全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.135

ポルソナーレ実践実技通信講座 「谷川うさ子王国物語」のご案内

「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」
日めくり式プリント形式のテキスト
「最強の言語能力に変わる性格教育法」のご案内22

■精神分裂病をつくる原因の日本語の能力
◎原因と対策のための自己診断テスト

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●はじめに

2008年9月15日に、「アメリカ発の金融システムのバブル」が崩壊して一年が経過しました。
日本人の日々の光景は、2008年9月を境にして一変しました。
現在の日本は、昨年の9月の前とその後は、舞台の一幕と二幕のように大きく変わっています。しかし、全く変わっていないものもあります。
変わったものは、「バブル性の観念」です。
経済用語の「バブル」とは、「期待価値」のふくらみと成長のことです。
「バブル性の観念」とは、「期待する欲求のイメージ」のことです。
「日本型のバブル性の観念」は、「依存」や「甘え」のことです。
認知心理学のことばでいえば「バーナム効果」(ゲーム、テレビの娯楽、ネット、ケータイなど好きなもの、愛好するものにしがみつく心理)、「多元的無知」(ウワサ、エライ人が言ったこと、権威の人が言ったことを丸呑みにして同調する劣等意識のこと)などだといわれています。

●日本人のバブル性の観念をつくる日本語

このような「バブル性の観念」で自分自身の気持ちを安心させたり、自分の人生を支えるということができなくなりました。
これが変わったことの本質です。
変わらないものとは、「日本語の能力」です。
「日本語の能力」の「日本語」とは、日常で話している「話し言葉」のことです。「話し言葉」のボキャブラリーは現代の近代的なものです。しかし、「元気ですか?」「お元気でいらっしゃいますか?」「お変りなく、お元気でしょうか?」といった言葉に見る「助詞」や「助動詞」「敬語」のような言葉は、現代になってつくられたものではなく、日本の古代社会でつくられたものです。発音や発声の仕方は「縄文時代」に流通していて、「文法」は、弥生時代の晩期に完成しました。
国語学者・大野晋の調査研究と解析によれば、「日本語の起源」はこのようなものだということになります。
「変わらないもの」とは、「話し言葉」を成りたたせている文法です。
人間は、誰でも、言葉でものを考えます。あるいは、思います。
そして、考えたり、思った言葉を話します。さらに、考えたり、思った言葉のとおりに行動します。日本人は、このことを「日本語」でおこないます。弥生時代につくられた「文法」に従っておこないます。この弥生時代につくられた日本語の「文法」が「日本型のバブル性の観念」をつくりました。社会言語学者の鈴木孝夫は、「日本型のバブル性の観念」について、「外国にはいいものがある。それをもらってくればいい」、「日本の生活は、ヨソの国という遠くにいる誰かがなんとかしてくれる」(輸出依存と輸入依存)というものだといっています。
このような「バブル性の観念」は、国、地域、企業、家、グループの人間関係、職場の人間関係、恋愛、結婚、というように場面を変えても変わりません。

●日本語の文法のしくみの基本

日本語の「文法」は、「バブル性の観念」をどういう本質でつくるのか?といいますと、「遠い、近い」で分けて区別することが骨格になっています。この骨格は、縄文時代から今になるまでずっと続いていて変わりません。その証拠と証明になることを国語学者・大野晋が明らかにしています。
「そういえば」と、あなたにも思い当ることがあるでしょう。
「家の中の人や友だち、恋人とは自分らしく話せる。しかし、親しくない人や仕事の中の人物とは自分らしく話せない」と感じるでしょう。
日本語の「文法」は、「遠くのもの」は人間でも、勉強でも、仕事でも、地域でも「恐いものだ」しかし「自分に役に立つものを持っているものだ」という思想でつくられています。
その思想の内容とは、こんなふうです。

