」ということを経験しています。 それでも、「学校の担任」とか「生徒の指導」とか「学校という社会性の生活の中での実務」ということから逃げ出すわけにはいかないという自覚があれば、「心拍の低下」に対抗して、「右脳・ブローカーの3分の1の記憶のゾーン」に「メロディ」「リズム」のキレギレの場面や光景をクローズ・アップのイメージをつくり、これに対応する「リズム」「メロディ」を「右脳・聴覚野」に喚起させます。「トカゲの脳」の中隔核から「幸福のボタン押しのドーパミン」を分泌させるためです。 ● 「右脳・聴覚野」を人間関係の中に持ち込むとトラブル・メーカーになります 佐倉京子さんは、「子どもとの対話の中で暗く、嫌そうな表情をする」「特定の子どもをえこひいきする」「叱るときは、泣き叫ぶ」「子どもとの対話によって、人間関係のフォローをする」ということを起こして、クラスの中の秩序をこわしているのです。 |
No.5 私は、中学校の校長です。小心な性格のために、 |
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■ 私は、中学校の校長です。小心な性格のために、日々、追い詰められているような気分に押しつぶされそうになります 私は、ある地方都市の中学校の校長を務めています。この歳、職業にしていささか恥ずかしいかぎりの悩みですが、生来、小心な性格を抱えています。ずっと人知れず悩みを抱えてきていて、そのために、ひそかに努力もしてきたつもりです。しかし、本来の解決には至らず、結局、ごまかしごまかしやってきたにすぎないと痛感しています。 この頃は、情報だけは豊富で、ある特定の問題についてのセミナー的なレクチュアはいくつもあって、有意義なものもたくさんあります。それなりに努力して勉強会も開いて知識も身につけました。しかし、自分に抱えてきている問題、同じように、教師、生徒から引き起こされる問題の方がつねに圧倒してくるといいますか、するとたちまちマイナス意識が頭の中を支配するようになります。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング ● 子どもに教育する教師、校長にも「社会教育」が不足しています ● 脳の働き方を正しく理解しなければ、事態は悪化する一方です ● 日本人の「対人関係の能力」にはもともと原型があった…しかし今は、これから大きく逸脱しています |
No.6 私は、父と性的な関係をもちました。 |
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■ 私は今、大学4年の女です。父と4年間、性の関係をもちました。父を殺すか、自分が死ぬしかないと思い詰めています。私は、幸せになれるのでしょうか。 私の苦しい悩みを聞いてください。とてもハズカシイのですが、思い切ってご相談します。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング 日本人の近親姦は、ふだんは誰もがそんな事実はないだろうと思っていますが、けっこう多いのです。日本人の場合は、欧米人とは違って「人と自分の間には距離がないのが当り前」と無意識にみんなが思っているというところに近親姦の土壌があります。「距離がない」というのは「私は右手。あなたは左手」という血縁意識の地つづきの考え方のことです。この相談者の場合も日本人なら誰もが抱えている「私は右手。あなたは左手」という擬似血縁意識が背景にあって近親姦が起こったと考えることができます。 ● 日本人の三大社会問題のひとつは「子どもの虐待」 日本の社会問題といえば、「子どもの虐待」「自殺」「少年犯罪」の三つです。日本の社会問題の「三大問題」といわれています。 ● 脳の働き方がつくる「パニック障害」のしくみの実体 「パニック状態」とは、冷や汗が出る、心悸亢進(こうしん)が起きて頻脈(ひんみゃく)になる、体や手足が震えてくる、呼吸が速くなって息苦しい、息が詰まる、胸が痛くなる、胸に不快感が生じる、吐き気が起こる、腹部に不快感が起こる、目まい、フラつきが起こる、非現実感にとらわれる、何とも言いようのない恐怖感が感じられる、死ぬのではないか?という恐怖感を感じる、身体の知覚に異常が起こる、寒気や身体が熱くなるほてりが感じられる、などといった症状が起こる心身症のことです。