全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.146

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■『言語にとって美とはなにか』(吉本隆明)と『言語と認知』(ノーム・チョムスキー)

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●日本の経済社会の「現在」とはこういうものです

平成21年も、あと一ヵ月で終わろうとしています。昨年の「今頃」は、アメリカ発の「金融システムのバブル」が崩壊して、世界恐慌をひきおこしかねない「金融の信用収縮」が起こって「世界同時不況」(世界同時景気後退)を発生させたという状況にありました。「雇用」を守るために政府による公的資金が「金融機関」や「大企業」に投入されて、実体経済の崩壊への波及への歯ドメがかけられたというのが、全世界に共通の状況でした。

今、「アメリカ発の金融システムのバブル」の崩壊から「一年」が経過しました。最大の問題は何かというと「雇用状勢」がいっこうに好転していなくて、「失業状態」と「隠れ失業状態」が改善されないままに継続しているということです。アメリカは「一千万人規模の失業者数」ですし、日本もほぼこの「一千万人」に準ずる「失業者数」の状況です。

●これからの日本はどうなるのか

このような世界に共通の経済状況の問題を目の前において、今年の年末から来年にかけて、どういう対策が立てられているのでしょうか。
おもなものは、「公的資金」の継続投下です。アメリカでは、金融機関や大企業の「再生」のために大量投下されています。EU(欧州連合)も同じようなものです。中国は、「インフラ」といって、社会の公共施設の建設に大量の公的資金が投下されています。日本は、自民党政権のときに大企業の数社に公的資金が投入されましたが、民主党政権に変わってからは「福祉」に大量投入するという方向で、そのための「財源」の捻出にすでに決まっていた「税による予算」の削減活動がおこなわれました。
「企業」の育成や競争力の活性化よりも、「家計」に公的資金を振り向けている、という批判が、民主党政権にたいしておこなわれています。「バラまき型の内需で、しかしそれは経済成長につながる内需ではない」というものです。

●日本人の本当の問題は「行動停止」である

ポルソナーレの「谷川うさ子」の見解は、今の日本の経済社会の現実についてはこうです。
「失業率の高い推移」に象徴されることは、「日本人の危機は、行動が止まる」(行動停止)にあるのです。
具体的な事例をお話します。
平成21年11月29日付の日経の『けいざい解読』欄に、編集委員の吉田忠則がこう書いています。

  1. 鳩山由紀夫首相は、アジアの各国の首脳と会うたびに「東アジア共同体」を提唱している。目的と意義は、「友愛のきずなをつくれないか」というものだ。響きはいいが、曖昧な言葉を使って説明する。
  2. だが、共同体構想には、今よりも厳しい競争をする覚悟が日本人には必要だ。
  3. まず、中国とどんな関係を築くかだ。日本と比べて中国は関税が高い。投資の自由化や知的財産権の保護などが中国との交渉事項になるだろう。
  4. 中国が日本から欲しいものは何か?まず「技術力」と考えるだろう。とくに環境関連の技術力だろう。
    では、本当に日本の環境技術力は優れているのか。
    日本貿易振興機構(ジェトロ)によると「中国の技術は、年々上がっている。水処理などの技術は日本が先を進んでいるが、熱制御などは、中国にほとんど追いぬかれた分野もある。」
  5. 「世界の中・高生」が競う「国際科学オリンピック」で「数学」が2位に入った。この「2位」は過去最高だ。だが、「1位は中国」、中国は「情報」「生物学」「物理」でも「1位」だった。残る「化学」は「1位」が「台湾」で、「2位」は中国だ。

●日本人はなぜ「曖昧」なことを言い、行動するのか

■日経の編集委員、吉田忠則は三つのことを語っています。

  1. 日本の政治のリーダーの鳩山由紀夫首相は、「曖昧な日本語」「日本語による曖昧な話し言葉の主旨」を話している。
    そして「曖昧な言葉」が多い。
  2. 日本の製造業の技術力は今、世界の市場で競争力をもつほどには、必ずしも高いとはいえない。
  3. 経済の成長力と国際的な競争力は、一つの指標として中学生、高校生の学力で判断することが可能だが、鳩山首相のいう「友愛」を実現させる競争力の実体の「学力」は、「中国」「台湾」よりも低い。

