みなさん、こんにちは。ポルソナーレの谷川うさ子です。
「そうじ力研究会」というものがあるそうです。
舛田光洋(ますだみつひろ)がこの会の代表をやっているということです。じっさいにそのような会があるのか、どうかは分かりません。『3日で運がよくなる「そうじ力」』とこの類本を売るために実体を見せかけるためのカヴァーかもしれません。
『3日で運がよくなる「そうじ力」』(王様文庫・刊)を見ると、書かれていることは、「バーナム効果」のことばかりです。
- 「そうじ力」とは、そうじが心にもたらす劇的な力のことだ。
- 「そうじ力」は、人間の運命を好転させる力がある。
- 部屋を磨くと「招福のオーラ」が輝く。「新しい恋をしたい」「幸せな結婚をしたい」「美しくやせたい」「パートナーと別れたい」「仕事で成功したい」「お金を貯めたい」「ツイている人になりたい」などの効果がある。
- 「そうじ」は「マイナスのエネルギーをとりのぞく力」と「プラスを引きよせる力」など、どんな夢でも叶える強運パワーをもっている。
- 「部屋の状態」は、「自分自身をあらわしている」。「部屋を見ることは、自分自身を見ること」と同じだ。
- 恋愛、仕事、家庭に問題を抱えている原因は、全て「部屋の汚れ」に行きつく。
舛田光洋がのべているところの要点をご紹介しました。これがどのように「バーナム効果」であるのか?についてお話します。
心理学者「スナイダー」は、「バーナム効果」をもつ記述には、二つの特徴があると説明します。
- 抽象的で、曖昧な表現が多い。日付けや具体的な出来事の描写はない。
- 仕事や、対人関係の悩みは、誰もが抱えているので、具体性のない内容でも多くの人が納得する。
誰もが思い当ることをたくさん並べてある。たいていの人には、どれかが当てはまる。
- スナイダーが、「バーナム効果」の実験に用いた「誰にでも当てはまるような文書」の一例。
- 「あなたは、他人から好かれ、ホメられたいと願っている」
- 「あなたには、まだ使っていない能力がある」
- 「あなたは、今、性的なことで自分では適当でないと不満をもつ状態にある」
- 「あなたは、自分でものを考えているという自信がある。証拠が十分ではない他人の発言はけっしてうのみにはしない、という自信もある」
- 「あなたのもつ望みや願いのうち、いくつかはあまり実現性がない」
- 「あなたの生活における目標の一つは安全であることである」
(『不思議現象、なぜ信じるか』北大路書房、1995年・刊。菊池聡、谷口高士、宮元博章・編著)
「バーナム効果」とは、「バーナム・サーカス」が由来です。誰もが喜びそうなメニューをたくさん用意したことで「人気」になった、ということから「社会心理学の用語」になりました。
「バーナム効果」の類本がたくさん出回って、多くの人がかけらも疑わずに信じこむ理由は、どこにあるのでしょうか。
このような「そうじ力」といったことを語る本や人の話を聞いて受け容れることを「多元的無知」といいます。「知らないのに知っているフリをする」とか「知らないことを知っているのに、知らないのは自分だけだと思い、知らないことを隠す」というのが社会心理学の用語の「多元的無知」の内容です。
このような舛田光洋ののべる「そうじ力」なるものを読んだり聞いたりして、すぐに受け容れる人と、全く受け容れない人の二通りがあります。「受け容れる人」とは、「そうじ」なら「そうじ」という言葉を聞いたり目にして、「そうじ」ということの『意味』を全く考えられない人です。「言葉」には『意味』がある、ということはもちろん分かっています。だから「好運が舞い込む」といった本来、正しい意味ではない「負の意味」を憶えこむのです。つまり、もともとの正しい『意味』は憶えられないが「負の意味」ならば「憶えられる」という人のことです。
「そうじ」という言葉は憶えられる。しかし、「そうじ」という言葉の『意味』は憶えられない。
