みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●三つの事件
この夏、6月、7月にかけて三つの事件が起こりました。
「横浜・清心女子高校、隣の席の女子生徒刺傷事件」(平成22年6月15日)、「広島・マツダ工場無差別大量殺傷事件」(平成22年6月22日)、「兵庫・宝塚市中3女子放火殺傷事件」(平成22年7月9日)です。
●今の日本はどうなっているか?
ポルソナーレの「脳の働き方=言葉の生成のメカニズムの解明」の位置から見ると、この三つの事件は、次のような今の日本人の社会現象と軌を一にしています。
●就職できない
◎就職留年者急増(平成22年7月22日、読売新聞『社説』より)
- 就職先が見つからず、卒業年限を迎えながら留年する。
今春の「就職留年者」と推定される大学生が「約7万4000人」に上ることが読売新聞の調査で分かった。
卒業予定者の7人に1人が大学に留まった計算になる。
就職先が決まらないままに卒業した大学生も、「約3万1000人」いる。
- 「就職留年」の背景には、「新卒者一括採用」と呼ばれる企業の採用形態がある。「卒業予定の大学4年生(新卒者)」を選考の対象とするため、学生は、留年して「新卒者」として志望する道を選んでいる。
- 日本経済団体連合会のアンケート調査では、「既卒者を受け付ける予定がない」と回答した企業は、約59%に達した。
- 職業訓練も必要だ。高校や大学は、社会で働くことの意味を十分教えてきただろうか。将来、どんな職業に就くか?という目的意識を持つことなく、取りあえず高校から大学に進学し、そのまま就職活動に臨む学生は多い。
- 基礎的な学力不足も目立ち、特に大学教育に対して、企業側には不信感がある。
- 経済のグローバル化で、今後は外国人留学生を採用する企業が増える。日本人学生は、就職戦線で、これまで以上に厳しい競争を強いられることが予想される。
●引きこもり
◎「引きこもり69万人」、「15歳から39歳までの引きこもりの傾向のある人155万人」(内閣府調査、日本経済新聞、読売新聞、平成22年7月24日付)
- 内閣府は、平成22年7月23日、「引きこもり状態にある若者」が、全国で、推計69万6千人いる、とした調査結果を発表した。「引きこもりの傾向がある若者」も「約155万人」いると発表した。
- 調査は、「精神疾患」や「病気」以外の理由で、「部屋からほとんど出ない」「家から出ない」などの状態が半年以上続くことを「引きこもり」と定義した。
- 「引きこもり」になったきっかけは、「職場になじめなかった」「病気」「就職活動がうまくいかなかった」「不登校」などだ。
- 「引きこもりの傾向があった人」とは、「部屋に閉じこもりたいと思うことがある」と回答した人のことだ。
- 高塚雄介・日本精神衛生学会理事長の話。
「高いコミュニケーション能力が必要になっている。それができずに引きこもる若者が多いようだ。
引きこもり親和群は、若者が多い。そうした若者が社会に出て、辛うじて維持してきた友人関係が希薄になったり、新しい環境に適応できなかったりして、引きこもり群がじわじわ増えていくと思われる。」
●脳の働き方の説明
■ここにあるのは、ひとくちにいうと「現実破壊」です。人間の脳の「右脳・前頭葉」には『虚像』と『実像』の二つが表象します。人間は、『実像』に五官覚で認知したことを表象させます。そして『虚像』に表象させた「言葉の意味の像」で認識して、さらに『虚像』の像を充実させて、ここで判断したり、決定したり、そして行動する、ということをおこなっています。
●二つの日本語
この『虚像』につくる「意味の像」は、「左脳・前頭葉」に表象する「言葉」(日本人は「日本語」)がつくります。
日本人が使っている日本語は「二種類の日本語」で成り立っています。
- 「一つめの日本語」…和語(ヤマトコトバ)。「日本語の敬語体系」「上下関係」「ものごとを自然成立か、人為的か」の判断の基準をつくっている。
- 「もう一つの日本語」…古代ギリシア哲学から引き継がれている「哲学」をベースにしている日本語。「メタ言語としての日本語」。この哲学を土台にして「経営学」や「自然科学」「社会学」「心理学」「コンピューターなどの道具を使ったアルゴリズム学」などがある。