●日本語の文法は「遠い、近い」の区別が土台

  1. 「遠くにあるもの」は恐怖のものだ。だから、近づかない。近づくときは、危険がともなう。
  2. 「遠くにあるもの」の「自分にとって役に立つもの」は、「努力無し」で自然に手に入るものだ。がんばって必死の思いで努力して手に入れるものではない。
  3. いったん手に入れた自分に役に立つものは「親愛なもの」に変わる。

この「親愛なもの」は、煮て食おうと焼いて食おうと好きにしてもいい。そして、見下して、バカにしてもよいものになる。イジメて、病気にして、辛い思いをさせてもいっこうにかまわないものになる。

日本人は、「遠くにある価値あるもの」を手に入れる方法として漢字と漢語を使いました。漢字と漢語を日本に持ち込んだのは、朝鮮半島から日本に来た「渡来人」(とらいじん)です。彼らは、内戦に敗れたり、追われて難から身を守るために、日本にやってきました。
弥生時代の1000年の間に、3回やって来ています。
この渡来人が漢字を使って「ひらがな」の原型をつくり、さらに「中国の漢文」の読み方と書き方の知識をつくりました。
「遠くにあるもの」の「価値のあるもの」を手に入れるには、「漢字」と「漢語」による日本語の「書き言葉」と「話し言葉」の能力が必要だったのです。この「遠くにあるいいもの」を手に入れるには、漢字と漢語による日本語の能力が必要だということは、現代の日本でも同じです。

●現代日本人にとって遠くにある「いいもの」の例

「遠くにあるもの」とは、必ずしも「食糧になる自然物」や「外国にある文明」だけとは限りません。日本人にとって「遠くにあるもの」の代表的なものは、次のようなものも含みます。

  1. 受験して入学すること
  2. 受験して資格を手に入れること
  3. 面接して入社(就職)すること
  4. 会話をして、恋愛や結婚の相手になるようにして同意してもらうこと
  5. 会話をして商品やサーヴィスを購入してもらうこと
  6. 学習をして、新しい事業を起こしたり、新しい市場に進出すること
  7. 家庭で子どもを教育すること
  8. 転職や異動で職場が変わり、新しく学習すること
  9. 「団塊の世代」の定年退職にともなって組織の中間管理職になり、新しく学習すること
  10. 家族、職場の中の人間が「心の病い」になり、正しい関係の仕方について学習すること
  11. 定年退職後の社会性の世界からの孤立を防ぐことについて、学習すること
  12. 離婚、再婚、再恋愛、非恋愛・非結婚の状態について、学習すること
  13. (女性が男性と)(男性が女性と)会話することについて、学習すること
  14. 親や祖父母の「要介護状態」について、学習すること
  15. 自分自身の「身体の健康」「心や精神の健康」について、学習すること
  16. 家の中に居る「痴呆状態」(E・クレペリンの定義による)の人物について、学習すること
  17. 「2008年9月」以降の「世界同時景気後退」の中で、自分の生活、人生、生き方について、学習すること
  18. 自分が抱えている「分裂病の症状」の克服の仕方について、学習すること
  19. 自分自身の「精神分裂病」の症状の「自閉」、「離人症」「痴呆の原因の連想行為」に気づくために、学習すること
  20. 自分自身の「日本語の使い方」の欠陥に気づくために、学習すること

●日本人の行動の限界のメカニズム

 ■これらのことが、現在の日本人にとって「遠いところにあるもの」です。
推測では、98%の人がこの20項目の対象にたいして、次のとおりの関わり方、扱い方の態度でかかわります。

