■ 相談の事例
「私は、自分はこうなりたい、という夢があります。
こうなりたいということを考えているうちに空想癖になりました。しかし、私の現実はいっこうに変わらないままで自分を責めるようになっています」(20才。女性。山口洋子。神奈川県平塚市。フリーター)。
(お知らせ。人物は仮名です。特定の人物、地域、団体、職業とは無関係です)
■ 相談の内容
私は、高校はなんとか卒業しましたが、仕事をしようか、学校に進もうかとあれこれ考えているうちに日にちが経って、何もしないまま月日もすぎて今になっています。
ほんとうのことをいうと専門学校のようなところに行こうとは思って案内などを取り寄せたのです。
お金も払って学校に行きました。
でも、自分の思っていることとなんとなく違っている気がして1ヵ月で行かなくなりました。
そうだ、大学に行きたかったんだと思って、その大学の案内書などを取り寄せました。インターネットでもその大学のホームページを見ました。
夢がどんどんふくらんできて、いつの間にかその大学に通っている自分を空想しはじめたのです。空想していると楽しくて、時々やっているアルバイトの中でも自分は「大学生」であるような気分になりました。
人には、「学生です」と言ったりもしていました。
アルバイト先やインターネットでいろんな人を見ました。社会的にソンケイされている人です。何年か後に、きっと自分もこの人と同じようにソンケイされるようになることを自分の理想として考えるようになりました。
この理想が自分の夢になりました。絶対にそれになりたいと思うと、自分自身のことが不安になって自分一人でもがいているような気がしてきて、ひどく憂うつになります。
自分の理想には、どうすればなれるのかと考えているうちに、過去のことを思い出して、そこで自分の理想のとおりに自分のことを思い描くようにしたら楽しくなります。そういう時に人のグチなどを聞いて、自分の理想としている自分になりきってしゃべるんです。すると、その人はまた相談してくれたりグチを言ってくれるので、そこでも理想どおりの自分になりきってアドバイスをします。
でも現実の自分は何も出来ていないので、罪悪感がこみあげてきます。自分を責める気持ちになって、またインターネットでなりたい自分を探して理想の自分になったような気持ちに浸ります。書き込みをすると、相手の人が返事をくれるので、今、自分は、理想の自分に向かってがんばっているんだという気持ちになれるんです。
この頃、人と会って話すとき理想の自分になりきってしゃべると、誰かが「あんたはウソつきだ」「でなければウソをつく病気だ」と言いました。
このとき、なぜかドキドキして急に息苦しくなりました。人と会うのが恐くなりました。誰とも、自分から関われなくなっています。でも、理想の自分を考えるとき自分には「なりたいことがあるんだ」と思えてきて元気になります。活発な気分にもなってアルバイトにも行こうという気になります。
1日が終わって仕事で疲れてインターネットを見ると、自分の現実はひどくなっていく一方のような気がして罪悪感gでいっぱいになります。でも、私にはどうしてもなりたいものがあるんです。それはこれからも変わりません。そのためにがんばりたい。毎日がんばりたいんだけど、私は何もできていません。
何もできないというのが現実です。
誰かが言っていたように、私は矛盾だらけなのでしょうか。
私、どうしたらいいんでしょう?
● ポルソナーレの指示性のカウンセリングとはこういうものです
(1) 例をあげていうと、数字の1,2,3,4,5…がありますが、子どもの頃に、この数字を読めて、いち、に、さん、し、ご、と口で言えると「かしこいね。よく覚えているね」とホメられるということがあります。憶えていると頭がいい、というホメられ方です。
しかし、数は、「量としての数」か「順序としての数」かの区別がついて正しく分かったことになります。現実の何と「関係性」をもつか?で内容が変わるということです。
(2) 紹介している相談の事例は、社会性の世界の内容のあるものと何の関係性ももてていないので、空想癖という痴呆状態をつくる脳の働き方になっているのです。これが「ピック病」(学習性の絶望という病気)の症状です。
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