みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●新政権
テレビでは、「新政権がスタートして半年が経った」ということがいわれています。「新政権」に変わったことの直接のきっかけは、2008年9月に起こった「アメリカ発・金融システムのバブルの崩壊」がもたらした「グローバル・リセッション」です。
「世界規模の景気後退」です。世界規模で「輸出市場」が蒸発しました。日本国は、世界の各国へ輸出することで安定的な輸入をおこない、「税収」を得てきました。
新政権は、この輸出による「税収」の代わりに「内需」によって日本の国の経済成長を図るとアピールしました。
「内需」とは、個々の家庭に「子ども手当て」などの名目で現金を配ることで「消費」を活性化して経済成長を可能にする、というものです。
●新政権を選んだ日本人
ここでは、だから新政権はダメだとか、言っていることが信用できない、ということをいいたいのではありません。
新政権を選んだのは日本の国民の一人一人ですし、三百議席を与えて、白紙委任状を渡したのも日本国民の一人一人だからです。
新政権は「マニフェスト」のとおりにしか政治行動をおこなわないので、まるまる4年間は現状どおりです。「デフレ型の不況」がつづいていき、やがて国債の信用をなくして「インフレ」が始まるであろう道を歩まされるのです。
「デフレ」とは、「物はあるが、しかし、お金が無い状態」のことです。「インフレ」とは、「お金はあるが、しかし、物が無い状態」のことです。
日本の国債の信用がなくなるだろうということのメカニズムについては、野口悠紀雄が「ついに国債破綻が始まった」(日本国債ついに格下げ。『政府の借金862兆円』で近づく国家の倒産)(『文藝春秋2010・3月号』)に書いています。
「グローバル・リセッション」は、全世界の経済現象です。しかし、「デフレ型の構造不況」に陥っているのは日本だけです。この「デフレ型不況」は、「アメリカ発・金融システムのバブルの崩壊」で一気に浮上しましたが、本当は、「日本のバブル経済の破綻」からずっと続いてきていた問題です。
入院中の重病人が、人工的な「延命装置」で命をつなぐような、問題の先送りによって今日まで引きずられてきました。「延命装置」とは、「アメリカ発・金融システムのバブル」のことです。
この「延命装置」にも似た「問題の先送りの期間」の約20年間、本当は何をしなければならなかったのでしょうか。
いいかえれば、今の日本の「デフレ型の不況」の中で、何がなされなければならないのでしょうか。
●日本人の現在
この問題を明確にするために、「帰納法」ふうに、日本人の現実の個々の問題を列挙してみます。
- 年間3万3千人の人が自殺している。12年間連続である(必ずしも経済問題が原因ではない)。
- 母親による「子どもの虐待」がつづいている。
(必ずしも、保育所不足が原因ではない。)
- 10代の女性が子どもを産んでシングルマザーとなり、母子ともに家の中に引きこもっている。
- 小学生の学級崩壊がまだ続いている。
- 民主党政権による「子ども手当て」が支給されても、「結婚して子どもを産みたい」と思う女性は、少ない。
否定的な考えの女性は60%以上である。
- 大学生、高校生の「就職の内定率」は「最悪」を更新している。
ちなみに、竹内靖雄(経済学者)は、「自殺の経済学」というテーマでこう書いています(『新潮45』2010・3月号)。
- 日本では、ここ10年以上、年間の自殺者が3万人を超えている。自殺率でいうと、ベラルーシ、リトアニア、ロシアなどにつづいて高い方の六位を占める。先進国では、上位を占める。
- 以前は、豊かな社会ほど自殺率と犯罪の発生率は高いといわれていたが、今は、ヨーロッパ諸国は日本の半分以下になっている。
- 中南米諸国は自殺が少なく、イスラム諸国も少ない。また、極度の貧困、内戦などを抱えている国々、つまり、日本よりも劣悪な生存条件の下にある社会も、人は、ほとんど自殺しない。
- 日本が「豊かな国」でありながら自殺が多いということは、他の貧しい国々の社会以上に「生きていくのが困難」であり、「社会の仕組み」「日本人そのもの」に「特別の問題」がひそんでいることを意味する。
- 現在の日本は、徹底した個人主義の社会で、個人はもっぱら「市場」に依存しながら自立して生きている。だが、その「個人」は「独立自尊」の強い個人とはいえない。実は「孤立無援の状態にある弱い個人」にすぎない。
何かがあれば簡単に壊れそうな、脆(もろ)い存在である。
- 困難は、人さまざまで、その困難に対する抵抗力も人さまざまである。弱い人は、ちょっとしたことで簡単に自殺する。
- 本当の問題は、「孤立無縁」の「無縁」にあるというよりも、「孤立」にある。
家族、社会と関係をもてない「孤立」のことだ。
本当の問題は「孤立」して「無縁」ではなくて「無縁」の状態が広がっていることにある。
●原因は何か?
■竹内靖雄が指摘している「孤立」の原因は、「日本語(和語)にある」と、ポルソナーレは考えています。
国語学者・大野晋は、『日本語の文法を考える』(岩波新書)の中で、こう書いています。
- 日本の社会の仕組みとそこでの言葉の役割、ヨーロッパの社会の仕組みとそこでの言葉の役割とにかなりの違いがある。
- ヨーロッパの人々は、どこの誰とも知らない人同士が集まり、「我」と「汝」との間(Iとyou)に深い越えがたい「谷」を持つと認め合う人々が、それぞれ、「言葉」に頼って人間関係を結び、合意や同意、契約をかわす。
そこでは、「動作」を「私」がしたのか「あなた」がしたのか「彼」がしたのかをそのつど、こまかく区別して言い立てる。
誤解のないように「言葉」によって物事を明確に限定する。
- 日本人は、「相手に分かっていること」は、「主語」でも「述語」でも省略する。「省略」を習慣化している。
- 日本人は、「相手が知っていること」は「省略して言わない」のが「相手への気遣い」だと思っている。相手への「配慮」がつねに働く。
日本人は、相手の知らないことを伝えることを「日本語の基本的な構文の条件」にしている。
●脳の働き方
■大野晋がここでのべていることは、大野晋が意図している以上にはるかに重要な意味をもっています。
ヨーロッパ語の「主語」「述語」とは、次のとおりの内容になっています。
- 主語=「命題」(判断)において、それについて何か(述語)が述べられている当の項辞。
「人は動物である」という「命題」では「人」が「主語」。
(主語=主辞=主概念。)
- 述語=「命題」(判断)において、「主語」に対して付加(肯定または否定)される項辞(概念)。
「日本は島国である」の「島国」の類。
(述語=賓辞(ひんじ)。)
■「左脳・前頭葉」には「命題」の「主語」が表象し、「右脳・前頭葉」には「主語」の概念に相当する「像」が表象します。
ついで「左脳・前頭葉」に「述語」の言葉が表象して「命題」が成り立ちます。同時に、「右脳・前頭葉」に「主語+述語の像」が表象します。ここからさらに、「命題」を「真か偽(ぎ)か」を問う「概念」と「像」が表象しつづけます。
●日本語では「命題」が立てられない
■日本語(和語)の場合はこのような「真」か「偽(ぎ)」かを問う「命題」が成立しないか、成立しなくてもよい、と思考する「構文」しかありません。これが日本人の「孤立」の真の原因です。
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