スタート

  1. 恐怖……自分には関係ない。見たくも、知りたくもない。見ただけで頭が痛くなる。近づく気力もない。
  2. 畏怖……ためしに学習にとりくんでみると、疲れて、眠くなる。胃も痛くなる。一体、何がおもしろいのか?と思う。遊ぶ暇はあっても、ガマンしてがんばる暇はない。
  3. 尊敬……内容はよく分からないが、断片的に理解するところでは、いいことを言っていると思う。安心することは確かだ。余裕があれば近づいてもいいが、今は、離れた所から見ている。
  4. 敬愛……役に立っているので価値を認めている。おかげでいくつかの危機や困難を乗り越えられた。大切にしたい気持ちは今もある。
  5. 親愛……毎日、身近なものとして側に置いている。心の支えや精神の拠り所にもなっている。おかげで孤独感や孤立感はない。
  6. 愛狎(あいこう)……自分には不満がある。今の自分の不満や関心のために一体、どこが役に立つのか?ちっとも自分の方を向いてくれないし、不満を分かってくれない。自分から積極的に関わる気がせず、表面的に接している。
  7. 軽蔑……自分の頭には、いつも気になるイメージが思い浮んでいる。このイメージに対して、無用のものに思える。関わることに負担が生じて、関わりを回避したい。今、第二義的な価値としか感じられなくなっている。
  8. 侮蔑(ぶべつ)……今、中身、内容はどうでもいいと高見から見下している。関心も興味も、魅力も感じない。考える、価値を評価する、という関係でもなくなった。何もしないことが一番良いことだと思えている。

●あなたも含む日本人の行動のパターンはどうなるのか?

 ■この1.から8.までのプロセスが「日本語の文法のしくみ」になっています。この1.から8.までの進行過程は、日本語の文法による表現の仕方にもなっています。「表現する」とは、行動にあらわして近づいていく対象になるということです。その行動の対象が「遠くにあるもの」の対象として示した20項目のどれかになります。

かりに「恋愛の人間関係」であるとするならば、8.の段階にまで進行して「高見から見下し、ののしり、拒絶し、相手を破滅させる」という「尊大的な言葉、行動」を向けるということになるでしょう。

ここでごらんいただいた「日本語の文法」のメカニズムの具体的な言葉や行動とは、言いかえると、「対象」が何であれ「不適応」ということを意味しています。
「不適応」とは、具体的にいうとこういうことです。

●日本人の不適応のしくみ

◎不適応の意味

  1. 職場に居られなくなること
  2. 新しい状況での行動がつまづくこと
  3. 新しい状況で孤立して「うつ病」になること
  4. 人間関係で、よそよそしくヨソ者として扱われること
  5. 親密な人間関係をむすべなくて会話がなく、必要な情報を隠されること
  6. 自分だけがトリ残されて置いていかれること
  7. 不合格、不採用になるなど、現実との接点がなくなること
  8. 怪しい人間、妖怪に似た人間、不気味で恐ろしい存在と見なされて、否定的に扱われること
  9. 自分の不幸な状態が拡大されてまわりにパッと伝わること
  10. 親身な関係をむすぶ人物とは見られなくなること

●これらの「不適応」は、「日本語の文法」に根拠があります。

「日本語の文法」を、どのように使っていることが「不適応」をつくり出すのでしょうか?
それを明らかにするのが、次の「日本語の能力の自己診断テスト」です。

●あなたの「日本語の能力の自己診断テスト」・I

問い・1
次の文例の自動詞の「文」と「意味」が一致するものを選んで、結んでください。
文例・1「おれにはお前という強い味方があった」(国定忠治のせりふ)

意味
(a)「ずっと遠い以前に、『お前』という強い味方がいたけど、今はもういない」
(b)「お前という心強く頼もしい味方がいてくれて、嬉しいよ」
(c)「気がついてみれば、自分には『お前』という頼りになる支えがいる。だから、これからも安心だ」

正解と自己診断
(a)……30点
「た」は、日本語の文法では過去形にもつかうのでよく間違える。
(b)……60点
この選択も間違いではない。今の状態をあらわす「た」である。「才気走る」「似る」「高くそびえる」と同じパターンの「た」です。
(c)……100点
現在の気づきと、その気づきの感情が継続している。「とがったナイフ」(とがっているナイフ)「私に似た人」(似ている人)と同じパターンの「た」です。