●横浜・清心女子高校事件
この二つの日本語(和語の敬語体系、哲学にもとづく思考の仕方としてのメタ言語=日本語の二つ)を「左脳・前頭葉」に「長期記憶」として正確に表象させられない時、「右脳・前頭葉」の『虚像』には、「不適合=バッド・イメージ」が表象します。
「バッド・イメージ」とは、どういう意味でも、程度の差はあっても「関わっている現実を壊した」という結果の事実のイメージのことです。
「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒は、「国語の授業」「国語の授業内容」の「現実破壊」をおこない、「バッド・イメージ」を表象させていました。
脳は、正常に働いても異常に働いても「快感原則」で働きます。異常に働く場合は、「バッド・イメージ」は「主語の像」として表象します。快感を目的として表象するから「主語の像」です。「述語の像」は「美化のイメージ」もしくは、「美化の妄想」です。
「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒は、バッド・イメージに従って「国語の授業」と「国語の教科書の中身」を「現実破壊」の対象にしたいところだったのです。しかし、その破壊にはリスクが大きかったのです。そこですでに自分が「内扱いの対象」にしてきていて、「友人」とか「親しい関係」といった中でつくられる「イバり」(尊大、見下し)の対象の「隣の席の女子生徒」が「美化のイメージ」の素材に選ばれました。ナイフで刺して「破壊」し、この「破壊」の事実と「バッド・イメージ」とが一致すると「美化の妄想」に変わります。「快感物質のホルモン=A9神経からのドーパミン」が分泌したのです。
●バッド・イメージ
「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒が「破壊してバッド・イメージ」を表象させたのは二つの日本語です。一つは、『日本語の敬語体系』です。それは①恐怖、②畏怖、③畏敬、④尊敬、⑤敬愛という5つの関わり方をもって「外扱いの対象」の「国語の中身」と「授業そのもの」と関わる仕方の「日本語」を全く知らなかったということです。「知らない」ということは、「内扱い」にして、「見下し」や「尊大」(イバって、支配する)という関わり方になります。
この「見下し」や「尊大」が「現実破壊」を意味するのです。
「現実破壊」とは、必ずしも「物を壊すこと」「人の体を傷つけること」だけを意味しません。返事をしない、応信しない、言いがかりをつける、相手をぞんさいに扱う、取り決めた約束を守らない、仕事の中での業務秩序を恣意的に判断する、などといったことも「現実破壊」です。つまり社会的に正当な関係を「言葉」や「態度」「姿勢」「行動」によって逸脱することは全て「現実破壊」です。
●兵庫・宝塚市中3女子放火事件
「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒の「バッド・イメージ」の実体をより具体的に、直接的にあらわしてみせたのが「兵庫・宝塚市、中3女子放火殺傷事件」です。「15歳A子」と「14歳B子」は、「中学1年から2年生」のあたりから「授業」そのものに出席せず、タバコを吸い、ケータイメールで性的な色彩のあるイメージを交信し合い、「いじめられる関係」をつくって人間関係を自ら壊しつづけて「美化のイメージ」を『虚像』に表象させつづけていました。これらのことが「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒の場合では「隣の席の女の子が憎い、うるさい」という「美化のイメージ」に相当します。
普通、一般的に考えられているように、「いじめ」というのは、「いじめる人」が先にいじめをおこなって、次に「いじめられる人」が成立するという「二者関係」で発生しているのではありません。
