全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

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ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
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■『言語にとって美とはなにか』(吉本隆明)から見た日本人の病理のメカニズム

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●日本人の病理の特質

ポルソナーレが解明した日本人の病理とは、日本型の精神分裂病が第一期、第二期、第三期と変化していくというものです。この進行の中で「うつ病」や「躁病」、そして「自律神経のアレルギー症状」、「妄想を中心とする強迫観念」や、「妄想とともに自閉すると幻聴や幻覚の症状をあらわす」というカテゴリーごとの病理をあらわします。病理のカテゴリーの第三期に入ると、「痴呆の症状」が中心になります。
このような理解は、精神医学史の中の臨床の考察をとおして得られたものです。

しかし、このような心や精神の病理については、日本人の精神医学は何も語りません。皆さまも、ポルソナーレ以外のところではこのような見解は見たことも聞いたこともないと思われているでしょう。ですが、ポルソナーレが語っていることは、昭和の初めごろまではごく普通の議論の内容でした。

●『言語にとって美とはなにか』の歴史的意義

では、なぜ、日本人の心の病は、年間の自殺者が11年連続で3万人を超えるということに象徴されるように放置されているのでしょうか。その最大の理由は、吉本隆明の書いた『言語にとって美とはなにか』(勁草書房・刊)を正確に読むという認識の知的能力を誰も育てることができなかったということにあります。つまり、日本人は、同じ人間なので誰にも目があり、耳があり、手や足があるので、これらの「五官覚」の自然な生理学的な知覚をとおして分かったことは話したり、書いたり、行動にあらわすことはできます。これは、「認知」による「あらわし方」というものです。

この「認知」というのは、カラスも犬も猫も、ペットのインコも、ミツバチもおこなうものです。日本人のものの考え方というのは、この「認知」が中心になっているので、程度の問題をとりはらっていえば、カラスや猫や犬、インコと同じカテゴリーでおこなっています。吉本隆明は、このカテゴリーを「位相」という言い方で書きあらわしています。
日本人は、ものごとを「分かる」という知的な行為を、カラスとか猫、犬、ミツバチ、ハトなどと同じ知覚のカテゴリー(位相)でおこなっているのです。言葉を変えると、「認識・にんしき」という脳の働き方のカテゴリー(位相)をいびつに歪めて、妄想を語り、妄想を自分の子どもにも教え、妄想の破壊する身体機能の病理症状を放置する、というように精神活動をおこなっているのが、今の日本人の平均以上の本当の姿です。

●『言語にとって美とはなにか』の読み方

なぜこんなにひどい事態になったのか?と考えてみると、吉本隆明の書いた『言語にとって美とはなにか』を正確に読むということを誰も、ただの一人もおこなわなかったことにあります。『言語にとって美とはなにか』を嫌いで読んだ、好きで読んだ、人気だから読んだ、でもいいのですが、とにかく「読む」ということは、おこなわれていることはじじつです。すると、第Ⅰ巻の初めのあたりの33ページにこう書いてあります。
「人間は、なぜ言葉というものを言いあらわすようになったのか」というテーマへの問いと回答の個所です。
要旨を整理して、ご紹介します。

(1)原始のころの人間は、食べ物を手に入れるという働きをおこなった。すると、この労働の中で、人間の生理的身体にも変化がおこった。
この変化を発達といってもよい。

(2)しかし、このような身体と人間が言葉を生成させたこととは、別の問題である。これは、人間の「意識」にかかわるもので、「物理」としての「生理」(身体)とは「カテゴリー」(位相)が違うものだ。カテゴリーが違うとは、浴室と台所というカテゴリーが違うのと同じくらい別のものだ。

■ポルソナーレの解説

この一見して簡単そうな説明がじつは、最大の問題なのです。
吉本隆明は、非常にゆきとどいて、この説明のためにエンゲルスやカッシーラーといった西欧の知の権威の論考を検証しています。彼らは、「物理」ということと「言語」(ひいては観念。さらに観念のカテゴリーを類別して幻想とか、人間的意識、という抽象のカテゴリーがとらえられます)ということが区別できていない、ということが明らかになります。『言語にとって美とはなにか』で、この区別が初めておこなわれました。
それまでは、「生理的身体」(物理)と「観念」(人間的な意識がつくるイメージ)との区別をつけるという発想は、少なくとも日本には無かったのです。今でもおおくの人は、自分が思い浮べる観念の変型版の妄想と、事実についての表現的なイメージとの区別がつかないままに毎日を生きています。
しかし、当時でも、フランスやイギリス、そしてドイツの哲学者は、「観念」として表現されるイメージの一つ一つをこまかく考察の対象にしていたのです。その知性の水準の域に、日本人の知性を一気に引き上げたのが『言語にとって美とはなにか』だったのです。