問い・2
文例・2「ジャンケンで鬼をきめた」

意味
(a)「ジャンケンをして、誰が鬼になるかが決まった」
(b)「ジャンケンをして、誰が鬼になるかをみんなで決めた」
(c)「ジャンケンで、ゲームの鬼の役を選出した」

正解と自己診断
(a)……60点
日本語は、ものごとが成立するときは、「自然にそのような結果になる」という「遠い所にあるもの扱い」をする。だからこの選択は間違いではない。「決める」を自動詞扱いとしているところの理解が評価されます。
(b)……30点
文脈の意味としては正しい。だが、「た」の助動詞は動作が完了した「確定」の『た』によって、「瞬間の動作」の後を意味として表現している。「みんなで」という名詞は「動作の完了の後の状態」を意味する脈絡をつくる。「始まった」「終わった」「就職した」などと同じパターンです。
(c)……100点
状態の継続を意味している。「た」は「過去形ではない(動作の瞬間だけが終了したこと)」をよく理解した選択です。

問い・3
文例・3「ジャンケンで負けた人が、そうじをすることにしよう」

意味
(a)すでに、ジャンケンで負けた人がいる。
(b)まだ、ジャンケンはおこなわれていない。
(c)「そうじ」という「未来のこと」が話し合われている。

正解と自己診断
(a)……30点
「負けた」の「た」は過去形のことではない。形容詞として「負けた」と表現されている。
(b)……100点
「負けた」は「連体形・連用形」の「状態」というのが日本の文法家の説明です。「終止形」ではない、ということです。まだジャンケンはおこなわれていないと判断します。
(c)……60点
「想起」「命令」「決意」の「た」といわれています。まだ「ジャンケンはおこなわれていないこと」を想定できている点は正解に含まれます。

問い・4
文例・4「曲がった道」

意味
(a)「工事によって、まっすぐだった道が、曲がった」
(b)「もともと初めから曲がっている道だった」
(c)「遠くから離れてみると道がカーヴしていることが分かる」

正解と診断
(a)……30点
「曲った」の「た」は、過去形ではない。また、過去完了形でもない。「とがった山」というパターンと同じく形容詞表現と理解する。
(b)……100点
正しくは「道は曲がっている」という状態、性質をあらわしていると表現される。「似た姉と妹」と同じパターンです。
(c)……60点
「曲がって見える」という連用形の表現は成り立つ。過去形、もしくは終止形と判断していないところが評価点です。

問い・5
文例・「もう昼飯を食べたか」

意味
(a)「昼食という食事をおこなったか、どうか?を問いかけている」
(b)「昼食という食事をおこなう予定があるのか、どうか?を問いかけている」
(c)「昼食を摂る意思があるのか、どうか?を問いかけている」

正解と自己診断
(a)……100点
このパターンは、話し手と聞き手の関係が想定されることが必要です。返事は「いや、まだ食べていない」か「もう食べた」かのどちらかです。過去の行為が問われています。
(b)……30点
「食べたか」の「た」は、話し手と聞き手の関係を想定すると、特殊な状況を想定しないかぎり「過去のことへの問いかけ」ととらえます。
(c)……60点
これも、話し手と聞き手のそれぞれの頭の中のイメージが想定しがたいところから生じる誤解です。このような誤解が、日本語の文法のもつ「曖昧表現」の特徴と理解しましょう。

●自己診断の解説

◎30点が5個の人
日本語の文法の「時制の区別がない」という「主観」の表現のとおりに言葉を話したり、考えています。
「分裂病」の症状の次のことの改善が必要です。

離人症

  • 「人の話を聞いているのに、聞いていない」
  • 「本を読んでいるのに読んでいない」
  • 「会話のときに、相手の話を前提とせずに一方的に話す」(「バーバリズム」といいます)
  • 「仕事をしている時に、不安なこととか、美化の妄想のことを考えている」
  • 「文章を書くとき、言葉の意味を不明のまま、見当をつけて書く」

強迫観念

  • 「電話が怖い」(何を言われるのか?と緊張する)
  • 「自分の人格を否定しそうな人と話すのが怖い」
  • 「性が怖い。相手と会話で関わりをもつことが不安で、ドキドキする」

