みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●「人はなぜ、占い、超能力に魅かれるのか?」
樺(かんば)旦純(わたる)(思考心理学者)の書いている『人はなぜ「占い」や「超能力」に魅かれるのか』(PHP文庫)に、次のようなエピソードが紹介されています。
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1961年9月。
カナダを旅行したヒル夫妻は、ニューハンプシャー州の自宅に向かっていた。車で帰宅していた。
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午前3時頃。
夫妻は、ホワイト・マウンテンズの山中を走っていた。その時、夜空に見たこともない大きな光が出現した。その大きな光は急速に近づいてくる。夫妻は走らせる車の前まで下降してきた。
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その大きな光は、直径が20メートルほどの巨大が円盤だった。
夫は車を停める。車の外に出て双眼鏡で覗くと、円盤の窓の中に異星人と思われる人影が見えた。その人影は夫妻をじっと見ている。
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夫妻は、慌てて車で逃げた。帰宅してみると2時間の空白があった。
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その後、夫は胃潰瘍にかかり精神的に不安定な状態がつづく。妻は、しばしばひどい悪夢に悩まされて不眠がつづいた。
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困り果てた夫妻は、精神科医サイモンを訪れた。ことの次第を話した。
夫妻は、サイモン医師の催眠療法を受けた。この催眠療法で失われた2時間の記憶が戻った。この2時間の間に、夫妻は異星人につかまって円盤の中に連れ込まれたという。身体検査を受けていたという。
この夫妻の記憶はほとんど合致していた。
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妻は、記憶を辿りながら、円盤の中で異星人の一人から見せられた星図を描いた。
この図を、教師でアマチュアの天文家が分析した。
分析の結果は、実際の星の配置と一致する上、夫妻を一時的に誘拐した異星人の故郷は、地球から32光年離れた先にあるレテクル座ゼータという母星であるという。
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その後、ヒル夫妻をモデルにテレビドラマ『UFOとの遭遇』が製作された。
放映後、視聴者から「自分も似たような経験をした」「自分を誘拐した異星人は、同じようにレテクル座ゼータから来たと言っていた」という通報が続出した。
●「UFO」を信じる人が57%
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1973年におこなわれた調査によると、アメリカ人の成人の11パーセントが「UFOを見た」と答えた。
1976年の調査では、アメリカ国民の全体の57パーセントが「UFOの背後には何かが存在すると確信する」と答えた。
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ヒル夫妻の目撃報告はいまだに解明されていない。彼らの証言を裏付ける物的証拠は何も無いからだ。
夫妻の体験が事実だったかどうかは、誰にも分からない。
空飛ぶ円盤や地球の外から来た異星人が存在するかどうかも分からない。存在する、ということよりも、存在しないことを証明することははるかに困難だからだ。
「存在する」という言葉は、「存在しない」ことの証明の困難さの上で成り立っている。
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一般の「UFO情報」はどこまで信用できるのか。
多くの目撃報告は証言のみの「第一種接近遭遇」と呼ばれるものだ。
その多くは、「見間違い」(知覚のエラー)、「覚え違い」(記憶のエラー)、「思い違い」(思考のエラー)などの錯誤によるものだ。
それを証明する研究が「認知的バイアス」と呼ばれるものだ。
●「認知的バイアス」のしくみ
- 「バイアス」とは「歪み」「偏り」という意味だ。「UFO目撃証言」にかんする「バイアス」には、次のような5つの原因がある。
- 目の錯覚
- 記憶違い
- 目撃者の心身の疲労
- 予期
- 信念の強さ
- 「人間の記憶がいかに頼りないものか?」は、三日前の夕飯のメニューを全て憶えている人がどれくらいいるか?でもよくうかがわれる。
また、人は、緊張したり疲労すると記憶に影響を受ける。テストの前に大金の入った財布を紛失したという場合を想像してみよう。
勉強に集中できるものか?
