『ポルソナーレのカウンセリング・ゼミは、この平成27年1月度のゼミで、『カウンセラー養成ゼミ』『ゼミ・イメージ切り替え法』ともに、第16期が終了します。一年間の厚い御支持をいただきましたことに心よりの御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
平成27年2月度よりは、第17期のゼミを展開いたします。ひきつづき、変わらない御支持をいただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
平成27年2月度よりの第17期のポルソナーレのカウンセリング講座(カウンセリング・ゼミ)は、
『カウンセラー養成ゼミ』(プロ「教育者」対応カウンセリング・ゼミ)、
『ゼミ・イメージ切り替え法』(女性のためのカウンセリング・ゼミ)とも、
次のようなことをレクチュアの方針にします。
分かりやすい事例をあげてご説明いたします。
大嶋利佳(株式会社スピーキングエッセイ取締役講師代表、一般社団法人日本経営協会専任講師。女性受講者が7割を占める「代官山カラテスクール」の指導員・おおしまりか)は、『なぜあの女(ひと)の話し方は、強くて美しいのか?』(三笠書房)の中で次のように書いています。
(リライト・再構成)
仕事をしていると自分自身を励まし、力づけることが必要な場面も多くある。「今日もがんばろう」と自分に気合を入れることもあるだろう。
でも「がんばる」という言葉には気をつけたい部分がある。
それは、自分で自分を励ますために言うならともかく、他人には言わないほうがいいということだ。
上司とこんな会話をしたことがないだろうか。
「この仕事、明日までにできるかな?」
「はい、がんばります」
「昨日頼んだ資料、午後までにできるよね?」
「はい、がんばっていますから」
もちろん、真面目に取り組んでいる姿勢をアピールするのは悪いことではない。
だが、わざわざ「がんばります」という返事をするのは相手にも自分にもあまり良い効果を生まない。
相手に、「私はがんばっているんですよ、認めてください」と暗に要求していることになるからだ。
それは、仕事の予定や進捗状況を知りたいだけの上司からすれば余計なことである。
また、自分にとっても「がんばっているのに認めてもらえない」という不満の種をまく行為だともいえる。
「明日までにできる?」と尋ねられて「がんばります」の言葉で応じた場合、あなたにとっても上司にとっても意味はない。
むしろ上司は「大丈夫か?がんばったけどできませんでしたという結果にならないか?」と不安になる。
答えるとしたら「明日までにやります」と期日を約束したり、「もう半分できていますから、明日の午前中には全てできる予定です」と進捗状況に加え、これからの見通しを伝えたりしてこそ上司も安心できる。
そのように具体的に応じれば上司も「彼女はよくがんばってくれている」という気持ちをもってくれるだろう。
また、自分自身の励ましのために「がんばる」を使うときももう少しひと工夫してみよう。
たとえば「今年こそ英語をマスターするようがんばろう」「ダイエット、がんばろう」では、何をがんばるかが具体的ではない。
そこで「欠かさずラジオ講座を聞くようにがんばろう」「一日一万歩、必ず歩くようにがんばろう」と具体的に言うようにしよう。
そうすれば、行動に結びつく。そして、それができるようになったら「がんばろう」はやめる。「する」と言いきろう。
「欠かさずにラジオ講座を聞く」「一日、一万歩歩く」。
こう言い切ることで目標達成へ近づくことができる。
なにより、やったかやらなかったかがはっきりとわかる。
「がんばろう」の困ったところは、「がんばったか、がんばらなかったか」に客観的な基準がないことだ。
ウォーキングならば、「一万歩を目標にがんばったけど、5000歩しか歩けなかった。でも、がんばったからいいよね」とつい自分に甘くなる。
「一万歩、必ず歩く」なら、「5000歩だった。一万歩には足りなかった」と認めざるをえない。「がんばったからいいや」という甘えが入る余地がない。
■ポルソナーレからのメッセージと、カウンセリングの見地からお伝えすることについて
大嶋利佳の『なぜ、あの女(ひと)の話し方は「強くて美しい」のか?』の中の「がんばりますをやめてみよう」の一節をご紹介しました。