マイナス行動

  • 「約束の時間に必ず遅れる」
  • 「部屋の中を汚れたままにして、安心する」
  • 「他者が不幸な状態にあるのを聞いたり見ると喜びを感じる」
  • 「相手の非を理由にして別れる」

恐怖症

  • 「人の目が怖い」
  • 「人のウワサが気になる」
  • 「虚言癖、誇大癖がある」
  • 「人と話すことが恐い」

パラノイアの言葉、行動をあらわす

  • 「コンプレックスがある」
  • 「自分をエライと思いたい」
  • 「人から悪く言われたことを思い出し、怒りにかられる」
  • 「仕事でミスした人を見下す」

躁うつ病のヒステリー症状

  • 「うつ状態がある」
  • 「電話に出ない、手紙を読まない」
  • 「好き、嫌いでものごとを評価する」
  • 「仕事の予定をたくさん書いて安心する。だが、行動がともなわない」

心気症

  • 「まじない、占いを信じる」
  • 「人から悪く思われていることが気になり、接触を避ける」

◎30点が4個の人
ものごとを曖昧に表現して、自分の距離が近しい人としか話さず、説明の前提を欠落させています。
分裂病の次のような症状の改善にとりくみましょう。

離人症

  • 「文章を、言葉の意味を恣意的に判断して書く」
  • 「人前で話すとき、必ず尊大表現になる」

強迫観念

  • 「人を傷つけることが怖い」
  • 「ひとりぼっちになるのが怖い。楽しみでまぎらわしている」
  • 「自分の人格を否定されそうな面談が怖い」

マイナス行動

  • 「会話のときに自分で自分を評価することを言いたがる」
  • 「自分の自慢話を長くしゃべりつづける」
  • 「相手の苦痛、トラブルを喜ぶ」
  • 「人を虐待する」

恐怖症

  • 「半知りの人が怖い」
  • 「人から悪く評価されることが怖い」
  • 「人の自分への評価が気になり、誇大的に自分を飾る」

「パラノイアの言葉、行動をあらわす」

  • 「親の育て方にウラミをもっている」
  • 「アルコール依存である」
  • 「弱っている人、病気の人を見下す」

躁うつのヒステリー症

  • 「行動を止めて『うつ』に陥る」
  • 「無気力を理由に食事や入浴をしない」
  • 「不満、人への批判を動機にして話すと話が止まらず、自分でも止められない」
  • 「公の場で好き、嫌いを広言する(尊大表現をおこない、追放される)」

心気症

  • 「自分の顔が変だと思いこむ」
  • 「同じ行動をくりかえして安心する、という常同症がある」
  • 「他者と同じ行動をとって協調することができない」

◎30点が3個以下の人
日本語を使って客観表現ができないという問題があります。事実と幻聴(連想)の区別のつかない世界で未来や将来のことを建設できにくい状態にあります。分裂病の次のような症状を改善しましょう。

作為症状

  • 「人と話すと緊張して身体がガチガチになる」
  • 「嫌なことを聞くと呼吸が止まる」
  • 「パニックになって呼吸を促進させる」

作為性の思考

  • 「多元的無知……気に入っている人の言ったことを真実として話す」
  • 「自分が見たと思いこんだとおりにものごとを固定的に信用する」
  • 「証拠がないことを科学的であると混同する」

●ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ

国語学者の大野晋や金田一春彦らの「日本語」の文法の研究の説明をみると、「日本語」のおもな特徴は次のとおりです。

特徴・1……「省略文」(話し方も)が多い。省略が普通になっている。


1・「あの本、どうした?」「読んじゃった」
2・「秋になりましたね」「そうですね」
3・「初めまして」(あいさつの言葉)

日本語のこのような「省略」は、「説明の前提がない」「ものごとを判断するための条件の言葉がない」「根拠や理由という行動に必要な言葉がない」ということを意味しています。

