みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●日本に増えている幻聴、妄想がつくる分裂病
平成21年8月2日の日本経済新聞の「医療」の特集ページに「分裂病」の人の幻聴や幻覚の体験が取材されています。「最前線・現場」欄です。
- 7月。日本福祉教育専門学校(東京・豊島)の「精神保健福祉士」を目ざすコースの授業。
「統合失調症」など精神障害をもつ人が体験した幻聴や幻覚をもとにした「幻聴妄想かるた」をゲーム式の教材に使っている。
- 「にわとりになった弟と父親」「コンビニに入るとみんな友だちだった」
などが「かるた」の一例だ。
- 製作したのは、精神障害者共同作業所『ハーモニー』(東京・世田谷)だ。
「通常、彼らが自分からすすんで自分の幻聴や妄想の体験を語ることはない。そこで、利用者どうしで打ち明け、かるたという玩具にすることで、現実との区別ができる人も出て来た。もっと自分たちを知ってもらおうという前向きの気持ちに変わってきた」(スタッフの新澤克憲)。
- 看護学校や福祉関係の専門学校が「教材」として購入している。
「学生が、実習先で患者の行動の背景や意味を読み取ろうとするなどコミュニケーションに工夫が出て来た」(看護学校精神科の教員、女性)。
- 「幻聴妄想かるた」には「注釈」がついている。
「コンビニに入るとみんな友だちだった」は、「特定の友だちにストーカー被害を受けているという妄想にとりつかれている時に、コンビニに入ったら客の顔が皆、同じ友だちの顔に見えた」という体験が書かれている。
- 「幻聴妄想かるた」でゲームを体験した福祉教育専門学校の学生の話。
「机に集中できるようになる。どんな妄想なのか、だんだん想像できるようになった」(27歳女性)。
「授業だけでは、実際、どういうものか分からなかったが、楽しい妄想や、辛い妄想など、さまざまな妄想があることが分かった」(19歳女性)。
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精神分裂病の正しい理解の仕方とはこういうものです
- 「谷川うさ子さん」の解説。
- 「妄想」や「幻聴」を生成するのは、「精神分裂病」です。「精神障害」とか「統合失調症」という呼び方をしている位置では、原因も理由も、生成のしくみも分かりません。
- 「精神分裂病」の正しい定義は「弛緩・しかん」の中に「安住することを求める病い」です。この「弛緩」は、いろいろな手段でつくられます。基本は「連想すること」です。あれこれと、とめどもなく思い浮ぶイメージのままに身をゆだねて、そのイメージの中に浸りつづけること、が「弛緩」をつくる「連想」です。
この「連想」の中に「幻聴」や「妄想」もあります。
「ケータイ」や「パソコン」、「ネット」「ゲーム」も「弛緩」をつくります。この場合は、「弛緩をつくる触媒」と定義します。
- 精神分裂病が、なぜ精神分裂病といわれるのか?というと「進行性の麻痺(マヒ)」が「痴呆」をともなって深くなり、「離人症」と「自閉症」をつくり出すからです。
ご紹介した取材の中に「妄想と現実の区別がつくようになった」という説明があります。
これが「離人症」と「自閉症」の現象です。今まで「弛緩にともなうイメージ」の中に浸っていたというのが「自閉」です。すると、日常の現実のことを「見ているのに見ていない、聞いているのに、しかし聞いていない」という心的な状態が発生して、持続します。これが「離人症」です。人間の心や精神というものが「弛緩」とともに「自閉」と「離人症」によって「現実世界」をいびつに歪んで見るという「痴呆状態」になるので、「精神分裂病」と呼ばれているのです。
- では「進行性の麻痺(マヒ)」とは何のことでしょうか。
「目の視覚神経」「耳の聴覚神経」「手・指の触覚の知覚神経」「口、喉の声帯の知覚神経」などが機能不全を起こすのです。
「弛緩・しかん」とは、このような人間の精神活動に必要な「知覚神経」が麻痺(マヒ)して、機能不全になることをいいます。
ちょうど「輪ゴム」の「たるみ」「ゆるみ」と同じような「弛緩・しかん」が、目、耳、口、手、指、喉に発生して、進行していきます。
「連想する妄想のこと」「幻聴という妄想のこと」だけのイメージを頭の中(右脳・前頭葉です)に表象(ひょうしょう)させつづけていれば、ここには、他者との正常なコミュニケーションは成立しません。すると、目、耳、手、口、喉の知覚神経の細胞が「廃用萎縮」を起こすでしょう。
