全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.153

脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー 『谷川うさ子王国物語

「日めくり式のプリント形式のテキスト」
「最強の言語能力に変わる性格教育法」のご案内

■「人間の観念」とはどういうものか?

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●『谷川うさ子王国物語』のご案内

『谷川うさ子王国物語』は、平成22年1月現在、第8ヵ月めのテキストを製作、編集しています。
1月の3週めに「8ヵ月めの1週と2週」分のテキストを配送します。残りの「3週と4週」分は、1月の5週に配送の段取りで進めています。

第8ヵ月めの企画・編集のモチーフは、日本人の「観念の世界」とはどういうものか?の実体を学んでいただきます。

●「観念」とは?について

日本人の「観念の世界」の根本的な成り立ち方は、ひとくちにいうと「女性」が「見下されていること」「尊大の対象」にされていること、です。
これは、国語学者・大野晋の和語(やまとことば)の研究と調査による理解です。
国語学者・大野晋によると、日本の女性は、「奈良時代」までは「妻問婚」(つまどいこん)の対象でした。男性が女性を訪ねていき、了承してもらえば女性の家に泊り、次の日、女性の家から自宅に帰って仕事をするか、職場に行く、というのが「妻問婚」です。
これは、女性に家、土地などの財産があって、経済的にも精神的にも自立していて、自分の人生の生き方は自分で決めていたということを意味しています。
したがって、当時の日本の女性の「観念の世界」には、現実の空間の世界に見合って無限の広がりがありました。
恋愛をすれば、自分が行動して男性の訪れを目で確かめに行く、という束縛されない行動の自由をもっていたのです。
現実の風景を見ても、脈絡のある内容を構成してそのプロットの上で概念を規定するという思考と表現の知性を自分のものにしていました。
大野晋によれば、次のような歌がそのモデルになります。

●奈良時代の日本女性

君に恋ひいたも術(すべ)なみ
奈良山の小松が下に立ち嘆くかも
(『万葉集』笠郎女(かさのいらつめ))

春過ぎて夏来(きた)るらし
白妙(しろたへ)の衣(ころも)乾(ほ)したり
天の香具山
(『万葉集』持統女帝)

大野晋の歌の解釈とは違いますが、ポルソナーレの『谷川うさ子王国物語』の編集・製作会議の見解は、こうです。
笠郎女(かさのいらつめ)という女性が大伴家持(おおとものやかもち)という男性に贈った歌は、目で見る視覚による知覚がとらえた空間性の光景と自らが行動したプロセスとが一致しています。視覚のY経路の認知が「三次元の空間」として統一されて構成されています。
現代の日本女性ならこの描写をどうとらえるでしょうか。
おそらく、「奈良山の小松」などは見えなくて、男性の心理を想像するでしょう。「嘆くかも」は、自分の無力感の表現となり、ガマンしてじっと忍耐している自己像を哀切調で語るでしょう。Y経路による空間性の表象が狭くなると、「観念の世界」では、身体の感覚や神経系統のつくる感情が固定的なイメージをつくります。ここには、「奈良山」や「小松」の空間性が無いと見てみましょう。なにか孤独で、どこかしら孤立している狭さが感じられるでしょう。
ヘーゲルが『精神現象学』で規定している「媒介」が無いためです。ヘーゲルは「媒介」のことを自己と他者とを仲立ちするもので、「実体」と等しくするもののことだ、といっています。
「実体」とは、ヘーゲルの哲学では、「変化するもの」「そのものを存在たらしめている本質をもつもの」といっています。すると「笠郎女」(かさのいらつめ)にとって「奈良山」も「小松」も「媒介」です。
「男性が見える」ということの「媒介」です。「見える」とは、「自分の方に向かって歩いてくる」「自分のために心を砕き、労を惜しまず、いつも観念の世界に背景として表象させてくれている」という実体を相等しく今の自分とむすびつけてくれている、という「媒介」になります。
このような女性の「観念の世界」では、男性の語る言葉、行動の語りが新たな「指示表出性」(『言語にとって美とはなにか』吉本隆明より)として運動し、展開していくでしょう。このように「観念の世界」が運動し、展開していくことが「生命活動」というもので、充実であり、新たな実体となる、とヘーゲルは『精神現象学』でのべます。

