みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●全国に広がる小・中・高校生の暴力をともなう病理
平成22年6月22日に、「第二の秋葉原無差別大量殺傷事件」ともいえる事件が起こりました。
今、日本では、「6月15日、横浜・私立女子高校」の「国語の授業中に隣の席の女子生徒をナイフで刺して重傷を負わせる」という事件でもうかがわれるように、「暴力」をともなう病理が激発しています。
平成22年6月26日付の日経の報道によると、文部科学省は「生徒どうし」「生徒による教師」への暴力行為が増えているので、「教員向けの対応マニュアル」を作って、全国の学校に配布すると発表しました。
文科省によると、2008年に全国の公私立の小中高校が把握した「学校内外での暴力行為」は5万9618件だということです。
3年連続で増えている、過去最多を更新した、小学校で24%増である、中学校では16%増である、高校は3%減少した、ということです。
文科省は、学識経験者で構成する研究会の意見を聞いています。
「コミュニケーションが下手で、いきなり暴力をふるう子が増えた」、「感情をうまく制御できない子が増えた。規範意識も低下している可能性がある」とのべています。
●「広島・マツダ工場大量無差別殺傷事件」
日本人の心の病(やまい)は、「暴力」をあらわす水準までに進行している、ということをご一緒に確かめています。
平成22年6月22日に起きた「広島・マツダ工場、大量無差別殺傷事件」では、1人が死亡し、11人が傷害を負っています。
この事件は、42歳の男性、元・期間従業員が起こしました。
新聞の報道による事実を整理すると、容疑者の男性は、次のような妄想を表象させていました。事件を起こす前に警察や知人に話している内容です。
「仕事に行っている間に、誰かにアパートに侵入され、家具の配置を変えられている。怖い。」(マツダで働いていた時に)
「ロッカーから物を盗まれた」
「何回も物の配置を変えられて(アパートの部屋の)、嫌がらせを受けている」
「お金を盗られた」
「盗聴器を仕掛けられている」
容疑者の男性は、このような発言を知人に話しています。
また、警察にも通報して、調べてもらっています。警察の確認やマツダ側の説明では、「具体的な被害は確認されなかった」ということです。
また、同容疑者は、このような状況の頃「眠れない」と周囲の人に漏らしている、とも報道されています。
●ポルソナーレの最新理論・右脳・前頭葉の「像」の理解の仕方を教えます
ポルソナーレは「脳の働き方=言葉の生成のメカニズム」の解明に成功しています。この位置から「マツダ工場・大量無差別殺傷事件」の容疑者の男性をはじめ、文科省の発表による「小・中・高校生の校内外での暴力」、そして、平成22年6月15日に起きた「横浜・私立清心女子高校」の「国語の授業中に隣の席の女子生徒をナイフで刺傷させた事件」を見ると、共通の脳の働き方がおこなわれています。
話を分かりやすくするために、要点をお話すると、こんなふうです。
◎日本人の間で傾向となっている「暴力」をあらわす病理をつくり出す「脳の働き方」についての説明
- 人間の脳は「脳幹」「大脳辺縁系」「大脳新皮質」の三層で成り立っている。
人間が、心や精神をつくるのは「大脳新皮質」である。
- 「大脳新皮質」は「左脳」(デジタル脳)と「右脳」(アナログ脳)とに分かれている。
- 人間が「ものを考える」というのは「右脳・前頭葉」に表象する「像」(イメージ)による(左脳・前頭葉は、文字、言葉、記号、数字を表象させる。この言葉や記号、数字を使って、「右脳・前頭葉」の「像」を変化させる)。
- 心の病(やまい)、精神の病(やまい)とは、「右脳・前頭葉に表象する像」が「心の病、精神の病の像」に変質し、やがて、完全に変化することである。
それは、簡単にいうと次のとおりである。
- 右脳・前頭葉には、二つの「像」が恒常的に表象している。
- 実像…目、耳、手、指、などの五官の知覚が集まって像をつくる。視覚の像によってまとめられる。
- 虚像…長期記憶がつくり出す像である。