●『言語にとって美とはなにか』の核心点とはこういうものです

(3)原初の人間は、意識の次元の強化、発達をもった。意識の自己表出性の発達と、自己を対象化しうる能力の発達ということだ。

(4)それは、どのようにおこなわれたのか。現実的な対象にたいして反射なしに、自発的に有節音声を発することができるようになった、ということと、対象の像を指示できるようになった、ということだ。

■ポルソナーレの解説

ここでは、まず、言葉をつくり出すための人間の脳はどうなっているか?ということを考える必要があります。そういうことを考えに入れる、ということが、抽象的なことを考えるときは非常に大切なことなのです。
人間の脳は三層で構成されています。大脳新皮質、大脳辺縁系、脳幹の三層です。さらに、大脳新皮質は、「左脳」と「右脳」とに分かれて、セットで、ものごとを同時に記憶します。
左脳はデジタル脳で、「認識」をつかさどります。右脳は、アナログ脳で、「認知」をつかさどります。
どんなふうに働くのかというと、五官覚の目か耳のどれかが知覚したものについて、「右脳系の前頭葉」にイメージが思い浮びます。このイメージのことを「表象」といいます。なぜ、表象というのかというと、「恒常的に思い浮ぶ」からです。人間は、一日24時間、何かについてのイメージが思い浮びつづけています。
これは自律神経の働きで、こんなふうになっているのです。自律神経の働きのことを恒常性(ホメオスタシス)といいます。
なんのためにこういうイメージがいつも思い浮ぶのかというと「長期行動」のためです。
「長期行動」とは、同じ行動をくりかえす、ということです。一回とか、ごくたまにしか行動しないことを「短期行動」といいます。
この「長期行動のイメージ」が『言語にとって美とはなにか』でいわれている「自己表出性」という概念です。
行動が共有されたり、同一の行動を同時に、「3人」の人間が表象する時、その表象のイメージは、客観的な行動のためのイメージとして、静止したイメージがとらえられるでしょう。
「自己を対象化する」というのはこういうことを指しているのです。

●「自己を対象化するようになった」とはこういうことです

「自己」とは、何のことでしょうか。
「自」も「己」も自分自身のことです。なぜ、「自」と「己」と二つ重ねた漢語になっているのでしょうか。「自」とは、他者と自分とを区別したときの「自分」のことです。「己」とは、「感情」とか「感覚」を含んだ部分の「自分」のことです。
だから「自己を対象化する」というのは、嬉しいとか欲しいとか、心配だとか安心だといった、感覚系の知覚の記憶が「イメージとして思い浮ぶこと」であり、このイメージを客観的な対象にして関わっている、ということになるのです。
これは、「左脳の働き」によっておこなわれるので、「認識している」ということになります。
『言語にとって美とはなにか』の言語理論の核心と、到達点は、この一点に尽きます。なぜかといえば、これ以降の展開は、この「自己を対象化する」ということの具体的なカテゴリーが、いくつも、いくつも解明されるというプロットの立て方になっているからです。
この「自己を対象化する」ということが「右脳系の前頭葉に表象されているイメージ」のことだなという認識の仕方が正しく理解できれば、いくつかの手順をとりさえすれば「妄想」とか「正常」とかの区別はたちどころにつきます。すると、「人の目が気になる」とか「不適応」に陥って「うつ病になる」といったことは絶対に起こりません。
しかし、このことを誰も理解できなかったので、年間3万人以上の自殺者がつづき、仕事に行けないとか、精神科に行って薬をもらって飲んで、副作用で痴呆化の道を歩いている人が多くなっているのです。副作用とは、たとえていうと、「今は12月の晩秋なのに、思い浮ぶイメージは、夏の海水浴の自分を表象させている」といったことと同じです。

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