■相談の事例
私は、31歳の女性です。3歳の娘がいます。
私は、セールスの仕事をしています。自分の性格を変えたかったからです。いきいきと仕事をこなし、収入もアップし、友だちもいっぱいできて幸せな生活を夢見ていました。でも、暗く、猜疑心のかたまりのような無気力の自分は変わりません。
(大海寿美。31歳。セールス業。主婦。埼玉県南越谷市)。
(註・人物は仮名です。特定の人物とは無関係です。特定の職業、団体、地域とも無関係です。相談の内容もいくつかの内容を合成し、再構成してあります)。
■相談の内容
私は、中学、高校の頃からすでに、暗くて疑い深い性格でした。人が自分のことをどう思っているのか?ということばかりを気にしていて、ちょっと浮かない表情をされると、話す気力もなくなり、「この人から嫌われているのではないか?」と考えてしまいます。相手が自分のことをどう思っているのか?がいつも気になってしかたがない性格でした。私は、人に嫌われる性格でした。高校を卒業して専門学校に行って、何年か働きました。介護関係の仕事でした。
チームで仕事をしたり、パートナーを組んで仕事をしていても、相手からどう思われているのか?が気になっていつも、仕事を辞めたいとばかりを考えていたのです。ポルソナーレのいうように、人間は二つのことを一度に考えることはできません。心の中にブレーキがかかっているような状態なので自分から人に話しかけることができず、何人かで組んで仕事をすることが恐くて、苦痛だったのです。だから仕事をしていても、ベールをかぶってボンヤリしか見えない感じだったので、仕事じたいも辛く、逃げ出したいとばかりを考えていました。
出会い系サイトで知り合ったのが今の「夫」です。「結婚」してみると、聞いていたことといろんなことが全部違っていました。二人だけで生活できる、ということからして違っていました。「夫」の両親と同居することになったのです。
「出会い系」のようなところで知り合って「誰でもいいや」と思っていたので、私も「夫」を騙したのかもしれません。知り合ってすぐに「妊娠」したので、これ幸いとばかりに「仕事を辞めて、人から養ってもらえる望んできた生活だ」と思ったことも確かです。
「夫」のほうも、「子どもを一人で見るのは大変だろう?」とかなんとか私を言いくるめて、義父母と「同居」させたのでした。
結婚生活は、借金の返済から始まりました。
義父のつくった家のローン、車のローン、などです。義父母の生活費もまかないます。子どもを義母に預けて、私も働きに出ることになりました。
「働かない嫁は、いらん」と言われたからです。私は、借金返済のための結婚相手でした。義父も働いていますが、返済額が大きいので、私も働かざるをえないのです。夫とは、出会った時よりもいくらか優しい気持ちで接してあげられるようにはなりましたが、家の中でも、仕事の中でも孤立しているような不安感を感じています。こんな結婚でよかったのか?と毎日考えない日はありません。
家の中では、義母と私の仲が悪く、義父は酒グセが悪いので義母との争いがたえません。
義母とは、あいさつもしたことがありません。
せっかく仕事に出るのだから、この機会にもともとの人に嫌われているのではないか?という対人不安を直そうと思いました。でも、人から話しかけられるまでは自分から話せず、人と一緒に歩く時も「どう思われているのか?」と気になる性格は、ますますひどくなってきたようです。私の上司は、私を辞めさせたがっているのでは?とすら疑っています。朝、仕事に行く時がいちばん憂うつです。
●ポルソナーレの「指示性のカウンセリング」とは、こういうものです
人間の「脳」は、三つの層で成り立っています。大脳、大脳辺縁系、脳幹の三つです。大脳は「左脳」と「右脳」とに分かれていて、二つでセットになっています。このセットというのは、人間が「言葉を話す」「言語をもちいて文章を書く」というときの働き方のことです。大脳辺縁系は、人間の感情や欲求、生命の自動調節をおこなう中枢神経がいくつもあつまっているところです。こまかく見ると脊髄液が流れこんできていて、いくつもの中枢神経を確保したり、固定したり、隔てている、という構造になっています。
中枢神経は、互いに相互性をもって連絡し合っています。
この大脳辺縁系のしくみで重要なことは、「左脳系」と「右脳系」とに分かれていることです。分かれているのは「脳梁」「海馬」「視床」です。
「海馬」は、左脳系で言語や言葉や記号、数字を記憶し、右脳系は、好き、嫌い、敵、味方、不安、恐怖、などを記憶して「右脳」にイメージさせるのです。
「脳幹」は、自律神経の基点となる部位です。自律神経は、交感神経(エネルギーの供給)、副交感神経(エネルギーの保存)の二つのことです。
A6神経(副交感神経)、A10神経、A9神経(交感神経)がおもなものです。
ちなみに、「呼吸の中枢神経」は、脳幹と脊髄の間にある「延髄」にあります。パニック障害、不眠、人間の 知的な精神活動は、この「延髄」の呼吸の中枢神経がつくり出すのです。
人間が「生きていく」とは、ひとことでいえばエネルギーをとりいれてこれを消費する、という活動のことだ、ということができます。エネルギーのとり入れと消費のことを「代謝」といいます。このエネルギーを供給して消費するシステムをになっているのが自律神経です。胃や腸は、副交感神経が支配して、女性の子宮や生殖器系は、交感神経が支配しています。
このような自律神経のエネルギーシステムは、「脳」の働きにも及んでいます。
脳の働きは、目、耳の二つを中心とする五官覚の働きから始まります。この目、耳を動かすのも自律神経です。
目、耳は、脳の交叉支配によって、自律神経が動かしています。「左目は右脳へ」「右目は左脳へ」というのが交叉支配です。「耳」も同じしくみです。
また、「右目」はX経路(副交感神経)、「左目」はY経路(交感神経)として働いています。
脳は、「左脳」は「認識」(言語)、「右脳」は「認知」(イメージの表象)という人間的な意識の働き方をおこなっています。
女性と男性の脳の働き方を分けるのは、「視床下部」です。視床下部の「視索前野」が副交感神経の中枢です。
女性の脳の働きはこの「視索前野」からスタートします。「右目」(X経路)が「右耳」(X経路)とむすびついて「X経路中心」の脳の働き方になっています。
X経路は、「近くを見る」「近くのものを中心に見て、クローズアップしたイメージを思い浮べる」という脳の働き方になっているのが「人間関係に距離をとることができない」、という不安をつくり出しています。
もちろん「女性」も「Y経路」(左目、左耳)は働いています。「Y経路」は、「遠くを見る」「物の動きを認知する」という働き方をします。
日本の女性は、「父親不在」(心的な不在…父親についての母親の言葉が不快、物理的な不在…父親が見えない、父親との距離がない…父親がいつも近くにいるなどの三つのパターン)によって、Y経路の正常な認知とその言語化が正しく学習されず、「今、げんにここにあるものしか認知できない」という脳の働き方をつくっているのです。
それは、「行動のための言葉」でいうと、「何が」「どうした」という結果だけの「言葉」です。「いつ」「どこで」「誰が」という「Y経路」の認知する言葉を学習できなくなっているのです。
だから行動停止に陥り、「負の行動のイメージ」の「占い」「宗教」「風水」「人気の流行」などの依存や甘え、同化の対象だけの「言葉」と「行動」で「うつ病」をつくりつづけているのです。 |