「行動が止まる」ということの典型を民主党の首相は象徴しています。
「日本のデフレ型不況は、今、スタグフレーションに直面して、実体経済にダメージを及ばせている点では、先進国の中でも類がないものだ」という状況にあるのが、現在の日本です。
「首相発言の曖昧さ」は、「競争力」や「競争力の土台の学力づくり」「学的な知性づくり」にたいして「行動が止まっている」ということの日本の国民の象徴でもあります。

日本人の行動や言葉が「曖昧である」ことは、言語社会学者・鈴木孝夫や国語学者・大野晋が指摘しているとおりです。
そのもともとの根拠は、「日本語」(和語・やまとことば。ひらがな)にあります。

  1. 説明の「省略」の文、文章を構文の特質とする。
  2. 「過去」「現在」「未来」の時制の区別がない(10年前のことを昨日のことのように考える)。
  3. 「否定語の表現」でものごとを「肯定」する。
  4. 「未来のこと」は、主観的な推測の言葉で表現する。

これが、日本語による「曖昧表現」の文法のメカニズムの特性です。ひっくるめていうと、日本語は「主観の表現」を目的としていて、「客観表現」のためには用いられにくいメカニズムになっているということです。

●「推移律」について

「客観表現」とはどういうものでしょうか。具体的な例は、遠山啓(ひらく)の開発した「水道方式」です。次のようなものです。

  1. 私たちが、数(かず)を計算する時は、何かを思い浮べながら計算する。計算をうまくやるには、数をあらわす何かを頭の中に思い浮べながら、それを手がかりにしながら計算していくのがよい。
  2. 頭の中で思い浮べる何かの映像のことをシェーマ(Schema)という。タイルも「シェーマ」の一種である。
    しかも、数をつかむには最も適切なシェーマである(タイル…2センチ四方の正方形の厚紙)。
  3. 数の言葉を丸暗記しても、数の意味を知ったことにはならない。では、数の意味とは何か。1,2,3,4…という数は一体何か?1は一つのリンゴ、一つのミカン、一つのおはじき…などに共通の名前だ。2は二つのリンゴの集まり、二つのミカンの集まり、に共通の名前だ。
    「同じ家族のもの」が「同じ姓」をもっていることと同じだ。この「同じ家族のメンバー」であることを確かめるにはどうしたらいいか。それには「一対一対応」をつけてみる。リンゴの一つとミカンの一つを結びつけて、どちらにも不足も余りもないこと、「一対一対応」がつけられたら、リンゴの集まりと、ミカンの集まりは「同じ3」ということになる。
  4. 「二つの集まり」でなく、「三つの集まり」があるとき「推移律」ということが出てくる。
    リンゴ、ミカン、ナシの集まりがあるとする。ここでリンゴとミカンの集まりは一対一対応ができ、また、ミカンとナシの集まりが一対一対応ができるものとする。このとき、リンゴの集まりとナシの集まりも一対一対応ができている。このことを「推移律」という。二つの集まりの大小を直接比較できないときは、間接比較をおこなう。この間接比較の仲立ちがタイルであってもよい。
    頭の中で思い浮べられやすいものがいいのでタイルだ。
    (遠山啓・栗原九十郎『幼児の算数』国土社・刊)

●推移律が身につかないとものごとを正しく分かることはできない

■この「推移律」あるいは「因果律」ということを正しく理解して、そして、「幼児に数を教える」ように実践的におこなうという日常の習慣がないと、日経の編集委員の吉田忠則のいうように「物理」「生物」「情報」「数学」の学力が正しく伸びるということは難しいのです。学習を諦める、という行動停止に陥るでしょう。「リンゴも一つ一つ数える」「ナシも一つ一つ数える」という「暗記主義」(数え主義)の行動をおこない、「数えることが好きじゃない」というように遠ざける、という「行動停止」にも陥るでしょう。

