みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●日本人の心と精神の病気のモデルの事件
この平成22年6月、7月に、たてつづけに三つの事件が起こりました。
「横浜・清心女子高校、国語の授業中に隣の席の女子生徒をナイフで右脇腹を刺して重傷を負わせた事件」(6月15日)、「広島・マツダ工場に乗用車を暴走させて11人に重軽傷を負わせて1人を死亡させた事件」(6月22日)、そして「兵庫県宝塚市、自宅と友人宅に放火、放火未遂によって2人が重傷を負い、1人が死亡した事件」(7月9日)です。
●「自分とは無関係」と思っていませんか?
これらの事件は、いずれも人が死んだり、重軽傷を負っています。この事件をニュースで見聞きした人は、「私とは、どういう意味でも関係はない」と思っているかもしれません。
しかし、ものごとをとらえる時には、つねに「具体と抽象」という二つのとらえ方が成り立ちます。
例えば、「犬」「猫」というものは、具体的な生き物です。
この具体は「動物」という抽象の言葉を無意識にとらえています。少なくとも、「植物」とか「石やガラスのような無機物」のカテゴリーとは区別した性質がイメージされています。
同じように、このような三つの事件も「抽象の言葉」でとらえることができます。次のようにです。
●「清心女子高校、ナイフ刺傷事件」「広島・マツダ工場乗用車暴走事件」「兵庫県宝塚市、自宅と中3女子同級生宅への放火、殺傷事件」に共通すること
- 利害関係の対立や衝突といった事実にもとづく因果関係はない。それぞれの容疑者の当事者が、頭の中でイメージしたことを根拠にして実行している犯行である。(心や精神の病理が動機である。)
- 犯行は、「現実破壊」を目的にしておこなわれている。
- 「清心女子高校の加害女子生徒」…「国語の授業」、「国語の勉強の内容そのもの」を破壊した。(隣の席の女子生徒を刺すことは、この事件の目的ではない。自己の美化のイメージ(美化の妄想)の快感を得るために利用されたにすぎない)。
- 「広島・マツダ工場、乗用車を暴走させた42歳男性に雄容疑者」…「自分は毎日、孤独でも、孤立しているのでもないという妄想のドラマ仕立てのストーリーのもたらす安心や快感を享受することを目的」にして、『触媒』として乗用車を暴走させて、11人を殺傷して破壊した。
(マツダに恨みがあるとか、マツダで嫌がらせを受けたから、一種の仕返しとしてマツダ工場の従業員を殺傷して、破壊したのではない、ということだ。)
- 「兵庫県・宝塚市、中学3年生女子生徒2人による自宅と、友人宅への放火、殺傷事件の女子生徒」…「学校の勉強」「日本語」「日本語による話し言葉」を破壊した。(親から暴力を受けたとか、勉強しろと言われたからとか、成績が悪いと叱られた、といったことがこの事件の動機や原因であるのではない。また、15歳女子中学生の言う、「家の中で疎外感があったから」ということも動機や原因ではない。この発言は、「学校に火をつけて放火する」「学校の授業中に放火する」ということの代わりに、最も破壊し易い…自分が見下し、尊大にふるまうことのできる「美化のイメージ」の対象が選択された、という「美化のイメージの素材」が語られているにすぎない。なぜか?といえば、15歳中3女子は、自宅に放火したのち、友人の14歳中3女子の家に、一緒に行き、家に火をつけて放火しようとしている。15歳中3女子と、14歳中3女子の家族とは生活上は無関係だから、「家の中で疎外感があった」という動機は「偽(ぎ)」である、ということになる。
■平成22年6月と7月にたてつづけに起きたこの三つの事件と、多くの日本人、いいかえれば「あなた」とどう関係があるのでしょうか。このことをお話します。