こういう脳の働き方のソフトウェアのメカニズムがあるのです。そういうことは初めて聞いた、という人は多いでしょう。このことは、ポルソナーレが『脳の働き方のソフトウェアのメカニズム』を解明して、初めて発言しました。
「聴覚障害」というものがあります。
病理的には、仕事で電話の受け付けなどをする人が、突然、「難聴」になるというのも「聴覚障害」です。自宅に電話をすると、乱暴なものの言い方になって、イバる人、とか、クレームや文句を言う電話で話すときにハーハーと呼吸が荒くなる人、なども「聴覚障害」です。自分の心理状態がおもわしくない時に、話す内容の脈絡と無関係に「話」が飛躍して、攻撃的なもの言いに変貌する人、なども「聴覚障害」といえましょう。
これらの人の「脳の働き方」のメカニズムに共通するのは「言葉」の『意味』を脳の中に記憶できないというシステム上の特性です。
その起源は、「乳児期」にあります。
人間の脳は、じつは、胎児、新生児、乳児、乳幼児、そして幼児、少年とずっと同じ「脳」を働かせています。
だから、人はみな、自分の「子どもの頃」を憶えているのです。この「憶えている」という「憶え方」には、二通りがあります。一つは、「子どもの頃のこと」なのに、「つい、昨日のことのように思い出される」という記憶の仕方です。もう一つは、「あれほど苦労して憶えようとがんばったのに、まるで一つも憶えていない。憶えているのは、10個のうち一つか二つだけだ。残りは全部、きれいに忘れた」という憶え方のことです。
前者を「右脳系の記憶」といいます。後者は、「左脳系の記憶」です。
人間の脳は、つねに、「左脳」と「右脳」とは、相互に連携し合って働いています。相互に連携して働いていない場合は、「夜、寝ている時だけ」です。眠るのは「左脳」が眠ります。
「右脳」は、原則として眠らないのです。ここに「不眠症」の構造的な原因があります。
「左脳」と「右脳」が相互性をもって働く、ということは、「人間が言葉を憶える」という時にも重要に関与しています。まず「右脳」が憶えて、すかさず、次に「左脳」が憶える、というメカニズムになっています。
「言葉」の『意味』もまた、独自に記憶して憶えなければなりません。
学校に通っていた頃、「教科書」を見たり、読んだりしても、書かれていることは憶えられても、その『意味』までは自動的に憶えられるわけではありません。
ここで『意味』を「分かろう」として調べたり、教えてもらうということをした人は少ないのではないでしょうか。教科書に書かれていることだけを『暗記』すればそれで、テストでは『良い点』をもらえて評価されるからです。
『意味』を「分かろう」とか「調べよう」という気にもなれなかった人は、「乳児期」に、「右脳系」に『意味』を憶えるための「脳の働き方のメカニズム」をつくらなかった人なのです。
このタイプの人は、「負の言葉の意味」を憶えました。「負の言葉の意味」とは、「自分の身体にくっついて安心をおぼえる関わり方と、そのイメージ」のことです。「触覚の認知」だけを思い浮べさせるイメージのことです。
最初は、「はんかちしゃぶり」「バスタオルしゃぶり」「指しゃぶり」とつづいて、「ぬいぐるみ」「お気に入りのグッズ」へと拡大して、そして「お金持ちになる」「恋人がすぐにできる」といった、「即・快感」に感じられるイメージだけしか「イメージすることができなくなっている」のです。
この「即・快感」というのが『うつ病』の根拠になっているのです。
「そうじ力」とか「なんとかの魔法の言葉」を求めて手離さない人は、『社会』の中の「言葉」を聞いて憶えられても、その『意味』を記憶できないので、「行動が止まっている」か、「半分だけ行動が止まっている」のです。その理由は、まず「即・快感」という『負の言葉の意味』しか憶えていないので、形式的にも内容的にも孤立していて『うつ』に陥っていることに理由があります。
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