大嶋利佳は、「がんばります」「がんばる」という言い方は、自分を励ますための言い方なら有効であると説明します。
他人にたいしては「がんばります」とは言わない方がいいとアドバイスします。
「明日までにおこなう」とか「明日の午前中に完成します」などの客観的な基準が話されていないからだ、が「やめた方がいい」理由です。
何をがんばるのか?と具体的に言うことが大事だと言うと美しい言い方になります、といいます。そして、「がんばる」という言い方をやめて、「する」(おこなう)と言うと、実行しないことの甘えがなくなるといいます。
「がんばります」と言うと、実行できなくても、指示された仕事が完成しなくても、「私はこんなにもがんばった。私のがんばった姿勢は認めてほしい」という甘えが出てくる、というのが「する」と言おうの理由です。
「よくがんばった」ともし上司が言わなければ「がんばった」姿勢を認めてくれなかった不満を抱えることになる。「する」(おこなう)と言えば、実行できなかった結果を認めざるをえなくなる。次の行動では、「いつまでに、何を、どのように実行するか」という取り組み方の言葉を言えるだろうといっています。
■ポルソナーレは、この「がんばります」をどのように見るのか?どのように理解するのか?をお伝えします。大嶋利佳のあげている事例を物語ふうに構成してみます。
山田順子さん(仮名・35歳)は、小売り店のグループ会社の本社に勤めています。
仕事は、小売りのグループの各店に、売り上げを伸ばすための営業戦略担当者に営業戦略上の提案をおこなうことです。
日本の経済社会は、長い間物価が下がるというデフレ不況がつづいてきました。働く人の賃金は上がらない、しかし円高で輸入物価は高いので、小売りの経営はコスト削減を強いられて苦しい経営がつづいていました。
そこへアベノミクスとか日銀の異次元金融緩和が始まりました。
小売り業は「安く売る」という売り方だけでは商品を売りにくくなりました。円安になり、輸入物価が高くなって、商品の原材料費が高くなったからです。
山田順子さんは、上司の山口部長から、販売会議の資料の製作を頼まれました。
この仕事、明日までにできるかな?」
「はい、がんばります」
大嶋利佳は、山田順子さんの「がんばります」の言葉がよくないと言っています。「明日までに完成します」か「明日の午前中に完成の予定です」と言うべきであるとアドバイスをします。
しかし、ポルソナーレが上司の山口部長と山田順子さんの会話を検討すると大嶋利佳とは違った理解になります。
上司の山口部長は「この仕事、明日までにできるかな?」と尋ねています。「できるかな?」と問いかけています。
この「できますか?」の問いにたいして「がんばります」と山田順子さんは答えています。
山口部長は山田順子さんに「できるかどうか?」という作業の行動について質問をしています。
日本人の脳の働き方は、ブローカー言語野・3分の1の主観の言語野で成り立っています。ここは吉本隆明が『心的現象論序説』(角川文庫)で説明している心的領域です。吉本隆明が「個体・家族・共同性としての人間」(『情況への発言』昭和42年11月・東京医科歯科大学お茶の水祭講演)でのべている「人間の本質」の共同体を表象させる領域の「言語」「概念」「文法をつくる規範」をつくる言語領域ではありません。
「客観」ということを認識してこれを言葉にする、会話する、お互いに了解し合う、複数の人々と合意し合うという言語領域ではないということです。
欧米人は、この言語領域(ブローカー言語野・3分の2のゾーン)で、be動詞やsein動詞を成り立たせています。原則として客観についての思考ができる人が多いのです。
山口部長が、山田順子さんに「この仕事、明日までにできるかな?」といえば、身体を使った行動が可能かどうか?を質問しています。
日本の男性の脳の働き方は、大脳辺縁系(動物の脳)にある視床下部(欲の脳)の中枢神経は「背内側核」(はいないそくかく)です。
背内側核は「性の欲」の中枢です。GnRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン・ペプチド10個)という性欲のホルモンを分泌します。
男性は、「空間認知」の認知の脳の働きの機能と能力をもちます。