「右脳系の海馬」が中心になって表象させる。
「左脳系の海馬」が長期記憶する「左脳・前頭葉の言葉」も、「右脳・前頭葉」に「虚像」を表象させる。
- 人間がものを考える、思考する、というのは「虚像」による。
- 話を分かりやすくするために、こんなふうに図式化する。
- 実像…濃い青色の水が入っているコップ
- 虚像…淡い青色の水が入っているコップ
- この虚像の「青い色の水の入っているコップ」の中に「赤い玉」がいくつかポツンポツンと浮びはじめる。この「赤い玉」は動かず、集まって集団をつくる。
この「赤い玉」は「バッド・イメージ」である。
- バッド・イメージ」とは、大脳辺縁系の中の「線状体」が表象させる「不安のイメージ」が素材である。
現実の中で「孤立」するたびに「赤い玉」の量が増える。
そして「虚像」の中で気になるくらいに増えると、この「赤い玉」の集合は「バッド・イメージ」に変わる。
- 脳は、快感原則で働いている。「バッド・イメージ」はノルアドレナリン(猛毒のホルモン)がつくる。脳の快感原則とは、ノルアドレナリンの分子構造が変化してドーパミンに変わることをいう。具体的な変化の仕方は、「バッド・イメージ」のとおりに「話す」「行動する」「実行する」と「バッド・イメージ=現実破壊」だから、「破壊された現実=バッド・イメージ」となって、ここで「ドーパミン」(快感ホルモン)が分泌する。
- 虚像」の中に「バッド・イメージ」が増えていく順序は、次のとおりである。
- 虚像の中に、時々「赤い玉」が発生する(現実と不適応のときに不安が思い浮ぶ)。
- 虚像の中に、なかなか消えない「赤い玉」の小さな集合が浮ぶ(ガスストーヴを消したかどうか?を心配する時の「強迫観念」のこと。(人の言ったことがいつまでも気になる、過去のことを気にする、などの「強迫観念」も同じ心的現象。)
- 虚像の中に、「赤い玉」が広がって「淡い青い水」が見えなくなる。(不安のイメージが「赤い玉=恐怖のイメージ」になる。)
- この虚像の「赤い玉」の集合が、「実像」のコップにも移行する。(赤い玉が活発に動く(時間性をもつ)ので、「実像」の中の「時間性」が止まる。すると、「実像」は、「赤い玉=バッド・イメージ」のとおりに認識される。これをバッド・イメージ=妄想による現実の侵犯という。)
- 虚像の中の「赤い玉」の集合は、「左脳・前頭葉」にも移行する。
「バッド・イメージの言葉=赤い玉の言葉」をつくり、増やす。(この「バッド・イメージ=赤い玉の言葉」が思い浮ぶと、「虚像」も「赤い玉一色」となる。)
●日本語の敬語体系のメカニズム
それは、国語学者・大野晋の説明する『日本語の敬語体系』です。この『日本語による敬語体系』についてもご紹介していますので、よくご存知のとおりです。
『日本語の敬語体系』を「マツダ工場事件」の「工場内に車を走らせた」ことや「清心女子高校」の「加害女子生徒」の「国語の授業」に置き換えることができます。『敬語体系』とは、必ずしも「人間関係」の中の「礼儀」「行儀」などの言葉や態度だけのことではありません。「いただく」「さしあげる」「おビール」「御飯」「お風呂」などのように、「物」や「行為」「所作」にも『敬語体系』が適用されているというのがその証拠です。
◎一般化されている『日本語の敬語体系』がつくる社会参加の不安と安心の意識のモデル
1.恐怖
安心…平伏に近い礼儀作法で関わる。仕事、勉強の場合は、自分の生命を左右する価値をもつ、と認識する。
不安…近づかない。近づくと自分が破壊されると認識する。もし近づく時は自分を保護してくれる人と同伴するか、代わりに近づいてもらう。
2.畏怖
安心…自分には手の届かない価値をもっているので、近づけない。近づく時は、正座して緊張した姿勢をくずさず、微動だにせず敬って向かい合う。
不安…もし、自分に与えてくれるものがあれば、自分の生涯の宝になるはずだが、自分には縁の無いものだと断念する。
3.畏敬
安心…今、自分がここに在るのはこの関係のおかげであるという謝意の念をもって最敬礼の姿勢で近づく。
不安…生きていく上で、生きる力になるものを与えてもらっているが、自分はそれを身につけられない。ただ、遠くから見て憧れたり、わずかの記憶を懐かしく思うしかない。