それは、必ずしも「あなた」が他人を殺傷するとか、家に火をつけて放火するとか、他人の所有物を破壊する、といったことを意味するものではありません。しかし、それでも、殺傷や物の破壊を抽象的に言い換えた「現実破壊」に至る行動をおこなうということは共通します。
「現実破壊」とは、広い意味で理解することが必要です。例えば次のようなことです。
◎現実破壊の内容(必ずしも他人の殺傷、家に火をつけるなどのことだけとは限らない)
- 学業を放棄して学校に行かない。
- 働かずに、親の世話になって生活している状態が長く続いている。
- 学校の授業に、正当な社会的な態度で参加しない。
- 薬物療法をつづけて、薬の副作用で心身の機能が廃用萎縮を起こしている。(知能低下や老化現象に似た、五官覚や身体機能の退化が起きている。)
- 寝る時刻、起きる時刻が不規則。入浴しない。部屋の掃除をしない。食生活が栄養学的に見て偏向している。(生活の秩序が破綻している。)
- 「仕事中」、「生活の中」、「学校の勉強」の中などで、「美化のイメージ」に相当するものを常に、恒常的に頭の中に思い浮べつづけて「依存」している。(ケータイ、ゲーム、メール、宗教の言葉、漫画、ネット、恋愛、性にかかわること、他者を嫉妬したり攻撃すること、他者を見下したり尊大にふるまうこと、等。これにより、目の前の現実を見ているのにしかし、見ていない、という離人症が発生する。心身の能力が輪ゴムのタルミのように弛緩して、社会的に価値のある関わりを破壊する。これらのどれでも、『一人の時間』でもオートマティックに頭の中に表象するようになり、ものごとが「美化のイメージ」のとおりに見えたり聞こえたり、身体にも反応して神経症が出てきて、「美化のイメージ」のとおりのことをしゃべり、それがエンドレステープのようにとめどもなく続けば、「美化のイメージ」は、『美化の妄想』に質的に変化する。この段階で、必ず「清心女子高校、ナイフ刺傷事件」や「広島・マツダ工場、大量殺傷事件」や「兵庫県・宝塚市中3女子放火殺傷事件」に共通するリアルな「現実破壊」を実行する危険域に突入する。)
●あなたは、どちらの事件タイプか?
■日本人の、いわゆる「心、精神の病(やまい)」は、リーマンブラザーズの経営破綻(2008年9月)以降、「清心女子校事件」「兵庫・宝塚市中3女子放火事件」のタイプと、「広島・マツダ工場、大量殺傷事件」タイプの二通りのタイプのどれかとしてあらわれています。
前者は、「バッド・イメージ」の表象型です。後者は「美化のイメージ⇒美化の妄想」の表象型です。
推察すると、「バッド・イメージ型」による「現実破壊」は年齢でいうと「33歳まで」に突出する傾向があります。
「美化のイメージ⇒美化の妄想型」による「現実破壊」は「33歳をすぎた年齢の人」の全員に突出する傾向があります。
●「33歳」という年齢が分岐点です
その理由を説明します。
「清心女子高校のナイフ刺傷事件」は、「国語の授業」「国語の授業内容」を破壊しました。
「国語」は、全ての科目の基礎になるものなので、仮に、他の科目の授業であっても本質は同じです。
4月、5月、6月の「高1」の「国語の授業」は、「中学3年間」の「国語の学力」の復習(学力の平準化)がおこなわれます。では、「中学3年間の国語の学力」とはどういうものか?というと、受験研究社の『自由自在』によると「命題を立てる」「命題を証明する」「証明のための証拠のあげ方…演繹法や帰納法を使う」といったことが象徴的です。大野晋のいう「日本語の文法」(岩波新書)は、このようなヨーロッパ語が開発した「言葉の能力」とは、初めから不整合です。
この不整合が即ち、「現実破壊」です。この「現実破壊」がそのまま「右脳・前頭葉」に「バッド・イメージ」を表象させるのです。
このことは、高校生、大学生、社会人になった日本人は、程度の差はあっても「バッド・イメージ」を積み重ねて生きている、「バッド・イメージ=主語の像」をつくり「美化のイメージ=述語の像」を表象させて「33歳」までを生きる、という生き方をしているといえます。