特徴・2……「過去・現在・未来」の時制の区別がない。「過去のこと」をいつまでも考えて、「未来のこと」を考えることができない根拠になっている。


1・「雨が降った」
2・「本はあった」
3・「本があった」
4・「ああ、驚いた」

「雨が降った」の「た」は、過去のことです。「本はあった」の『た』も過去のことです。「本があった」の『た』は「現在のこと」です。「ああ、驚いた」の『た』は、現在の感情の持続のことです。

日本人は、会話の「相手」の了解のもとにこのような主観の表現を成り立たせています。大野晋の説明では、「日本人には、時間の変化を明確にする観念がない。時制は、相手と自分の『主観』の中にある」と説明します。
すると、日本人の文章表現には、「いつ」「どこで」「誰が」「どうなる」「どうなった」という「事実」と「事実関係」の叙述(ものごとを順序だてて説明すること)が欠如しやすいことが分かります。「未来の予測」(未来の状況の創造)がぬけて、感情のままに行動するしかないという取り組み方になりやすいといえます。

特徴・3……文章は「動詞文」が中心である。もちろん「会話」も「動詞文」である。


1・「隠れる」
2・「離れる」
3・「起こす」
4・「暮らす」

1・「隠れる」2・「離れる」は「自然成立の動詞文」です。3・「起こす」「暮らす」は、「作為性による動詞文」です。

動詞文には二種類があります。日本人は「自然成立の動詞文」を好み、安定感を感じる、というのが大野晋の解析です。
大野晋は、「日本人にとっては、ものごとが成立することは、努力して、葛藤ののちに結果が出ること」ではなく、リンゴが自然に実るように成りゆきとして現象することだと考察しています。これは、日本人は、すぐに「行動を止める」「自分の行動は、どんなに忙しくてもすでに終わっている」ということを日常的に表象しているということを意味します。日本人の心の病いの原因は、この「動詞文」にあります。

特徴・4……「否定語句」によって「肯定表現」をおこなう。


1・「あら、ステキじゃないですか」
2・「雨が降るかもしれない」
3・「四時にならなければ帰ってきません」
4・「不賛成でないということもなくはない」

金田一春彦は、この文例を「否定表現」による「肯定表現」だと説明します。しかし、大野晋は、古語の語源から調べてみると「ない」の語源は『なふ』『なへ』『なし』などに求められる、といっています。『なく』『なけれ』『なけし』と形容詞の活用をもつようになり、それが『ない』の否定形と混合して「否定表現」に至った、ということです。つまり、「あら、ステキじゃないですか」の「ない」は、「形容詞表現」、「形容動詞表現」です。話し言葉では区別がつかないので「否定表現」で「肯定表現」がおこなわれているように見えます。

これは、日本語に「AはBである」「AとBはイコールだ。BとCはイコールだ。故にAとCは等しい」といった「形式形容詞」(名詞文)が少ない、表現されていないことが理由と原因です。
「自分の未来の状況」「自分の環境の全体」「自分の行動のプロセス」などを説明することがなくて、「主観的な表現になっている」ことの実例になります。

●日本語をどう使うのがのぞましいのかというと、こうなります。

「主観表現」(自分ひとりだけで思うこと)をしりぞけて「中立表現」による「客観表現」をおこなう。

  • 主観……自分ひとりだけの思いこみ。自分の感情や欲求をいいあらわす。
  • 中立表現……漢字、漢語による「抽象名詞」「抽象形容詞」をおこなう。
  1. 主観……「万物は流転する」
  2. 客観表現……「一切は無常である」
  3. 中立表現……「一切」「無常」など。

このような日本語の使い方をマスターして、「自分の人生を成り行きまかせにしない」「行動停止を喜ばない」「無気力とともに分裂病の『連想』にはまりこまない」ことを目ざしましょう。

●ポルソナーレの『谷川うさ子王国物語』は、そのための学習テキストです。お問い合わせはこちらへどうぞ。

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