みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●あなたは「ヤル気」がありますか?
あなたは、今、なんとなく「ヤル気が起きない」「積極的に、意欲をもって実行できない」という気分になっていませんか。
「体がだるい」とか「元気が出ない」という状態です。
では、なぜ「ヤル気が起きないのか?」「元気を出す気分になれないのか?」と質問したとします。すると、その答えは、あなたの頭の中に、次の二つのイメージが思い浮んでいるのに気づくのではありませんか。
一つは、A・「このままでもいいか…という言葉のつくる安心している自分の姿」です。もう一つは、B・自分の身体に感じる症状」です。次の「症状」のどれかです。
●Bの身体症状
- 心臓がドキドキする。
- 冷や汗が出る。
- 身体や手足から力がぬけてフラフラしたり、ふるえる感覚がおこる。
- 呼吸が速くなる。胸に圧迫感があって、息苦しい。
- 息が詰る。話すと「ハー、ハー」と苦しさを感じる。
- 胸が痛くなる。もしくは、首やお腹に不快感を感じる。
- 胃が痛くなる。お腹がモヤモヤと圧迫されている感じがある。
- 軽く目まいがする。頭がスッと軽くなって、足元がフラつく。
- 現実感がなくなる。自分は今、頭の中に思い浮んでいるイメージの世界にいるようだ、と感じる。「現実の時間感覚」から離れた世界にいるようだ、という意識に変わっている。
- 自分は、「叫ぶ」とか、「怒鳴る」とか、「無意味な行動に走る」とか、「意味のない行為」を人の前であらわすのではないか?と予期する。
- 自分は、このまま、人生が終わって痴呆になったり、寝たきりになるのではないか?と確信したくなる。
- 手足にマヒ感やシビレ感、思うように動かない障害感を感じる。
- 孤独感で寒けがして、人と話す力がなくなったと感じる。
- 眠って起きると、疲労感や熱っぽい感じがする。ボンヤリしていると楽になるが、一日の時間があっという間に過ぎていく。
●「ヤル気がない」のケーススタディ
◎ケーススタディ(『脳内不安物質』貝谷久宣、講談社、BLUE BACKSより)
■Aさんのケース
- Aさんは、小学生の時に三歳年上の兄とふざけて遊んでいた。兄は、Aさんを布団でぐるぐる巻にした。
「布団巻き」だ。息ができない、苦しい、という恐ろしさを味わった。
この時の記憶がいつまでも頭に思い浮ぶようになった。身動きできない、このまま窒息するのではないか?という自分の姿がいつでも思い浮ぶ。
- この時からAさんは、狭い所が恐くなった。トイレやエレベーターなどだ。トイレに入る時は窓を開ける、ドアを開けたままトイレの用をすますようになった。エレベーターに乗らなければ行けない高層ビルの展望台など高い所に行くことを嫌がるようになった。
- 彼女は、大学を卒業した。銀行に就職した。営業職に配属された。お客様の事務所に行くときは、高層ビルにオフィスがある得意先は避けた。七、八階ならば階段を使った。同僚と一緒に行くときは、口実をつくって、自分はエレベーターを使わず階段を駆け上がった。
- Aさんは、真面目さと努力が認められて、出世コースとされる本店勤務への異動が決まった。
Aさんは、喜べなかった。毎日が、憂うつになった。本店の異動先の職場は、高層ビルの二三階にあったからだ。
毎日、二三階までのエレベーターに乗ることがとてもできない。
まして、歩いたり駆け上がって階段を使って、職場に通うことは、できそうもない。
Aさんは、辞表を書いて辞めた。
■Bさんのケース
- Bさんは、国立大学を卒業した。地元の電力会社に就職した。入社三年目にはアメリカに、研修のために一年間留学した。帰国して二年目には、関係省庁の機関に、会社を代表して出向した。
- Bさんは、小さなミスもできないという強い緊張感の中で仕事をした。職場の同僚には他社から出向してきているエリートも多い。
- ある日、職場の上司、同僚と昼食をとりに食堂へ行った。別のテーブルには、隣の課のグループがいる。このことに気づいた。すると、何となく緊張が走り、顔がこわばった。目が笑えない。みそ汁の入ったお椀を持つ手が震える。心臓がドッキン、ドッキンと波打つ。
- 自分の手の震えを誰か見ているのではないか?と気になる。
緊張が足にも伝わる。フラつく感じがする。顔も赤くなった。同僚や上司に気づかれたのではないか?と心配になった。