脳の記憶を中心にしてこんなふうな症状をつくる脳の働き方に変わることが直接の原因です。 ● 近親姦がつくる脳の働き方と記憶のメカニズム 近親姦の場合は、どんなふうなことが脳に記憶されるのでしょうか。 ● 「父親」がつくる「娘」の性格プロフィール 父親は、社会性の世界を象徴します。「天皇が日本の国のシンボル」であるように、父親は、学校や仕事、社会的な資格、社会の制度などの「社会性の世界」のシンボルです。子どもにとってはそういう関係意識になります。「父親」が子どもに虐待をおこなうとは「近親姦」はもちろん、「ネグレクト」(関わりの放棄、放置)、「心理的な虐待」(コトバで暴言を言うとか不安を与えること)、「暴力をふるう」などが該当します。このいずれも「右脳・ブローカー言語野」にクローズ・アップされた「父親の顔」が視覚のイメージとして喚起されます。「自分は、社会の中でつねに左手である」という社会的に未発達な意識が「人格」として形成されるのです。 ● 性的な虐待は、「強迫性障害」をつくる 性的な関係による虐待は、A6神経(脳幹のA神経の系列)からつねにノルアドレナリンが分泌しつづけるようになります。かぎりなくどこまでもノルアドレナリンが分泌しつづけるので「前頭葉眼か面」(ドーパミンが分泌)にもノルアドレナリンが分泌され、「線状体」(損か得かを判断して行動する)を過緊張状態に変え「淡蒼球」でセロトニンを欠乏させて視床下部に至ります。 ● 「強迫性障害」とは常同症が主症状です 「強迫性障害」は、学校で勉強する、仕事をする、異性と知的な会話をする、という局面で必ずあらわれます。「不安」が常同症の形をとって反復されるのです。常同症は、「父親不在」の生育歴に典型的な症状です。「手を何度も洗う」「ガスの元栓が気になる」「無意味な行動を反復してくりかえす」などが常同症です。 ● 「強迫性障害」になると「何が本当の利益か?」が全く分からなくなる ノルアドレナリンの過度の分泌によって「線状体」で「何がソンで、何がトクか?」という社会的な判断ができなくなるというトラブルがつくられます。「仕事のミスが起こる」「重要な指示を忘れる」「得して、役に立つ情報の価値判断ができなくなる」……逆に、自分に緊張をつのらせるので、強い不安感情が出て、自分に取り憑く同一の「コトバ」「光景」が気になるようになるのです。 この「気になる」というのは、「A9神経」にセットされるとドーパミンを分泌させるものに執着するようになります。 ● ポルソナーレの「イメージ療法」は強迫性障害も治しています このような「強迫性障害」の場合にもポルソナーレの「イメージ療法」は有効です。 |
No.7 引きこもりから脱け出した私。 |
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■ 私は、5年間の引きこもりののち、ポルソナーレのおかげで社会復帰できました。 私は、一時期、ポルソナーレにお世話になってどうにも止められなかったクスリ(精神科系の)を止めて、5年ぶりに仕事に就くことができました。でも、井穴刺絡療法のことを母親がキラっていて、「うちにはお金が無い、止めてしまえ」と言われて、指導を受けることができなくなりました。どうしても、家を出て自分の夢を実現したいので、教えてもらった妄想対策や一人練習の経験同一化の法則のことをがんばって、クスリを止めて、働きに出れるようになりました。国民宿舎の応接員をしています。 5年間の隠遁生活のせいか、頭が相当にボケている感じがします。人との会話もスムースに運ばず、上下関係の目に見えないものに緊張しています。応接員の中に同じ年齢の女性がいますが、何か言われると命令されている気がして、バカにされているような気持ちになり、キレそうにもなります。仕事だからと自分に言い聞かせてガマンしますが、見張られているようで、視線も気になります。そのために何か行動を起こすとき自信をもってやれない、自分だけが宙に浮いている感じがします。人の思惑 私には、物を持つときに自分の手に意識を向けすぎてギクシャクするところがあります。掃除機を持つ時、ぞうきんを持つとき、湯呑み茶わんを洗うとき、などです。 親は、いつまでも家にいる私に、お見合いで早く結婚しろと言います。人間にたいして不信といいますか、嫌いに近い恐怖をいだいている私に、結婚なんてとうてい考えられません。 私は、ポルソナーレのおかげで、人と話せるようにはなったのですが、相手の目を直視できません。