欧米人は、ブローカー言語野・3分の2の客観の言語領域で「空間認知」の働き方を「認識」のための脳の働き方に変えています。
山口部長は、山田順子さんに「この仕事」(は)という対象について尋ねていません。「できるかな?」と行動の可能を問題にしています。
山田順子さんは山口部長から「できる?」(実行は可能ですか?)と問われました。「できるかどうかは確約できません。しかし、完成できるように、最善を尽します」とお返事をしたのです。
「昨日頼んだ資料、午後までにできるよね?」と山口部長が尋ねています。
「はい、今、がんばっていますから」と山田順子さんは答えています。
ここで山口部長は「できるよね?」と尋ねています。ここでは「資料」という言葉が言い表わされています。資料というのは、販売をどう伸ばすか?についての販売を促進する責任者への提案の資料です。山田順子さんは、マーケティング改革のための資料を作成しています。
小売店の売り場を商品の品目別につくるのではなくて、お客様のライフスタイルを基準にした売り場づくりを企画しています。企画の内容を分かりやすく説明するための資料を作成しています。山田順子さんは、いくつもある小売店の地域のお客様の年齢層や性別の傾向、一日のご来客数の動向のおおよそを調査しています。
参考にしているのは、バブル全盛期の頃の糸井重里のキャッチコピー「おいしい生活」「不思議大好き」です。
「見守りできずな生活」というキャッチコピーを考えました。高齢者のライフスタイルのイメージです。入浴用品と健康食品で小さなブロックのコーナーを構成しました。やはり、高齢といっても女性と男性は健康のライフワークが違います。
山口部長は「昨日頼んだ資料は?」と尋ねました。「どういう資料を企画していますか?」とは尋ねません。
「内容によっては、会議日延べしてもいいですよ」とは言いません。日本の男性は、行動のことには関心をもっても対象のことについては認知の能力がないのです。
よっぽどの少数の男性しか「資料の作成の進み具合はどうでしょうか?何か手伝うことがありますか?」とは尋ねません。
山田順子さんは、山口部長と販売担当の皆さんに喜んでもらえて、会社の小売業界の低迷状況にある中で、なんとか経営改革によって営業利益を伸ばそうといっしょうけんめいに考えているのです。
日本の女性は、脳の働き方は主観の言語領域で日本語を話し、言い表します。
視床下部の女性の中枢神経は「視索前野」(しさくぜんや)です。副交感神経の中枢です。
すると、交感神経の「認知」の働きはありません。
だから、男性が「できるかな?」「できるよね?」と認知の言葉を言うと、内心で、あれ?この質問ってちょっと変だなとは思っても、「はい、がんばります」と言うよりほかはないのです。
山田順子さんのようによい企画を考える力をもっている人でも、「はい、今、がんばっていますから」と内心、いまいましく思いながらも答えざるをえないのです。
女性が、内心、ちょっと変だなと思うのは、視索前野が左脳の言葉の神経伝達のA6神経といつながっているからです。A6神経は言語能力のための神経伝達です。女性は、認識の能力と機能をもつのです。だから山田順子さんのように日頃から論理思考の学習をしている女性は、小売りのライフスタイルの企画を考えることができます。
『人間の条件』(ちくま学芸文庫)を書いた哲学者のハンナ・アーレントも女性です。
『グローバル・スーパーリッチ・超格差の時代』(早川書房)を書いたクリスティア・フリーランドも女性です。女性は、日本人でも、本当の知性を求めて思考しているので、社会がどんなに不安でいっぱいになっても、ちゃんと希望はあります。
■ポルソナーレは、この第17期からは、この山田順子さんの物語のような方式でカウンセリング・ゼミをお伝えします。そして、「認知バイアス」を中心につくり出される病理を解消し、より楽しい生活をおくれるような脳の働き方を発達させていただきます。
ぜひ、どうぞ楽しみにご期待ください。
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■ポルソナーレのカウンセリング・ゼミのご案内
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