昼食が喉に入らない。喉に詰って食べられなくなった。
お腹の調子がおもわしくないと断って、席を中座した。
- Bさんは、会社の中で他人と一緒に食事を摂ることができなくなった。他者と一緒に食事をすることに異常な恐怖感をもつようになった。職場の人間関係の付き合いが減る。
他者も話しかけてこない。
人と話すことが減り、仕事の中でも孤立しはじめた。
仕事は減り、決まりきったわずかな仕事しかできなくなった。
●社会恐怖
■日本の精神科医が採用している「アメリカの精神医学会」による「精神疾患の分類と診断の手引き(マニュアル)・DSM-Ⅳ」では、「社会恐怖」に分類されている、と貝谷久宣は説明します。
「社会恐怖」の特徴は、「人前で恥をかくことを恐れる、みっともない姿や様子を見せることをひどく恐れる」というものだと説明しています。人が集まる場に立つと「顔が赤くなる」「手、指、身体が震える」「話すときに声が震える」「息苦しそうに話す」…などをまわりの人が注目しているのではないか?と気にし、そして不安になる、ということが「社会恐怖」の内容です。
周囲から見ると落ちついて冷静にふるまっているように見える、しかし、本人は、全く自信をもてずに、自分の失敗やみっともない姿しか思い浮ばない、というのが「社会恐怖」についての、アメリカをはじめ、日本の精神医療の一般的な理解の仕方です。
●バッド・イメージ
しかし、ポルソナーレが脳の働き方(言葉の生成のメカニズム)を解明した立場から見ると、「社会恐怖」の発生の原因とそのしくみは、「DSM-Ⅳ」とは違う説明になります。
◎ポルソナーレの「社会恐怖」の起こり方と原因の説明
- 「右脳の前頭葉」に「バッド・イメージ」(像)が表象している。この「バッド・イメージ」(像)とは、狭義には「皿をガチャンと割る」「壁に自分の頭をガツン、ガツンと叩く」という「自分の姿」である。
広義には「人と話をしない」「返事をしない」「勉強を止める」「仕事をしない」「あいさつをしない」(社会的に仲良くしない)「自分から人との関係を壊す」「掃除や入浴をしない」「部屋の後片付けをしない」「寝る時間、起きる時間を守らない」「運動をしない」「食事で野菜を摂らない」などといったものです。
病理症状としての「バッド・イメージ」というものがあります。
「薬物療法をつづけている」(副作用で自律神経のバランスが崩れて、正常な身体の行動ができなくなっている)、「学校や仕事を自分の意思で辞めた」「暴言を吐く」「虚偽のことを話す」「虐待やいじめをおこなう」「死ぬことを話す」「寝たきりに近い生活をおこなう」…などといったことです。
- これらのような「バッド・イメージ」の像は、「主語」として「右脳・前頭葉」に、常時「強迫観念」のように表象しつづけています。一年三百六十五日、一日も消えることなく、いつでもどこでも、どんな状況でも思い浮びつづけています。
- 「強迫観念」とは、例えば「玄関のカギを閉めたか、どうか?」を気にして、心配しつづける、だから、家を出て歩いている最中にも心配になって、確かめに戻る、しかし、確かめても再び心配になって、また確かめに戻る、というものです。このような強迫観念の時は、「手で開けると、スッと開く玄関のドア」の像が鮮明に思い浮びつづけて、消えません。
これと同じように思い浮びつづけるのが「バッド・イメージ」です。
- ケーススタディの「Aさん」にも「バッド・イメージ」が常に思い浮びつづけています。「エレベーターに乗らない」「狭い部屋には居たくない」という内容の「バッド・イメージ」です。もっと厳密にいうと「他者と協調して、同じ行動をとらない」「相手の行動に合わせることを壊す」という「バッド・イメージ」です。
- ケーススタディの「Bさん」にも「バッド・イメージ」が常に表象しつづけています。
「他者と気持ちの交流をつくらない」という「バッド・イメージ」です。「他者を上から見下し、他者に自分への従属を強いる」という「バッド・イメージ」です。
- このような「バッド・イメージ」の根拠は、日本語の「敬語体系」にあります。
国語学者・大野晋は、こんなふうに書いています。
●恐怖の原因
- 日本人の尊敬の意識は、相手を高く扱うか、低く扱うかという上下の判断にもとづく場合がもちろんある。ところが、日本人に、より基本的にある判断の型は、相手をウチの存在、馴れ合う存在と扱うか、それとも、ソトの存在、疎遠の存在と扱うかということである。