つい下を向いて話します。ムリに相手の顔を見るとどうしてもきつい目つきになってしまいます。笑っても泣き目になります。人も、こんな私に、ちゃんと目を見て話しません。私は、人から心を開くとか、親しみを感じて気持ちを向けてもらえるということがないのです。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング この相談の文章をお読みになって、何が問題になっているのか?をぱっとつかめる人は、ポルソナーレのゼミを学習している人以外は、ほとんどいないのではないでしょうか。問題の核心は、「社会性の意識」が育っていないところにあります。加えて、社会性の意識を新たに学習して身につけなければならないという必要性に全く気づくことができていないことが「幽霊になった気分」におちいらせているのです。心の病い、精神の病いの原因は、「人間は、社会性の世界から孤立しては生きてはいけない」という本質から出発しています。「社会性」には、社会性の能力と社会性の知性との二つがあります。この二つで社会性というものがなり立っています。 ● 明治、大正にかけて欠落してきた「日本人の社会性の能力と知性」 「社会性の能力」とは、どういうものでしょうか。初めは、「親離れ、子離れ」のことです。親から離れて幼稚園に行く、家の外の集団の中でひとりの力で過す、学校を卒業したら家を出て自活する、というのが最初の社会性の能力です。「現実に関心をもつ」「社会の中で価値をもつものを橋渡しにして、社会的な価値を生み出す人間関係を無限につくって広げていく」というのが社会性の能力です。人間関係は、「親子関係」「友人関係」を通過して、「恋人関係」へと移行し、そして、「仕事」や「学的な知性」の関係の水準に到達する、というのが社会性の能力です。「相手のことが正しく分かる」ことから出発して、「相手の知性」の水準に合わせて「考えていること」や「表現されていること」を分かち合ったり、相互に学びあうという人間関係の能力が社会性の能力です。 ● 脳の働き方のしくみを見ると「聴覚障害」…そのメカニズムとは? 生育歴の中で、正常に「社会性」が発達する脳の働き方のしくみは、「言葉を覚える」ことからスタートします。次のようにです。
● 距離がない対人意識が「右脳・ブローカー言語野の3分の2のゾーン」を崩壊させている しかし、相談者のように社会性が正しく育たなかったという場合は、次のような脳の働き方による「言語の学習と表現の回路」になります。
非社会性のコトバというのは、「母親から小言を言われる」「父親からグチや不満を聞かされる」といったことです。「右脳・ブローカー言語野の3分の1のクローズ・アップのゾーン」に記憶されていて、「右脳・ブローカー言語野の3分の2の記憶のゾーン」(社会性のコトバの意味をイメージさせる領域)を正しく働かさせなくさせているのです。「手に持っているもの」が見えなくて、「手にばかりに意識が向く」「人の目が見れない」といった社会性の能力を破綻させる原因になっています。 ● 「ワーキング・プア」「ニート」「収入減」は、脳の働き方を変えれば改善できる 今の日本は、外国の資本がどんどん入ってきて海外の国との関係で経済社会が成り立っています。景気がよいと言われている現象の実体は、グローバル化によるものです。日本の国内の個人消費の水準が上がらずにデフレとインフレの両方に挟まれて日々に衰弱度をつよくしているというのが、ニートやフリーター、アルバイト、パートに見られる生活水準の低下のことです。 |
No.8 50歳になったら、頭重、腹部に感じる緊張、性的不能状態になり、 |
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■ 私は、50歳になったら頭重、腹部の緊張、恐怖感に似た脱力感に襲われています。 ● 私は、50歳を過ぎた頃から頭重と、下腹部のあたりに緊張感や不快感を感じるようになりました。高い所から下を見下ろした時のような恐怖感にとらわれた筋肉が縮かむような脱力感にとらわれるようになりました。毎日、足が地についていないような頼りなさで、憂うつ感がいっぱいです。これらの症状がいつも頭にこびりついて仕事中にも離れません。毎日、一人の時にもんもんとしていて、何をやっていてもおもしろくなく、集中力も湧いてきません。 