●現代日本の女性

現代の女性には、奈良時代の女性のこのような「精神の自由」はなく、「小松」の下に立って男性の姿が見えなければ、たちまち、自分の神経症の症状とここからの苦痛感の辛さという孤立の長期記憶を想起して、ここにまつわりつくエピソード記憶を語り始めるでしょう。「誠意がない」「私は友だちなのか」「単なる友だちよりもそれ以下なのか」、などです。

持統女帝の歌は、さらにY経路の空間認知の構成が、さらに高度に洗練されています。こういう文体を「体言止め」といいます。「体言」とは「名詞」のことです。
日本人は、なにがどうした、なにがどうなった、など「動詞文」しか書けないことをご存知でしょうか。「名詞文」「形容詞文」というのは、ものごとの有様を「実質」からとらえて「形式」の上に「自己」を表象させることです。
「実質」とは、ヘーゲルの哲学では、そのものの内容の中心になるもの、ということです。
「自己」についても、ヘーゲルは規定しています。自分の意識だけでものごとがあることを「評価」してイメージすること、ということです。ヘーゲルは、こんなふうに人間の「意識の働き方」についてげんみつです。
すると持統女帝は、現実の状況を変化するもの、変化して新たな概念を生成するもの、その変化の内容は「知見」や「見地」によってとらえられて「自分」を新たに関係づけさせるものだ、ということを表象させています。これは、当時も、現代でも、非常に知性の高い精神を意味します。

●現代日本の女性の「観念の世界」

現代の日本女性ならどうとらえるのでしょうか。
「天の香具山」に「白妙の衣」ではなくて、おもしろい恋愛ドラマの記憶とか、実りの期待できる青い木の実、そろそろ咲き始めるユリの花とかその香り、といったような、自分の五官覚に直接、一致させてくれる「自己態」を思い浮べるのではないでしょうか。「自己態」というのもヘーゲルの哲学の言葉です。
日常的にはあまり聞きません。
「態」とは、ふつうの言い方でいうと「ものの形」とか「ものの姿」「ものの様子」ということです。
「自己」とは、自分の「観念の世界に思い浮ぶ像」のことで、「指示表出」(『言語にとって美とはなにか』吉本隆明より)によって表象された「精神としての自分」といったふうな意味です。なぜ、「自己」という言い方をするのかというと、人間は、「私は○○です」「私の考えでは…」というように、現実の自分とは別の自分についてもイメージするからです。この「私は○○です」「私の考えでは…」の「私」という自分は、イメージの中の「自分」です。
こういう「自分」を指して「自己」というのが哲学という学的体系です。

そんな「自己の像」を、日常に感じる感情とか空想とか、あるいは、ひょっとして男性を待つときのいくらかの不安や心配の生(なま)の感情の次元から自由になる知性の域を示したのが「持統女帝」です。

●「うるわしい」の意味

こういう「観念の世界」を構築すると「自分の将来は?」とか「自分のことを一体、どう思っているのか?」といった「自己表出性」による「背景」や「状況」がいつも表象されている、という異常事態は消えて、解放されます。
「奈良時代」から「平安時代」にかけての日本の女性は、こういう「観念の世界」を独力で創り上げていました。だから、当時の男性は、「うるわしい」と畏敬の念を抱いたのです。
「うるわしい」とは、立っている姿がすばらしくて、女神のように輝いて見える、ということです。
「立っている姿」とは文字どおりの身体のことではなく、内的な精神のいきいきと躍動している展開性のある動きのことです。
『谷川うさ子王国物語』は、そんな日本女性と男性の「観念の世界」をパノラマのように、あなたの心象の情景として演じてごらんにいれます。

●お申し込みをご希望の方は、こちらからどうぞ。

TEL・東京03(3496)6645



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