- ウチの輪の中では、日本人は、馴れ合う関係だから、時にはその間に無礼、失礼の行為もまじってもさしつかえない。
- ソト扱いとは疎遠と扱うこと、関係がうすいとすることだ。
あまり近しくせず、馴れ合いの関係としないことが、尊敬の対象とすることである。
尊敬の対象には、敬して遠ざかるのが根本の態度である。
- 日本人の尊敬の意識は、恐怖に始まる。
外扱い=①恐怖②畏怖③畏敬④尊敬⑤敬愛、
内扱い=⑥親愛⑦愛狎(あいこう)⑧軽蔑⑨侮蔑、
というような道をたどることが多い。根本には、恐怖が意識の底にあると考えられる。
- 日本人は、外扱いの人間関係の敬語体系の「畏怖」や「畏敬」や「尊敬」「敬愛」の中のそれぞれ、一つ一つの「言葉づかい」や「行儀」「マナー」「礼儀」の態度、話し方を全く知らないという場合に「恐怖」のイメージ(像)、すなわち「バッド・イメージ」しか思い浮ばなくなるのです。
したがって、ケーススタディの「Aさん」のように「小学生の時のフトン巻きの経験が記憶にある」といったことは「社会恐怖」の原因ではありません。このような記憶の想起は「確認バイアス」というものです。
「事後情報によって、記憶が変わる」ということによる説明のなされ方です。本当の原因は、「エレベーター」とか「狭い所」についての客観的な認識をおこないえない「認知の能力の不足」に求めるべきものです。
それは、生育歴の中の母親との関係や父親との関係の「不安定な愛着」のことです。
●不安定な愛着による「恐怖」のつくられ方
Aタイプ…「あれはこうだ」「これはこうだ」と勝手に決めつける。
Bタイプ…「自分はいつも気持ちが安心していないので、ちゃんと、正しくものが考えられない」
Cタイプ…「自分が気に入ったものは手段を選ばずに手に入れる。自分がこうと思ったことは、よほどのことがないと修正しない」
Dタイプ…「何もしないことがいちばんいいことだ。そのために自分がどうなろうとも、そういう結果には全く関心がない」
ケーススタディの「Aさん」は「不安定な愛着のBタイプ」の生育歴をもつ人です。ケーススタディの「Bさん」は「不安定な愛着のCタイプ」の生育歴をもつ人です。
「Aさん」も「Bさん」も、それぞれの生育歴の中で「ものごとを客観的にとらえきれない不完全な日本語」を抱えているので、「恐怖」=「バッド・イメージ」を常時、表象させているのです。
●美化のイメージ
■バッド・イメージの像は、「美化のイメージ」の像を「述語」にしています。「美化のイメージ」とは「お皿をがちゃんと割ると快感!!」と同じ意味のイメージです。「大脳辺縁系の中の中隔核=トカゲの脳」が、ドーパミンという快感ホルモンを分泌して、快感に感じさせます。
狭義の「美化のイメージ」は「物を壊す」「勉強を止める」「仕事を止める」「人をいじめる」「人を支配する」「人に隷属する」「人の言いなりになる」…の結果、対象が、「お皿が割れたときと同じように、壊れる」という時のイメージです。
広義の「美化のイメージ」は「人が困った表情をする」「人が苦しい表情をする」「人が不安な表情をする」「人が不幸になる」「人が病気になって苦しむ」「人が仕事に失敗する」「人が経済的に破綻する」…などが「お皿が割れた」などのようにイメージと現実がぴったりと一致すると「快感=安心」を感じます。この美化のイメージには「自分の病気」「自分の不幸」「自分の悲惨」「自分の死」も含まれます。
●恐怖症の対策
■もともとの原因は、大野晋の説明する「敬語体系」に見るように、日本語の言葉の意味を正しく知らないことにあります。知らないままに行動すると、それ自体が現実を無意識のうちに壊し、現実から孤立することになるでしょう。これを長い間くりかえすと、「バッド・イメージ」(=主語)、「美化のイメージ」(=述語)に変わるのです。
「社会恐怖」からの立ち直りにかぎらず、「恐怖症」からの立ち直りは、日本語の一般化の内容(コトバの意味)を正しく分かって、普遍的な知性を身につけるための道を歩くことしかありません。
そのためには、まず、恐怖なりのイメージを「ポルソナーレ式イメージ療法」で消して、学習の行動力を回復させることが正しい対策です。
ポルソナーレの「谷川うさ子王国物語」は、そのための学習用テキストです。ぜひ、一日も早い今すぐの学習をおすすめします。
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