■ 相談の事例
「私は、一人でいるときに自分と関わりのある人のことをあれこれと否定的に考えます。そして、やがてこの考えが本当らしく思えてきて、口に出してしまい、自分から関係を切断してしまいます」
(芦屋明美。23歳。女性。学校教師。埼玉県幸手市)
(お知らせ。人物は仮名です。特定の人物、地域、団体、職業とは関わりはありません)。
■ 相談の事例
私は、友だちがなかなかできにくく、友だちになっても関係が長つづきしない性格です。たぶん、小さい頃から内気で、おとなしくて人見知りもしていたのでいじめられやすかったので、自意識過剰なために自己防衛の本能がつよくあるためかもしれません。
中学生の頃は、相手から話しかけられてきて何人かの友だちがいました。
せっかく友だちになっても会話が続かなくていつの間にか、離れていかれるのです。いつも何かしらの不安が頭の中にあるので、自分から話しかけられないのです。傷つきやすいので妙なプライドがあって、会話もあたりさわりのない表面的な話題に終始して、友だちが離れていくのです。
高校生になると、話題は異性のことになりがちです。そういう話題のときは、お互いに自分勝手に想像したことをしゃべるので明るく、楽しげにおしゃべりすることができました。今、思うと高校生の頃がいちばん自分に未来があるかのように思えていました。
大学生から社会人にかけて、異性との関わりが中心になります。相手の男性が好きとかそういう気持ちになっていなくても「この人は、私のことをどう思っているんだろう?」という考えがつねに先に立ってきます。
自分が相手の人のことをかくべつ好きとは思わなくても、「私のことを好きになってくれている」と思うと誘われるままにお付き合いしてしまうのです。
そんなふうにしてお付き合いを始めた男性とも、関係が長つづきすることはありません。
私の中には、こういうことを言うと嫌われるんじゃないか、こういうことを言うと相手が不快になるんじゃないか、という思いがあっていつも緊張しています。会話も自然な感じじゃなくなって動作もぎこちなくなるのです。
こんなふうに感じはじめると、「あー、私といてもつまらないと思っているだろうなあ」と心の中で思ってしまいます。「もう、やっていけないって思っているよな」という考えになります。すると、私は、「私といてもつまらないって思っていない?」と口に出して言ってしまいます。
そして、「私、あなたといてもちょっと、嫌なのよ」と言ってしまうのです。
私の恋愛は、たいていこんな展開になって終わります。性の関係になっても事情は同じです。私の心の中に重苦しい雰囲気がいっぱいになって、何かがポトンと落ちたような気分になっていくのです。そして、理由も、事情も言わずに自分から去ってしまうということがおこります。
男の人の中には、いろいろと教えたがる人がいます。初めのうちは、私のことを思ってくれるからこんなにも厳しいことも言ってくれるんだとナットクして話を聞きます。すると、だんだんに緊張してきて、生地獄のように感じてくるのです。なにか責められているような気持ちになってきます。私の声の調子が暗くなったり、表情が固くなったりするのが分かります。心の中ではブレーキをかけて笑ったり、うなづいたりもしますが、しだいにその人への憎しみの気持ちがつよくなってくるのです。すると、今に見てろ、お前なんかの言いなりになってたまるものか、という思いがいっぺんに大きくなって、相手の人が何かを話すたびにさえぎって、いちいち言い返すということをやっています。
最近は、交友関係も少しは広がるようになりました。何人かの人たちと飲みに行くこともあります。しかし、心の中で、目の前の人についてあれこれと感じる思いが思い浮びます。初めは、私といてもおもしろくないだろうなあといった不安感から始まるのです。ここで感じる緊張といっしょに思い浮ぶ言葉を口には出さないようにしています。すると、こんな心の中の思いがまわりの人にも感染するらしく、目に見えないバリアが張られてしまっているかのように思えてきます。いつの間にか、自分だけがひとり浮いているのが分かります。私のまわりだけがどんよりと薄暗くなった雰囲気になって、しだいに、その場の全体がギスギスと荒れた感じになってしまいます。
こんな私の性格の原因は、家庭環境にあると思っています。私の親は、家族以外の人間を嫌っていました。
私が子どもの頃、友だちを家に連れていくと必要以上に気を遣います。気を遣うということは疲れることなので、人が家に来ると聞くと嫌そうな表情をします。
私も、友だちの家に行くと異常に気を遣ってしまいます。ここで私は嫌がられてはいないか?と相手の表情や声の調子やしゃべり方に敏感になっているのです。
私は、本当に自分の性格が嫌いです。いつもお腹の中に相手にたいして信用していないとか、恨みごとがあるとか、不満があるかのような思いを抱えこんでいる気がしています。しゃべり方も、わだかまりがあるようなスッキリしない歯ギレの悪い話し方になります。
自分の表情も変にこわばった固い感じになっているのがよく分かります。
会話をしてもすぐに話がとぎれて、沈黙になってしまうことがおおいです。
たぶん、私は、結婚してもこんな感じなんだろうなあと思います。一人で生活していけないのでガマンしているとか、相手をかくべつ愛してはいないけど生活のために適当に暮らしているとか、そういう結婚生活のあり方になるのではないかなと思います。
私は、このまま水気のないしおれた花のような、半分、枯れかかった人生しか生きていけないのでしょうか。
● ポルソナーレの「指示性のカウンセリング」とはこういうものです
(1) 人間には、心や精神というものがあります。観念の世界ともいいます。
これは、相手のことを遠くの位置から見て、相手の人が喜ぶことを考えるというものの考え方の学習で育まれます。
(2) 一方、相手の人のことを不信に思うとか、不満に思うとか、相手の人のことについて考えることを諦めるということを考えて、この考えを学習してくると相談者のような「孤立」と「孤独」の性格になってしまうのです。つねに他者を遠ざけて、自分だけが離れるという関係意識がつくられるからです。このときの関係意識はものごとの表面や形、上辺だけとの関わりしかもてません。
(3) こんな関係意識は、事例のように、いろんな言葉、行動を相手にぶっつけて、やがて自分もいつの間にか排斥されるという事態を招きます。日本人の心や精神の病気は、たいていこんなふうな脳の働き方によってつくられているのです。
(4) この相談者は、イメージ療法によって一日で立ち直り、新たな社会教育のテーマを学習中です。
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