もともと血圧が高い方です。自営で仕事をやっていますが、長い間働いていたベテランの店員が辞めたことから、一人で何もかもやらねばならず神経がスリ減ってしまったことが大きな原因の一つかと思っています。ベテランの店員が辞めたあとくらいから下痢症状が起こりました。医者にかかり、抗生物質を点滴してもらいましたが、なかなか治りませんでした。別の医者に胃と腸の検査をしてもらいましたところ、かくべつの異常はないとのことでした。神経的なものだと言われて安定剤を服用したところ治りました。しかし、神経的なものだと言われたことが気になり、それが気になりつづけて頭重や下腹部の緊張と不快感がいつも頭にこびりつくようになりました。頭の中に大きくのしかかってきて、憂うつな毎日になってしまいました。 いつも頭の中のモヤモヤが気になるので脳神経クリニックに行き、CTスキャンなどで精密検査をしてもらいました。 人前ではつとめて明るく活発にしてふるまっています。それが神経の緊張を招くのか、一人になると頭がひどく重く、モヤモヤがおおいかぶさってくるような不快感がいつもあります。何をしていても頭の中に不安なコトバや考えの雑念がウロウロしていて気になります。このままでは、何かとんでもない失敗をしでかすのではないか?とそれにも怯えています。 妻との性生活は、ここ数年来、全くありません。恥ずかしいのですが、性器も萎縮したままで、何をどういうことを見聞きしても性的な意欲が湧かないのです。ひどいインポテンツになっている気がしてなりません。妻は、「私はそういうものはなくてもいいのよ」と言いますが、いつでもできるという自信があるのと、もうダメなんじゃないかという弱気の中にいるのとでは、妻にたいしてのかかわり方も大きく違ってきます。何ごとにつけ自信がない弱々しい話し方や態度になり、急に老け込んでいくように思えてなりません。相手は、自分のことをどう思っているんだろう?と妙にビクビクしてしまいます。 子どもは、大学院を出た長男と高2の次男の二人です。大学院まで出て高校の教師になりましたが、半年で辞めて家にいます。高2の次男は、今のところ休まずに学校に行っています。パソコンやケータイでゲームに熱中しているのでなにか先行きが危ない感じがします。実の母と同居しています。妻との折り合いは非常に悪く、嫁姑の仲についてのグチを両方から聞かされます。 仕事は、しだいに売り上げが悪化しはじめて、経営に自信がなくなりました。休日の日も休んでいる気がしなくて、焦っているようなイライラ感が頭の中にあって喉が詰まったような緊張を感じています。寝つきが悪く、夜中にトイレのために何度も目を覚ますのも気になります。自分では原因は、夜の性生活に自信がなくなり、活力が出て来なくなったことではないかと思っています。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング このケーススタディの相談の事例をお読みになってどういう感想をおもちでしょうか。「今の日本では、これくらいの不安症や強迫観念はごくありきたりのケースではなかろうか」という感想がパッとひらめいた方は、日本人の心のビョーキの状況を冷静にとらえている人です。 現在も、瞬間的にこういう考え方をする人は少ないのですが、ものごとにはどんなことにも原因があります。原因があるから結果があります。このことは、逆からいうと、ものごとを達成して望みのものを手に入れて、自分の願望を実現するには、動機と必要性をちゃんと認識して、目的なり、目標をハッキリリアルにとらえられなければならないということになります。 相談者の男性は、小さいながらも事業を経営している人です。自分の身体の症状にとらわれて苦にしていますが、本当の問題点は「小さいながらも事業を運営している」ということがうまくいかなくなっていることにあります。第一に、妻との関係がうまくいっていないことが辛く感じられる、と考えています。お客様との関係もつとめて明るくしているけれども一人になるとどんと暗くなって憂うつになる、というようにも、「人間関係」のことがつねに第一に考えられて優勢になっていることが分かります。 日本人は、いつの時代にも、いつの社会でも誰もがこんなふうに考えるのが美しくて、人間関係をほったらかして事業のことや収益のこと、経営の目標のことなどを考えることは人間味のない価値の低い考えの持ち主だと無意識に考えてきています。