みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●脳の働きとは、言葉と行動を憶えること
「脳の働き方」とは、「言葉を憶える」ことと「憶えた言葉」を「行動にあらわすこと」をいいます。
- ブローカー言語野は、脳の中で「言葉」を生成したり、表現したりすることをになっている中枢神経群のことです。
- ブローカー言語野は、「3分の1」のゾーンと、「3分の2」のゾーンの二つに分かれています。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、「ウェルニッケ言語野」(側頭葉に位置しています。手で触る、水を飲む、ものを食べる、性をするなどの触覚にかんすることを記憶します)と隣接して、つながっています。
- ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、「頭頂葉」の領域に入りこんでいます。「空間性」にかんすることを記憶します。
●言葉は、ブローカー言語野で憶える
ここで「ブローカー言語野」というときは、「左脳」(認識)と「右脳」(認知)の両方を含んだものとして説明しています。だから「右脳」か「左脳」かのどちらかだけのブローカー言語野ではないことを理解していただく必要があります。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、短期記憶をおこないます。「水を飲む」「ものを食べる」「性をする」などの「行動」が示すように「行動が完結する」ための記憶が「短期記憶」です。「憶えたことをすぐに忘れる」「行動がすぐに止まる」というのが「短期記憶」の定義です。
- ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、長期記憶をおこないます。自動車についている「ナビゲーター」のように自分の現在位置から「行動」の未来にかかわる対象を記憶します。方向、角度、距離といったことです。「間接的な知覚の対象」を記憶するということが「長期記憶」の定義です。
●ブローカー言語野が働くメカニズム
ブローカー言語野を動かし、働かせるのは自律神経です。自律神経の中枢は「脳幹」にあります。自律神経が「首から上」に働くときは、「上向システム」(上行システム)、「首から下」に働くとき「下向システム」(下行システム)といいます。自律神経は、交感神経と副交感神経の二つで成り立っています。
「下向システム」の自律神経はエネルギーの交換と代謝をになっています。
「上向システム」の自律神経の内容は次のとおりです。「A6神経」(副交感神経。ノルアドレナリンが神経伝達物質。覚醒と緊張を生起します)、「A10神経」「A9神経」(交感神経。ドーパミンが神経伝達物質。快感を生起します。脳の働きの「快感報酬」という目的をつくり出します)。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは「X経路」(目の視覚の知覚神経)が支配しています。「X経路」は、「ものごとに焦点を合わせる」「色や形象を分かる」「もののこまかいいりくみや線、面、点を分かる」という機能をもっています。
- ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは「Y経路」(目の視覚の知覚神経)が支配しています。「Y経路」は、「パターン認知」をおこないます。ものごとの動き、差異、違いなどの「パターン」を分かるという機能をもっています。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは「X経路」が支配しています。この「X」を「ラージX」と呼ぶことにしています。「y」(スモールy)の経路ももっていて、近くの対象の差異や違いのパターンを認知するからです。「X」(ラージX)は、おもに左脳による認識の機能のことです。
- ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは「Y経路」が支配しています。この「Y」は「ラージY」と呼ぶことにしています。
「x」(スモールx)の経路ももっていて、「パターン認知」したものを特化して認識するからです。「Y経路」(ラージY)は「右脳の働き」です。「x」(スモールx)は「左脳系」による認識をになっています。
●左脳と右脳の相互関係のメカニズム
「脳」は、言葉を記憶して、これを表象(ひょうしょう)したり、表現して「行動にあらわす」ということを本質にしています。
「左脳」は、記憶の仕方の特質の「認識」をになっています。「左脳」はデジタル脳です。
「右脳」は、記憶の仕方の特質の「認知」をになっています。「右脳」はアナログ脳です。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンも「3分の2」のゾーンも、言葉を記憶し、学習し、教育することはできます。
しかし、ブローカー言語野の「3分の1」と「3分の2」のゾーンは「記憶できるもの」と「記憶できないもの」の違いがあります。この「違い」をつくるのは「学習の仕方」「教育の仕方」「憶え方」によるものです。
- ブローカー言語野の「3分の1」のゾーンは、「言葉」の要素の
[1] 記号としての言葉
[2] 概念
[3] 概念の意味
のうち、[1]と[2]しか記憶できません。
「行動」のためには[3]の「概念の意味」を記憶することが必要です。ブローカー言語野「3分の1」のゾーンで「暗記」「丸暗記」するという学習の仕方は、[3]の「概念の意味」の代わりに、[1]の「記号としての言葉」と[2]の「概念」をどこまでも暗記しつづけて「行動」を止めないようにしています。「行動が止まる」ときは「暗記に疲れた」か、「暗記せよ」と指示する人間がいなくなった場合です。
「行動が止まる」とは「うつ病」のことです。
- ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンは、「言葉」の要素の
[1] 記号としての言葉
[2] 概念
[3] 概念の意味
の[1] [2] [3] とも記憶できます。
人間が「行動する」「知的に考える」「心身の病気に陥らない」「幸せな恋愛や結婚をする」には[3]の「概念の意味」を記憶することが必要です。
ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンで憶えるという学習の仕方は「暗記」でも「丸暗記」でもありません。
「言葉の意味」を「認知」して「認識する」という学習の仕方で可能になります。
〔例〕
登る(のぼる)……概念
意味…人の目につく高いところに移行する(認知)
認識の仕方(行動の場面や状況の言葉をつかって表現する)
1.「講演のために台に登る」
2.「都知事に当選したので都庁に初登庁した」
3.「人気の歌手がようやく舞台に登場した」
もし、「登る」(のぼる)を「読める」「書ける」だけの記憶の仕方をしていて、意味が分からないときは「記号としての言葉」です。
しかし、のとおりの「意味」を憶えていれば「概念」としての記憶です。ですが、1,2,3のとおりの表現ができなければ、これもやはり意味を「記号として丸暗記している」ことになります。
ブローカー言語野の「3分の2」のゾーンで学習する、憶える、とは、1,2,3のように、「行動の場面、状況」の言葉をつかって表現することをいいます。
●日本人の脳の働き方の病気のつくり方
日本人は、ポルソナーレのカウンセリング・ゼミ「ワンマンカウンセラー・コース」(初級コース編)でレクチュアしているとおり、「人が自分を見る」「自分は人から見られている」という視覚のクローズアップで、人間関係を記憶しています。日本人は「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンしか働かせられない脳の働き方をおこなっています。
- 人が自分を見ているようで不安
- 過去のことしか思い浮ばずにクヨクヨする
- 10年前のことを昨日のことのように思い浮べて、今の自分の現実に悲観する
- 将来のことが心配。将来の自分に自信がない
- 人が自分のことを悪く言っているような気がする
これらは、全て、「ブローカー言語野」の「3分の1」で言葉を暗記したり、丸暗記する脳の働き方がつくり出す不安や恐怖です。「ブローカー言語野」の「3分の2」のゾーンを働かせるためには、日本人の対人関係のものの考え方のしくみを正しく分かって改善することから、が必要です。
なぜかというと、「ブローカー言語野」の「3分の2」だけを働かせようとしても、日常の対人意識が変わっていなければたちまち「暗記主義」「丸暗記主義」の脳の働かせ方に戻ってしまうからです。
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