4.尊敬
安心…おじぎならば「45度」の角度で腰を折って謝意の言葉を言いあらわす。正座ならば、両手を付いて、額(ひたい)を畳(たたみ)に近づけて御礼の言葉をのべる。
不安…自分にとって必ずしも必要な価値を持っている、価値があるとは思えないので、自分の好みのもので満足を得る。だから妬(ねた)み、嫉(そね)みの対象ではあるが、 『すっぱいぶどう』のキツネのように、「あれは役に立たない」と誹謗(ひぼう)する。
5.敬愛
安心…おじぎならば「35度」の角度で、笑顔で感謝の言葉を言いあらわす。正座ならば両手を畳に付いて「35度」の角度で受け取っている恩義への謝意の言葉をのべる。
不安…「自分のものは自分のもの、相手のものはもちろん、自分のもの」という所有意識で、「自分の望んでいるものをくれない相手は、役に立たない」と否定する。「くれな いこと」を理由に、相手の差し出すものの欠陥を誇張する。
「バッド・イメージ」は、「虚像」です。
「現実の対象」の有意味性として表象するのが「虚像」の本質です。すると「現実の破壊」とは、本当は「国語の授業」でなければなりません。しかしそれは、①の「恐怖」の「不安」が表象するので「自分の破壊」となります。
「工場での仕事」や「国語の授業」を破壊すればそれは即ち、「自分の破壊」であるということです。
そこで、「安心」のための「美化のイメージ」が内(ウチ)の『敬語体系』から表象されます。
「ウチ意識」の対象は「国語の教師の話し言葉」です。
「話し言葉」は、「外の対象」ではなくて「内の対象」であるからです。
この「自分を安心させる内の対象の教師の声が聞こえないようにジャマしているものは何か?…自分を孤立させているものは何か?」と、現在の不安の原因を探索してみると、孤立の不安を感じさせるものは「自分にとっての親しい人との関係」であったのです。
●美化のイメージ
「マツダ工場事件」の容疑者や「加害女子生徒」が「美化のイメージ」を虚像として表象させた『日本語の敬語体系』の「内(ウチ)意識」とは、次のとおりです。
6.親愛
安心…相手が喜ぶから自分も喜ぶという一方的な安心の与え方による。心情の能力の媒介を必要とする。
不安…自分がこんなにガマンしてやっているのに、ちゃんと察知して「ゴメンね」の一言もないのは許せない。
7.愛狎(あいこう)
安心…今、自分の思っている感情のことはどんなことでも、どんなに相手が不快に思っても、あからさまに話したり、ふるまってもいい。
不安…相手は、自分の欲求の思いを無視している。自分をふり向きもしない。手段を選ばず、自分の話を聞かせてやるぞ。
8.軽蔑
安心…相手の非、相手の欠点、相手の無能力の言葉が「左脳・前頭葉」に表象する。これを、他者にも話す。
不安…相手が幸せそうにしていて、何も困っていない。充足して、しかも満足そうに見える。
9.侮蔑
安心…相手が苦痛、損害をこうむって、再び立ち直れないための言葉が「左脳・前頭葉」 に表象する。これを目で見たいと願望する。
不安…相手が高見から、自分を見下して、尊大にふるまっている。
●自分の安心・快感のため に現実を壊した
■「マツダ工場事件の容疑者」や「加害女子生徒」は、「バッド・イメージ」を「主語の像」とするために⑥親愛、⑦愛狎、⑧軽蔑、⑨侮蔑の「不安」のイメージを「バッド・イメージ」に融合させ、そして「安心」のイメージ(=美化のイメージ)に転化するために、「工場内に車を走らせる」「隣の席の女子生徒」をナイフで刺すなどの行動が起こされたのです。
このように見て分かることは、「マツダ工場」や「被害女子生徒」に原因があるのではなくて、「バッド・イメージ」(主語)の必然に従って「美化のイメージ」(述語)の快感のために「現実を壊す行動」がおこなわれたということです。
●ここでご説明した脳の働き方のメカニズムは、ポルソナーレのカウンセリングの最新の理論です。
このような脳の働き方のメカニズムを分かることが、今の日本の大きな傾向になっている病理の改善につながります。
早急に、しかも即効でお役に立てたい方は、ポルソナーレの「カウンセリング」をお申し込みください。 |