人間関係のことをいっしょうけんめいに考えることが「知的なことだ」とみんなが考えてきています。すると、日本人の脳の働き方はそんなふうにシステム化されてしまっています。相談者の病理は、「身体のどこかの不調を気にする」という部分だけをとりあげると「強迫性障害」というべきものです。これは、「人間関係のことばっかりを気にする」、逆にいうと、現実の具体的な状況の中の人間のことはリアルな目で直視できていない、正しく観察もできていない、ということが「強迫性障害」の原因です。 ● ポルソナーレのカウンセリング理論「経験同一化の法則」についてお教えします あなたが、包丁を手に持ってまな板の上で大根を切っているとしましょう。正常な脳の働き方では、切っている大根に目の焦点を合わせて、右手の包丁を使って大根を切るでしょう。しかし、大根を抑えている左手に目を向けて焦点を合わせると、握っている包丁は「左手」に向かって動きます。すると「左手を切る」ことになりかねません。相談者は、どこを見ているのでしょうか。包丁を握っている自分の「右手」をじっと見て焦点を合わせているのです。「右手」とは相談の内容に即していうと「インポテンツではないか」「頭重がする」「下半身に力が入らずに脱力感が感じられる」といったことです。妻の不満、嫁姑のそれぞれのグチ、せっかく高校の教師にもなったのに辞めてしまった長男のこと、などが「右脳・ブローカー言語野の3分の1のゾーン」にクローズ・アップされてイメージされています。それぞれ良好とはいえない状態の関係の内容です。ぴったりと密着していない、一心同体になっていない、つまり距離があるようだ、ということを孤立した情緒のままに感じ取っています。これが「大根を切る場面で、包丁を握っている自分の右手を見ている」という脳の働き方になります。 ● 強迫性障害とは、「不安の中身」にしつこくこだわること 「強迫性障害」とは、現実とは全く無関係でしかも全く意味のないことをくりかえし考える症状のことをいいます。いろんなことが頭に思い浮べられています。今、何かを取り組んでいる時にそんなふうな無意味な不安や憂うつなことを、目の前のことよりも優先して「思い浮べている状態」が強迫性障害です。生活の中でこんなふうな心的な状態になれば、その目の前のことを長い時間をかけて行いつづけることにもなるでしょう。なぜかというと、この病理は、自分が今、不安に思っている状態よりも、「頭の中に思い浮ぶ不安な内容」に関心を向けて、気にしもして、とらわれているからです。この「とらわれている内容」がもし、自分に快美感をもたらすものである場合、それは「美化の妄想」といい、このような思い浮べ方を「分裂病」といいます。つまり、強迫性障害は、分裂病の始まりだということができるのです。 ● 「線状体」で目先の利益、快感、安心にこだわり、「損得の正しい判断」ができなくなります 強迫性障害は、トカゲの脳といわれる大脳辺縁系の中にある「線状体」に血流が集まります。セロトニンが不足して、ノルアドレナリンが過剰分泌されるからです。強迫性障害は、別名「常同症」といって、同じ考え、同じ行動をくりかえします。これは、「線状体」に血流が集まって活発に働くあまり「自分にとって何が得で、何が損か?」という損得の判断ができなくなるためです。 ● どんな小さい経営でも「経営理念」「相手の利益を優先」「物ではなくシステムを売る」の概念設計が必要です ポルソナーレの例で、この相談者は、どうすれば強迫性障害から脱け出せるのかをお話します。 相談者のケースでは、「相手にとってどういう利益をもたらすか?」というシステムを「サービスの提供」と考えられていないことが「強迫性障害」のもともとの原因になっているのです。経営の「概念の設計」の段階が、途中で消えてしまっている橋のように消失していることが病理の始まりであることがお分りいただけるでしょうか。 |
No.9 数年来の友人が突然、私から去りました。 |