「いじめられる人」が「学校の勉強」や「仕事の内容」をすでに「現実破壊」をおこない、「いじめる人」に対して「現実破壊」のバッド・イメージを差し出し、ここで「いじめられる」という「現実破壊」が発生します。すると、「いじめられる人」のバッド・イメージと「いじめられた」という現実破壊の事実がぴったりと一致して、これが「美化のイメージ」や「美化の妄想」に変わります。
その快感の状態が「授業に出ず、学校内をウロウロと歩き回る行為」であったのです。
「15歳A子」と「14歳B子」の『父親』は、それぞれ、「勉強しろ」と叱り、時には体罰も加えています。その「勉強しろ」という発言の対象の「勉強」とは、「横浜・清心女子高校事件」の加害女子生徒が「現実破壊」した勉強の内容と共通しています。
それは、受験研究社の『中学生の国語・自由自在』に説明されているとおり、「命題を立てる」「命題を証明する」「命題の証明の仕方は、演繹法か、帰納法である」といったものです。
●中学校の学力の中身
すでにお話しているとおり、日本語とは「和語」(ヤマトコトバ)のことです。この和語(ヤマトコトバ)の『文法』(命題を説明する文法に対比すると『擬似文法』というべきものです)は、「遠いか、近いか」「上か下か」「自然の成り行きか、人為的か」によって判断の基準にする、というものです。このような内容の「和語」(ヤマトコトバ)で、「命題を立てる」「命題を証明する」「証明の仕方は演繹法か、帰納法である」という国語の学力を完成させるのが「中学校の3年間の勉強」です。
●美化のイメージと美化の妄想
「横浜・清心女子高校」の女子生徒らは、このような「演繹法」や「帰納法」による証明の仕方を、中学の3年間で習得してきたでしょうか。
「日本語はむずかしい。授業に追いつけない」と「兵庫・宝塚市、中3女子放火事件」のA子、B子は、学校教師に訴えています。学校の教師は、この訴えの声に応じられなかったという事実が「トイレ、職員室、ゲタ箱などで過した」という状況です。
「中学の3年間、授業破壊が進行して、バッド・イメージと美化のイメージを表象させつづけた」というのが「兵庫・宝塚市、中3女子放火事件」のA子とB子の真実です。
「美化のイメージ」は、「述語としての像」です。現実が破壊されて美化のイメージのとおりだとするならば、必然的に『虚像』には「バッド・イメージ」(主語の像)が表象します。この「バッド・イメージ」の内容がA・「学校に火をつけて燃やす」「明日、学校がどうなっても知らん」、B・「親を殺して、自首する」という二とおりの内容でした。結局、最も確実に「美化の妄想」のつくりやすい「自宅への放火」「親殺害」が選択されたのです。
「中学校」という義務教育の教育に「命題を立てる」などの「弁証法」の思考の仕方が教科書にあるということは、日本の現実社会もそのようなものとして成立しているということです。日本の企業(仕事の仕方)は、すでに「演繹法」や「帰納法」の証明のための日本語(メタ言語)の能力がなければ、適応できないということの証明でもあります。
●広島・マツダ工場暴走事件
「広島・マツダ工場乗用車暴走事件」の容疑者の男性(42歳)は、このような仕事の能力を「33歳」まで破壊しつづけてきて、「34歳以降」は、自らの破壊した現実の上に「美化のイメージ」を表象させつづけてきました。このあたりの構造は「兵庫・宝塚市、中3女子のA子とB子」の「中学3年間の学校生活の仕方」と同じです。
美化の妄想による快感実現のために「広島・マツダ工場事件」は乗用車を暴走させて10数人を殺傷しました。A子とB子は、家に火をつけて1人を死亡させ、2人に火傷の重傷を負わせたのです。
●ご案内します
この原稿の初めにご紹介した「就職留年」や「引きこもり」は、A子、B子の「トイレ、職員室、下駄箱でタバコを吸って過す」「ケータイメールで性的な色調のイメージ=美化のイメージを表象させる」ことと同じ脳の働き方です。
このような日本の現実の事態に、今、日本人の誰もが直面しています。「美化のイメージ」を「美化の妄想」に転化させないための対策が『谷川うさ子王国物語』のテキストです。
至急、今すぐの学習をおすすめします。
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