■相談の事例
「私は、29歳の女性です。強迫性障害のために仕事ができなくなって家にいます。
私の強迫性障害は、ウワサされているという不安がくりかえし思い浮ぶこと、いろんな音に過敏になって自分をイジメているのではないか?と思いこむことと、乗り物に一人で乗ること人がじっと見ているのではないかと気になること、これらの不安にともなって顔の半分がひきつったりけいれんすることです」
(栗山さよ子。29歳。無職。富山市山室)。
(注・人物は仮名です。特定の人物、地域、団体、職業とは無関係です。
相談の内容もいくつかの内容を合成して再構成してあります)。
■相談の内容
私は、高校3年生の時に同級生の男の子と付き合って、性の関係をもちました。
これが、クラスの中でウワサになったのです。女の子の間でウワサになってメールとかでひどいことを言われました。
しばらく学校に行けなくなったら、親しい友だちからメールが来て、「誰も人のことなんか気にしていないよ」と言ってくれたので、また学校に行くようになりました。この頃から顔に出るようになりました。口が勝手にひくひく動く、顔が不自然にひきつる、ピクピクする、というふうに顔面神経痛のように動くようになったのです。
大学は、自宅から電車で通うようになったのですが、一人で電車に乗ると、顔面神経痛のようなピクピク、ひくひく、ひきつりが出てきました。誰かが側にいるとなんでもないのですが、一人で電車に乗ると、人が自分を見ているのではないか?とすごく人の目を気にします。人が、私の顔を見て何かを言っているのではないかと思ってしまいます。
大学時代は、一つのことをずっと考えたり、ちょっとしたことを失敗すると頭の後ろの辺りがズキズキしてきます。ずっと長引くと顔のひきつりもひどくなってきます。勉強とか、人の中にいて話を聞いているとだんだん疲れてきて顔のひきつりがひどくなってきます。そんな状態なので学校もよく休みました。でも、ほかに何もやることがないので勉強しかすることがなくて、卒業はすることができました。
社会人になって金融関係の仕事に就いたのですが、仕事を憶えようと必死でがんばりました。顔のひきつりは気にしないようにしていましたが、ますますひどくなって、人が信用できなくなりました。対人恐怖になったのです。初めは、会社の人も親切にしてくれましたが、私があまり話をしないので、私に話しかける人がいなくなりました。私と話す人は、私の顔のひきつりが伝染するらしくその人も顔がひきつるのです。とくに目がひきつります。
怖い目になるし、声も怖くなるのです。
そのうちに、私は、自分がみんなから嫌われていることが分かりました。
会社の中でもいろんなことをウワサされました。そのために会社に行くのが辛くなり、時々休むようになりました。休んだ日は「こんなことをしていると、いつか引きこもりになるかも」と感じていました。ウワサは、学校の時は学校だけではなくて近所にまで広がったからです。すると、外に出るのが怖くなるのです。
今でも、近所の人がいろいろウワサしている声が耳に入ってきます。それでも聞こえてくると「どこでもいろいろと言われるんだ、イジメられるんだ」と思ってしまいます。確かに、ウワサというのは半分嘘で、半分は本当なのでそれを気にする方がおかしいんです。でも、私は、すぐにそれを本気にするので、すぐに顔にひきつりとして出てくるんです。
心に思ってもそれを顔に出さなきゃいいのに、と思っているのですが、そこが、私の脳の働き方というものなのでしょうか、だから、人の声とか物音にすごく敏感になりました。いつも、私のことを何か言っているんじゃないか?と過敏症になってしまって「聞く耳」をもってしまったのです。
仕事をして二年目のころ、物音とか、人の話し声がすると、気になって寝れなくなりました。寝ようとすると物音とか、人がウワサしている声とかが聞こえてきて、寝れなくなるのです。寝るとき、心が落ちつかなかなって目をつむって眠ろうとすると、顔がぴくぴくするのです。これが気になることもあるし、頭の中で余計なこと(いらんこと)を思いつづけているのでなかなか眠れません。朝の3時とか、4時になるといつの間にか寝ているようです。
病院に行ったら、仕事は無理だから辞めた方がいいと言われました。
すぐ治る、とも言われましたが、いまだに薬を飲まされています。
薬の副作用のせいか、不安なことはいつも頭に思い浮びますが、仕事のことなど、まともなことは何一つ考えられなくなりました。