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■ 相談の事例 ● 私は、自分の心の病いと痛手を一日も早く忘れようと悩んできました。ポルソナーレのカウンセリングを受けたいとずっと思っていましたが、思い出すのが怖かったのです。でも、あまりのショックな事態のために今もそのことが心から抜け切れずに身体のいたるところに出ている病気とたたかって病院通いがつづいていて、45キロあった体重が40キロになり、顔もやつれて鏡を見るのもコワイくらいになりました。勤めている美容院のみんなが「どうしたの?」「どこか悪いんじゃない?」と口々に心配します。自分ではどうにもならなくなったので、長年信頼しているポルソナーレのカウンセリングにおすがりすることにしました。 私は結婚しています。夫は、45歳です。 数年前に、羽柴あゆみさんという1歳年上の女性が入ってきました。顔立ちもよくスッキリしている姿のきれいな女性でした。人もうらやむ美人で明るい笑顔がまぶしい人でした。美容の技術者として勤めはじめました。 ある日。仕事にブランクがあって技術の面でみんなについていけないと考えたあゆみさんは、店の雰囲気に息苦しさを感じると、三ヵ月も経っていないのに「辞める」と言いだしました。社長が「手不足なので」と引き留めましたが、決心は変わりませんでした。 私も淋しかったけど、あゆみさんも淋しかったらしく、別れぎわに「また電話するね」と言ってくれました。すると次の日の夜、さっそく電話がありました。 あゆみさんは、時々電話をしてきては、わたしの家にも遊びに来るようになりました。仕事の話をして夕食を食べて帰る、ということもありました。私の夫は三交替の勤務をしています。 それから、わたしの時間のつごうのつくかぎり、あゆみさんの部屋に出向きました。ワインを飲んだり、お弁当を食べていろんなお話をしました。 私は、洋裁のデザインの学校も出ていましたので、あゆみさんの洋服のアドバイスをしました。彼女も、どんどん磨かれてきれいになりました。 そして数年が経ったある日。年末でした。年末はお互いに忙しくて、メールだけのやりとりになりました。メールだけでも、彼女の声や息づかいの音、笑顔が思い浮んで胸がはずんでくる気持ちになりました。お正月は、四国の郷里に帰省するというパターンでしたので、年が明けてからまたお弁当を持って彼女の部屋に出かけました。 部屋にはカギがかかっていました。そういえば、ケータイの電話もつながらなかった、新年のあいさつもまだだったねと、喫茶店で待ちました。暗くなってきました。弁当だけでも置いておこうと思い、あゆみさんの部屋に行きました。また留守でした。この時、なにか不安な感じが背中のあたりにサッと走りました。部屋の中で、どんよりと冷たく感じられたのです。部屋に帰っても生活していないのではないかというよどみのような空気が感じられたのです。無断で部屋に入ったことを詫び、新年のあいさつのメモをしてテーブルの上に置いて帰りました。 次の日。あゆみさんの店に電話をしました。すると「辞めていない」ということでした。次の月よう日に出かけました。 誰か、恋人のような男性でもできたのかなと思いましたが、内心、もしそうならば、こんな不自然な状態は感じられないはずだ、と思いました。その日から家にいても、居ても立ってもいられないような胸に圧迫感を感じはじめたのです。一人で部屋にいると、あゆみさんの顔や姿が幻のように思い浮ぶのです。声も、どこからか聴こえてくるようでじっとしていられなくなりました。ちょうど失恋した時と同じような胸の苦しさを感じました。歩くことも宙に浮いている感じで、ヒザに力が入りません。 それから2週間が経ちました。わたしの落ち込みがひどくなってきました。彼女のこと、自分のことが頭に思い浮びます。それしか思い浮ばないのです。何かしているときも、彼女のことがつい口をついて出てきそうになります。 二月になりました。また、あゆみさんの部屋に行ってみました。部屋をノックしても返事がありません。前に書いておいたメモは、また破られてゴミ箱に入っていました。これから引っ越しをするかのように、いくつかの荷物がつくられていました。 「もう行くまい、もう行かない」と思いながら、次の月よう日にまた部屋に行ってみました。わたしの書いたメモは、ハサミでズタズタに切られてテーブルの上にありました。 私には夫がいる、と自分に言い聞かせます。でも、今までの10年間は何だったのか?と自責の念で苦しい思いがします。自分は、何か、とんでもないことを浪費して、空費してしまったのではないか。こんなに、もろくもみじめな人間になってしまったと思い、何も手につかなくなりました。いつもじっと座り込むか、「何かをしなくっちゃ」と部屋の中をうろうろと歩き回ります。夜も眠れなくなり、病院に行くようになりました。 ◎ ポルソナーレの指示性のカウンセリング この相談の事例では、「社会性の世界からの孤立」ということが中心のテーマになります。ポルソナーレは、人は、社会性の世界から孤立すると生きてはいけなくなる、という本質を教えています。どこの心理学でも、また、精神科でも、こんなふうに「社会性の世界」(仕事、学校の勉強、学的な知性などのことです)から孤立すると「うつ病になる」ということは説明しません。人間の心の世界とは、ちょうど「クモの巣」に似ていて、いくつもの「社会性の理性」というもので織りつくられています。タテ糸やヨコ糸を「社会性の理性」という社会的な概念が織り込まれて心的な世界を形成しているのです。この社会的な理性とは、今まで自分が関わってきた「社会的な関係の対象」のことです。その対象とは、次のようなもので、次のような価値の順位になっています。 ● 社会性の知性の対象と価値の順位(5位が最もレベルが高い) 1位…学校と学校の全教科書の勉強 ● 社会性の世界からの「孤立」が、「うつ病」と「分裂病」の原因です このような基準をいつでも、誰でもしっかりと覚えていて、理解できているとは限らないというのが今の日本人に共通する心の世界です。たいていの人は、こういうことは、かくべつ知らなくても人は生きていけているじゃないか、と考えています。しかし、知らないからこそ相談者の事例のような「うつ病」に陥り、幻聴や幻覚をともなう分裂病にもなり、ひどい心身の不調を招いていることは、不問にしています。 ● 「社会性」との形式の関わりはある、しかし、中身(内容)はきわめて空虚 ポルソナーレのカウンセリングの眼から見ると、事例の相談者が一気に心の病いにおちいった原因は、「美容室」をわずか数ヵ月で辞めた女性と友人として付き合ったことにそもそもの原因があります。 ● 日本人の女性にとっての「友人」とは、右脳・ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンの「ヒモ」(幸福のボタン押し) 同じことは、「友人となった女性」に弁当をつくり、定期的に二人で会っておしゃべりをしたり、食事をするというパフォーマンスとそのエネルギーは、「自分の夫」には向けられていないことにもあらわれています。「夫」には、自分が「うつ状態」になったことを相談もせず、取り憑かれたように訪ねていくということを行うことについて何の相談もしていません。その行動が「夫との関係」に緊張や不安をもたらす、ということの「社会的な責任」や「道義上の責任」に何らの自覚もありません。「自分の気持ちはぜんぶ自分のもので、自分の行動はぜんぶ自分が仕切って決定してもいいんだ」と考えています。「夫」は、社会性の世界を象徴します。その「夫」を疎外しているのです。ここに「うつ」と「自分の考えのとおりでいいんだ」という「了解」が生む「分裂病」の原因があるのです。 ● 日本人は、「家」とか「企業」とかの理念のコトバが全く分からなくなっています ポルソナーレのゼミは「カウンセラー養成ゼミ」と「ゼミ・イメージ切り替え法」の二つの講座をおこなっています。 ● 社会性を喪失した女性は、「女の身体」に自律神経のトラブルをつくり、機能・能力の不全に陥らせています 「流産する」という程度には、相当に孤立による自律神経の交感神経が高止まりの状態にあることが分かります。女性の身体的なメカニズムとしては「幼いレベルのままにおかれている」のです。「友人」とのかかわりもその「幼さ」の故に、「お弁当をつくって持っていき、これを食べる」というように「食べること」や「髪の毛をいじること」「服を着ること」という身体に快感をもたらすものあけが媒介になり、これによって距離を縮めようとすることだけがゆいいつの「気持ちの安心」とみなされています。こういうものの考え方は、心や精神というものを正しく安心させることはありません。この「ものの考え方」が「流産させる」し、「夫との関係を形だけ、表面だけ」のものにしているのです。 ● 日本人の心身の病理は、「右脳・ブローカー」の3分の1で負の拡大再生産をおこなっています 多くの日本人は、大正時代から「結婚はしたい、しかし、女性のお友だちの関係は、夫とは別世界のものとして分けて、区別して独自に築いていきましょうね」という対人意識をつくってきています。 |
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