「使わない神経細胞は、やがて死滅していく」というのが廃用萎縮です。
すると、「話しかけても、返事をしない」、「電話で会話らしきことがつづいてもいきなり電話を切る」、「会話がつづいているように見えても、話すのは精神分裂病者だけ。一方的に、自分のことだけしか話さない。相手の話を聞こうともしない」ということが起こるでしょう。頭に思い浮ぶのは、自分の弛緩(しかん)を妨げる現実の「不適合」のもたらす「緊張のこと」だけだからです。
●「日本型の分裂病」の起こり方を教えます
なぜ、こういう「精神分裂病」が起こるのでしょうか。分かりやすい例をご紹介します。
言語社会学者の鈴木孝夫は、『ことばと文化』(岩波新書)の中でこういうことを書いています。
- イギリス人が書いた小説の中にこういう描写がある。
「彼女は、ブルーのほうろうのティーポットを取り上げ、カンから手の平の上に出したお茶をポットに入れ、その上に水をそそぎ入れた」
- 別の小説の中の描写の一例。
「ヤカンがまだ本当に煮立っていないのに、ソマーズ嬢は水をお茶の上にそそいだ。有能な主任タイピストのグリフィス嬢が、ソマーズ、まだ水が煮立っていないわよ、と怒って言った」
- この例から分かるように実は、英語には、日本語の「湯」に当る言葉がないのである。Waterという一つの言葉を情況しだいで「水」のことにも「湯」のことにも使う。
- もちろん、英語でも「冷たい水」との区別をつけるときはhot waterと言うことができる。
だが、英語では、hotをわざわざつけなければならないということは、waterという言葉が元来、中立的な性質をもっていることを示すものだ。
- これに反して日本語の「水」は「冷たいという性質」をかなりはっきりもっている。「熱い水」という表現が不自然にひびくのも「四角い三角」と同じくらい矛盾したものだからである。
- ここでは、人間の言葉というものは、「対象の世界」を「ある特定の角度から勝手に切り取るというしくみをもつ」ということを分かる必要がある。
●「お大根を食べる?」がなぜ、分裂病をつくるのか?
日本人は、日本語を「人間関係をある特定の角度から勝手に切り取る」という仕方でつくっています。
それは、「自分を中心」にして「他者」を「遠い」「近い」に区別するという仕方です。この「遠い」「近い」は、もともとは「食物を手に入れるという行動パターン」に根ざしています。この「行動パターン」の上に、「人間関係」が重なり、「国家」という「共同幻想」が重ねられます。
このことは国語学者・大野晋が徹底して調査、論証しています。
「遠い所にあるもの」…「自然」「神」「魔物」「恐ろしいもの」。
「近い所にあるもの」…「家の垣根の内(うち)側」「親しいもの」「安心できるもの」「親愛なるもの」「時にはイバり、侮蔑してもよいもの」。
この「行動パターン」が日本語の「文法」になっています。すると、人間関係では、「家の外の人間」は「遠い位置にあるもの」なので、「近づくとき」は「敬語」「尊敬語」「ていねい語」「謙譲語」を使うことで、「恐ろしいもの」から身の安全を守る、ということをおこなうという日本語の使い方でなくてはなりません。
日本人は、「自分の内(うち)にあるもの、人間」には「親愛」と同時に「侮蔑」か「尊大語」を用います。
「尊大語」とは、自分を「上の位置において、高見から見下す」という言葉づかいです。
「今日は、お休みします」(会社に電話連絡のケース)というのは「尊大語」です。自分の「休む」という行為に「敬語」の「お」をつけているからです。
「今日の夕食、お大根を食べる?」(妻が夫に)というのは相対的な尊大語です。
「大根」には敬語の「お」をつけて、「夫」という人間には「ていねい語」を省略しているからです。人間よりも大根を「上位のもの」と見なして「夫」を見下していることになります。
●日本人は「尊大語」を使って、人間関係から孤立する
これが日本語との「不適合」のケースです。この妻は、夫を見下すことで、無意識のうちに「相手を不可解なもの」と認知する、つまり、相手の考えや意思が分からなくなって孤立する、という不適応をつくることになるでしょう。
このモデルが「日本型の分裂病」の発生の機序になるのです。
『谷川うさ子王国物語』は、日本人の「精神分裂病」の原因と根拠を修正して、改善するために研究・開発されました。
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