私は、このまま、介護老人のような人生を送っていくことになるのでしょうか。自分でも、自分が今、29歳というのはまるで信じられません。老人のような気分で毎日、寝たり起きたりであっという間に何年間が過ぎてしまいました。こんな私でも、まだ未来はあるのでしょうか。
●ポルソナーレの「指示性のカウンセリング」とは、こういうものです
事例の相談の女性の「顔のひきつり」「ウワサされているという思い」「物音や人の話し声が気になって不安になる」「人が自分の顔を見ているようで気になり、不安になる」という症状は、くりかえし、同じパターンの不安のイメージが思い浮ぶので、「強迫神経症」とも「強迫性障害」ともいわれています。
薬理学の進歩とかMRIの進歩によって、この「強迫性障害」は、脳の中の「大脳辺縁系」の特定の中枢神経が過度に興奮状態になっていることがつきとめられています。その中枢神経とは「線状体」や「淡蒼球」です。
また「中隔核」も刺激されると「手の震え」や「顔のひきつり」「口もとのピクピク、頬のけいれん」などが起こる、と特定されています。
ただ、薬理学中心の治療は、なんらかの神経伝達物質が「大脳辺縁系」に過剰に集まっていることは想定しても、それが何であるのか、また、なぜこういう興奮状態が「大脳辺縁系」に起こるのか?は説明できていません。
なぜ、説明しきれていないのか?というと、このような「強迫性障害」は、食べ物が悪いとか、ウィールスなどの外部要因で起こるのではなくて、人間の心や精神の働きによって起こるからです。心や精神といっても漠然としているので、もっと合理的で論理的な言い方をすると「言葉による活動」の結果として引き起こされます。広くいうと観念の働きとしての脈絡の中で「強迫性障害」はとらえられなければならないものです。
ポルソナーレ式イメージ療法では、このような「強迫性障害」は30分もあれば解消できます。
次のような「イメージ療法」のプログラムで解消します。
指示1
「顔がひきつり、口がピクピクする、人のウワサが気になる、人間が恐い、見られている、という状況を当事者として具体的に思い浮べてください」
指示2
「その場面の中で、自分を見る人、人を悪く言う人を何人か思い浮べます。その人物を全身像にして、白黒にします」
指示3
「その白黒の人物を右の上の方に遠ざけて、小さくします」
指示4
「自分はカラーにして、右下の方へ移動させます」
指示5
「左の下に、自分を悪く言う声を大きくして、次に、小さくします」
原則として、これだけのイメージ療法のプログラムで「強迫神経症」も「強迫性障害」も解消するのです。似たような症状で困っている人は、実際に試してみてください。今現在、働いているとか、家の外に出ている、薬物療法はやっていない、という人は、100パーセントの解消を実感できるでしょう。それ以外の人は、あといくつかのイメージ療法のプログラムと、「社会教育」のための手立てを学習してもらえば、完全に治るのです。
「そんなことで治るはずがない」と疑う人は、まず、とにかく「やってみる」ということを拒否する人です。「治ること」に新たな損得の考えをもっていて、「治ったら困る」という事情をおもちの人です。薬を飲んでもらって収入を得ている人にとっては損害が生じるというようにです。また、10年も引きこもっていれば、「治ったら仕事に行かなければならないのでしょ?」と新しい緊張に怯えるでしょう。
こういう新たな不安を「機会損失」による落伍意識というのです。
ここでお伝えしたいのは、「強迫性障害」は、「イメージ療法」のイメージ(言葉、ないし、言葉の無い状態)による変化からも分かるように、「言葉」をどう憶えているのか?によって作り出されている、ということです。脳の生理学の問題ではなくて、脳の働きをつかさどる「言葉」とその結果の「行動」の問題としてこういう病気が起こる、ということを理解していただけば足ります。
それは、言葉を「記号」として憶えていて、その「記号としての言葉」が役に立たない、まちがっている、というときに「半分行動して半分の行動が止まる」という脳の働き方になります。ここで必ず、「ひきつり」「震え」「幻聴」などが脳(右脳)に生じます。これをつくり出すのが大脳辺縁系の中の「線状体」や「淡蒼球」「海馬」「側坐核」などです。
問題は、この「言葉を記号として憶える」ということを改善しないと、また、再び症状が出てくるということです。
脳の働きは「痴呆化」になります。お困りの方は、ポルソナーレのゼミの「脳の働き方」の学習と、これにともなう「社会教育」しか救出の方法はありません。 |