全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.100

日本人の「人材育成」の原点

■「共同幻想」(ヘーゲル、マルクス、吉本隆明)の理解の意義

■金田一春彦、大野晋らの日本語観と限界点を教えます

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●日本人が今、グローバル・リセッションから問われていること

グローバル・リセッション(世界規模の景気後退)が、これから数ヵ月単位でさまざまな「デフレ型不況」の現象をあらわしていくものと思われます。

ケインズ型の市場創出がテーマになるはずですが、日本ではそれが可能でしょうか?誰の目にも明らかであるのは、もし、日本でも新しい市場創出(内需)が可能ならば、なぜ、日本は、輸出主導型の景気回復の政策をとってきたのか?ということが問われます。ポルソナーレは、長い間のカウンセリングの現場の経験をとおして、「日本人は、言葉の能力に重大な欠陥がある」ととらえてきています。
「市場創出」とは、価値ある商品なりサーヴィスを考え、作り出すということです。日本にもさまざまな商品なりサーヴィスは生み出されてきています。しかし、それが「内需」という市場を創出するまでには至っていないので、「輸出型の企業」が「日本の景気回復」をになってきています。

●日本人が「内需」を創出できないこれだけの理由

「世界同時不況」が現実のものになって、今、あらためて日本の「内需」の空洞化が目の前に浮上してきています。では、なぜ、日本人は、欧米人の消費に依存するばかりで日本の国内に、価値あるサーヴィスなり商品の市場を創出することができなかったのでしょうか?ポルソナーレの考察の仕方はこんなふうです。

  1. 仕事をする、という行動にはあたりまえのように「言葉」が必要である。
  2. 人間は、行動するにあたり、言葉の「意味」によって行動を可能にする。
  3. ところが、日本人は、この言葉の「意味」を「全く知らない」か、知っていても、「日本語」そのもののもつ制約のために「意味」を正しく伝える訓練をしていない人が非常に多い。
  4. 言葉には「意味」(原義)というものがあるということに全く無自覚な人は、「不登校」「ニート」「引きこもり」「フリーター」「アルバイト」などの「うつ病」のゾーンに陥っている。こういう人々の特徴は、他者の話す言葉を耳で聞いても、話されている言葉を全く記憶できないというものだ。

これが、ポルソナーレが数年来、脳の働き方のソフトウェアのメカニズムを解明することを決意した動機です。人間の脳は、欧米人も日本人も全く変わらないはずなのに、なぜ、日本人だけが幻聴(人が自分を悪く言っている声が聴こえる)、幻覚(人が自分をじっと見ている、見られると恐い)などの病理を抱えこんでいるのか?これは、脳の働き方から解明しないととうてい正しく改善されるものではない、というのが動機の主旨です。

●日本のエセ脳科学者が自らの無知を恥ずかしく思わない理由

「脳ブーム」といわれていますが、ポルソナーレ以外の脳についての解明の説明以外は、「言葉の意味」を知らない人々によるいかがわしい「自己解釈」に終始しています。日本人の多くが「言葉の意味」を知らず、したがって、本当か?どうか?を検証する知的能力に欠けているので、「バーナム効果」や「多元的無知」を当てにして、「詐欺まがい」の言説をばらまいています。「どのように、それは成り立つのか?」「なぜ、そういうことがいえるのか?」といった論理実証的な説明が無いことに、誰も「変だ」」「おかしい」とは思わないという足元を見ているのです。

●日本の日本語の権威の学者とはこういうものです

日本には、日本語の権威といわれる人が何人かいます。代表的なところでは、次のような人たちです。

●大野晋(『岩波古語辞典』を共編した人。『日本語練習帳』岩波新書より)。

  1. 東京大学に入ったとき、橋本進吉から国語学を学んだ。
    橋本進吉は「日本語はいかにあったか」を教えた。
  2. 時枝誠記からも学んだ。時枝誠記は「言語とは、どんな行為なのか」を教えた。
    「言語とは何であるのか?」が時枝の追究テーマだった。
  3. 二人の言語学者から学んだ結果、次のような結論を得た。
    1. 言葉とは、制度とか、決まったものではない。
    2. 思うままに造形する絵画のような主体性だけによってなされる表現行為でもない。
    3. 言葉には、社会的な規範がある。その規範にかなう形式に従わなければ、主体的に自分の気持ちや事柄を相手に表現することはできない。
    4. 受け手は、規範に従って表現を受け取り、理解につとめる。聞くこと、読むことも、主体的な能動的行為である。
      それは、規範を通して成り立つ。
    5. 言葉とは、そういう表現行為、理解行為の全体をいうのではないか。