「33歳」以降は、すでに自分が実行してきた「現実破壊」の上に「美化のイメージ⇒美化の妄想」を打ち立てた生活を始めます。それが「広島・マツダ工場、大量殺傷事件」の「42歳・男性の容疑者」のケースです。
このケースの「美化のイメージ」のモデルとは、「盗聴器を仕掛けられている」「誰かが部屋に侵入して物や家具の配置を変えた」「盗聴器で自分の考え、話している言葉を筒抜けに誰かに聴かれている」「誰かが部屋に入ってきて、お金を取って行った」といったことです。
この「美化のイメージ」は、「恋愛や結婚が不調であったと思っている人」「ケータイやメールで距離をなくして安心の支え、拠り所にしてきた人」「社会人になっても友人関係を求めて悩んでいる人」「職場の人間関係を内扱いして、社会的な人間関係を疎外してきた人」などが、誰もが共通に抱えています。このような「美化のイメージ」は、「うまくいかなかった人間関係」「うまくやれなかった社会的な人間関係」という「破壊してきた自己の現実」を「主語の像」として、この上に「美化のイメージ=述語の像」として表象させられています。
●「美化のイメージ」は、どのように「美化の妄想」に変わるのか?
このような「美化のイメージ」は、いつ、どのようにして「美化の妄想」に変わるのでしょうか。
それは、ホッとして気がゆるんだ時です。疲れた後には、人は、たいてい過度にリラックスしたがります。人に見せられないような姿、「かっこう」をして部屋の中を歩き回るということをしたことがおありでしょう。
これと同じで、現実的に快感を得ている、気分よくなっている、気持ちよくなっている、という状況の中で、頭の中には「破壊のイメージ」が思い浮びます。「勉強など止めた」「入浴?めんどくさい」「食事?レトルト物で適当に」といったことが、「バッド・イメージ」(現実破壊)です。
これと同じ構造で、「美化のイメージ」の場合は、「友人と話せばグチ、不満を語る」「破壊的なことを話せない相手には、自分が緊張(バッド・イメージ化)して、相手を恐いと想う、美化のイメージに従って相手の荒を探したり、過去の恨みを作り話に変えて相手を破壊にかかる」(注・これが『兵庫・宝塚市、中3女子放火、殺傷事件』の脳の働き方のメカニズムです)、というように「美化の妄想」に変化させます。
●あなたは、「日本語の敬語体系」を知っているか?
日本人は、右脳・前頭葉(虚像)に「バッド・イメージ」(33歳まで)を表象するか、「美化のイメージ」(33歳以降)を表象して、自己の現実を破壊させつづけて、人生のどこかで自己を破綻させてしまわざるをえないのは、日本語の「敬語体系」に背景があります。
◎日本語の敬語体系(外扱いの場合)
- 恐怖
- 畏怖
- 畏敬
- 尊敬
- 敬愛
この1から5までの各段階ごとの行動と言葉がある、ということを知っている人は少ないでしょう。
知らなければ、当然、「外の人」「外の物」「外の知性」は全て「恐怖のみ」です。すなわち「バッド・イメージ」が表象します。すると「内扱いの人」(家族、恋人、結婚の相手、自分にたいしてていねいに話してくる人、など)に「バッド・イメージ」=「美化のイメージ」=「いばり、見下し」「尊大」の話し方、態度、姿勢になるでしょう。これが「現実破壊」です。頭の中のバッド・イメージと一致して快感のドーパミンが分泌します。
このような真実を分かって、では、どうすればいいか?が問題になります。
それは、この本稿の中でものべている「ヨーロッパ哲学」が開発した言葉をメタ言語として学ぶこと、これを日々、習得すること以外には他に生き延びる方途はありません。
ポルソナーレの『谷川うさ子王国物語』は、そのためにお役に立つテキストです。ぜひ、一日も早い学習をおすすめいたします。
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