- 人は、自分が期待しているとおりに物事を見る、という傾向がある。「期待効果」という。
また、「信念(ビリーフ)」の強さもバイアスをつくる。
「彼女を信じている」「とても信じられない」など、「信じる」という言葉は日常でも頻繁に使われる。
「信じる」とは「ある対象」が「ある特性をもつ」ことについて「主観的可能性」を述べるものだ。こうした心理が「信念=ビリーフ」だ。
●幽霊を見る人の脳の働き方
- 「目の錯覚」とはこういうものだ。
幽霊を見る、という人のケースがある。この人の見る優勢とは、身近な人(亡くなった父親とか)に限られる。つまり、つねによく見る「幽霊」とは、「身近な人」に限られるということだ。
この「幽霊を見る」という時の脳の状態は、どうなっているか?「本人の両目をふさぐ」「本人と光の間を事物が通過する」と「脳の視覚反応」が急速に低下する。
この時は、現実に音楽や人の声が聞こえるのに、聴覚も低下し、視覚反応も低下する。つまり「目」は見ているのに見ていない、耳は聞いているのに聞いていない、という「脳の状態」になる。
「幽霊」を見ている人は、幽霊を脳の中で作り出しているのである。
●人間の脳の働き方のメカニズム
■人間がつくり出す病理症状を「思考心理学」は、一般心理としてとらえられる「錯覚」や「錯誤」であると説明しています。もともとは「見る」「聞く」「触る」という知覚がつくる「認知」の歪みに原因がある、という説明です。
すると、問題は、このような「認知の歪み」をもつのが人間の一般的な特性であるとすると、この「認知の歪み」はどのように克服されて、歪みを正して「正常性」を手に入れることができるのか?にあります。
ポルソナーレの脳の働き方の考察からは、次のようになります。
- 人間の脳の働き方の本質は「言葉」「言語」を生成することである。
- 言葉・言語の「素材」は「右脳・前頭葉」に表象する「像」である。この「像」は、自律神経の恒常性の働きによって、原則として一生、死ぬまで消えることはない。
- 「右脳・前頭葉の像」は、脳の上向システムによって「脊髄」→「脳幹」(視床)→「大脳辺縁系」→「右脳・前頭葉」というプロセスを経て表象する。
さらに、この「上向システム」は、「脳幹」(視床)から分岐して「左脳・前頭葉」にも到達して、「認知」に対応した「形象」を表象する。
この「形象」が「言葉」「言語」につくり変えられる。
また、「右脳・前頭葉の像」は、「言葉」「言語」の「意味」になる。(注・「意味」とは、国語辞典に載っている言葉の意味と同じものである。)
- 「右脳・前頭葉に表象する像」は、ほとんど自然に、自動的に表象する。
しかし、「左脳・前頭葉の形象=言葉・言語」は、学習という精神活動によって記憶されるというように、相当程度の努力の結果、表象する。
●脳の働き方の本質と病理の生成のメカニズム
- 「右脳・前頭葉の像」と「左脳・前頭葉の形象」の関係は、次のとおりである。
- 「右脳・前頭葉の像」は、「左脳・前頭葉の形象」に言葉、言語による規定を求める。(注・記号化する。)
- 「左脳・前頭葉の形象」は、「右脳・前頭葉の像」を限定した像として特定化する。
- 「右脳・前頭葉の像」が病理の像(イメージ)である場合、「左脳・前頭葉」には「病理の言葉」が表象する。
- 「左脳・前頭葉の言葉・言語」が病理の言葉・言語である場合は「右脳・前頭葉」には病理の像が思い浮ぶ。
- 「右脳・前頭葉の像」は、大脳辺縁系の欲求、感情の中枢神経を通過して表象する。これが、人間の病理の直接の原因である。
- 線状体…不安を記憶する。右脳・前頭葉の像が現実の事物と一致しない時に「不安」のイメージを表象する。この時にノルアドレナリン(猛毒のホルモン)を分泌する。
- 中隔核…性を中心とする快感と破壊(切る、叩く、怒鳴る、壊すなど)のこと。(快感=美化のイメージ。破壊=バッド・イメージ。)
「線状体」による不安のイメージが日常化すると、脳の快感原則にしたがって美化のイメージによって「安心」を得ようとする。中隔核の美化のイメージは「破壊のイメージ」を根拠にしている。(注・孤立からの逃避が根拠になる。)
- 扁桃核…好き・嫌い、敵・味方の価値判断を記憶する。
中隔核の美化のイメージの対象を選択する際の素材になる。
●対策
「右脳・前頭葉の像」とは、もともとこういう性質を内包しています。
そこで、「左脳・前頭葉の形象=言葉・言語」を「概念」に変えていく必要があるのです。
『谷川うさ子王国物語』は、「左脳・前頭葉」に表象する日本語を「概念の言葉」に変えることから取り組む学習です。したがって、思考心理学でいう「認知的バイアス」という病理の妄想とは全く無縁の脳の働き方に変わります。
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