●金田一春彦(『新明解古語辞典』の編集者。国語学。『日本語』岩波新書より)

  1. 日本語は、他の全ての言語にたいして特異なものだ、という考えは昔からあった。昭和の初め、東大の平泉澄(きよし)は、家永三郎、遠山茂樹らにこういうことを教えた。
  2. 終戦直後、志賀直哉が「日本の国語ほど不完全で、不便なものはない。フランス語を国語にしてはどうか?」と提案した。
  3. 角田忠信は「日本人の脳の使い方がほかの国の人と違っておかしい」と発表した。
  4. 鈴木孝夫は、『閉ざされた言語、日本語』の中で「日本人は、町を歩いていて、店で何かを買いたいとき、自分の日本語は通じるか?と心配することはない。これは日本だけの特性だ」と言っている。外国では、たいていそういう心配をしている。
  5. 日本は、神の国で、日本語は神の言葉の末裔である。

●鈴木孝夫(言語社会学者、『ラジオ型言語とテレビ型言語』『新潮45』2008・12月号)

  1. 日本語は、話し言葉の音韻(音素)の数が少ない。ドイツ語39、フランス語36、英語45、日本語23、である。このため、「同音類語」の言葉がたくさんあって、話し言葉だけを聞くと、どの言葉を言っているのか、分かりにくい。
  2. 日本語で話すとき、ひとつの意味のことを話せば、非常に長たらしい表現になる傾向にある。
  3. 日本語は、「音訓の二重性」で成り立っているため、「漢字」の意味(原義)を知らない場合、意味不明の会話になりやすい。
  4. 日本人は、もともとの「和語」の上に「漢字」を導入して、「言葉の意味」を表現できるようになった。

●日本人の日本語学者は、言葉の本質を知らない

金田一春彦は、辞典の編者らしく、日本語の特性を「辞典ふうに並べて、解説する」という説明の仕方をします。日本人が、外国語を日本語に訳するときにいちばん困るのは、「愛する」などの恋愛で、いちばん得意なのは自然描写である、とのべます。フランス語には、「恋愛」の「愛する」には無限といってもいいくらいの言葉があるが、日本人が「愛する」ときは、せいぜい「死ぬほど愛する」といった程度だといいます。

ご紹介してごらんいただいた三者の日本語の説明は、言葉というものの本質的な定義が無いことにお気づきでしょうか。
大野晋がかなりのいい線まで接近戦を挑んでいますが、欧米人の言語観と比べて、はるかに水準が低いものです。

0歳3ヵ月から0歳6ヵ月くらいまでの乳児の言葉の習得の仕方を実験や長期の観察をとおして解析してみると、「言葉」は、「行動のため」にだけあるのです。日本の言語学者は、文献をしらべて神の国の言葉であるというところまでは理解しても、乳児が、言葉をどのように生成するのか?の認知の仕方や認識の仕方までは、考察の対象にすることはありません。

乳児と母親の関係、乳児と父親との関係をとおして「言葉」を観察すると、言葉は、「行動」のためにだけ生成されます。しかも、この言葉の「意味」が「行動」をゆいいつ成り立たせるのです。
言葉の「意味」を行動のためのルールとするときが「幻想」というものになります。なぜ、「幻想」という言い方をするのか?というと、人間の認知や認識は、言葉の意味を行動のルールとして他者と「合意」しなければ、幻聴、幻覚、夢のようなエピソード記憶に秩序性がなくなって、「過去のこと」も「今のことのように取り違える」からです。

●日本人の言語学者は、人間の観念と幻想を死んでも理解できない理由

日本人は、鈴木孝夫のいうように、「話し言葉」も「書き言葉」も「意味」を不完全にとらえやすいので、「行動」もまた「停止」しやすく、それを「良し」とする言語観を抱えているといえるのです。

言葉の「意味」がつくった人間の観念の世界を幻想である定義したヘーゲル、マルクス、そして日本人の特異な観念の世界を「アジア型の共同幻想である」と明らかにした吉本隆明氏の言語観をもし、ほんの少しでも理解できれば、迫りくるグローバリゼーションは、日本人にとって「ビッグチャンス」の市場創出の「行動対象」となるでしょう。

●ポルソナーレは、このような日本人の言語観と言語の能力を立て直す脳の働き方のためのテキストを用意しています。ポルソナーレの「カウンセリング講座」への入会時の特別の個人指導です。

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