遠山啓は、「数を数える」という「数理」の推移律をのべています。「数を数える」とは、「ものごとを正しく分かること」の一つです。すると、「ものごとを正しく分かる」という時には、「タイル」に相当するシェーマとなるものがつねに必要であるということになります。
このように考えることも「推移律」です。

●『言語にとって美とはなにか』のいちばんの核心点とはこういうものです

吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』(勁草書房)では、人間の言語の生成のしくみが、推移律によって解き明かされています。

  1. 器官的、生理的な次元の発達がある。そして意識の次元の強化の発達があるだろう。
  2. この意識の発達とは、意識の自己表出性の発達にともなう、自己を対象化しうる能力の発達のことだ。
  3. あるところまで意識は、強い構造をもつようになったとき、現実的な対象にたいする反射なしに自発的に有節音声を発することができるようになり、それによって逆に、対象の像を指示できるようになる。
  4. このようにして、有節音声は、言語としての条件をすべて具えるにいたるのである。
  5. 有節音声が自己表出として発せられるようになったとき、言語としての条件をもつようになったとき、言語は、現実との一義的な関係をもたなくなった。
    (『言語にとって美とはなにか』第1巻、33ページ)

■この文章が本になって公表されたのは昭和40年です。「推移律」を学習して訓練して身についている人が多くいたために、共感と感銘を受けて、この言語理論が支持されました。

ここで推移律のシェーマになるのは、「意識の発達」「自己表出性の発達」ということです。そして「自己表出性」と「音声」が「言語の条件」をそなえると、「対象の像」をもち、「現実との一義性をもたなくなった」ということです。
遠山啓のいう「タイル」は、リンゴ、ミカン、ナシなどの物の属性を捨象した「質としての量」のことだ、という構造をもっています。
同じように、「自己表出性」も「有節音声とむすびついた自己表出性の対象の像」も構造をもっています。
共通する構造は「イメージ」(シェーマ・Schema)です。
自己表出性もシェーマ(イメージ)です。同じように「対象の像」もシェーマ(イメージ)です。この両者の違いとは何か?が正しく分かることが、「人間とは、心や精神という観念と、生理的身体の二つで成り立っている」という理解にいきつきます。
「言葉」および「言語」とは「自己表出性」という自律神経の恒常性によってつくられたイメージ(表象ということです)が、「概念としての像」(有節音声という母音や子音による記号で形象像をつくること)に進歩したときが「言語」であるという理解をもてば、心の病(やまい)は消失します。

●破壊的な行動停止を産出するノーム・チョムスキーのプラグマティズム

ノーム・チョムスキーの次のような説明と比べてみましょう。

  1. (脳の中の)言語機能の初期状態がある。これは一群の下位システム、ないしモデュールと呼ばれているものから構成されている。
  2. これらの原理の一つ、一つは、ある特定の非常に限られた変異の可能性を許している。われわれは、そのシステムを一つの複雑なネットワークと考えることができる。そのネットワークは、有限個のスイッチをもつスイッチボックスとむすびついている。
  3. そのネットワークは変化しないが、個々のスイッチは、オンかオフの二つの位置のどれかをとる。すると、言語表現へ無限の解釈が与えられるようになる。
    (『言語と認知』秀英書房)

このようなプラグマティズムが工学的な「数理モデル」を合目的的につくり上げて、「金融派生商品」をつくり、「金融システムのバブル」をつくり上げました。「人間の認知」も「人間の認識」も拒絶して「行動停止」に追いやるというように成り立つので、この理論にかかわった人を全て病理化しています。
最近の「クラウド・コンピューターティーチング」も、新たな行動停止を産出するものの一つであるでしょう。

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ポルソナーレの『谷川うさ子王国物語』は、日本語そのもののもつ行動停止をくぐりぬけて、知性による行動能力を育成します。
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