■相談の事例
「私は、しゃべれない人間になってしまいました。しゃべらない方が楽だと思ってしゃべらないうちに、本当にしゃべれなくなってしまったのです」
(中林恵似子。高3、女子。兵庫県伊丹市)
(注・人物は仮名です。特定の人物とは無関係です。また、特定の地域、職業、団体とも無関係です。相談の内容もいくつかの内容を合成して再構成してあります)
■相談の内容
私は、人と話すことができなくなりました。中2くらいまではそうでもなかったのですが、中3くらいからだんだんクラスの人としゃべれなくなりました。高1の時には、もう完全にしゃべれなくなりました。
高1の夏くらいからもう諦めました。「一人の方がいい」「誰とも話さなくてもいい」と思って、学校を休みました。家の中でじーっとしていました。
高2になってから毎日、悲しくなって、淋しい思いをしました。
「昔みたいに、友だちと一緒に笑ってみたい」と思い、学校に行くようになりました。
でも、ぜんぜん話せません。最初は、まわりの人はいろいろとしゃべりかけてくれます。少したつと、私がぜんぜんしゃべらないのでもう話しかけてきてはくれません。
中3の頃までは、何か話さなくっちゃと、テレビの話とかで「一言くらい」は話をしていたんです。
けれどもその後、自分がすごく無理をしている、疲れているとよく分かるのです。
学校でも「一日に一言」だけしゃべるのが精一杯です。この一言をしゃべるのがしんどくて、苦しくて、しかも悲しいのです。
話しかけてくれる子はいます。だけど「うん」としか言えません。そんな自分がとても惨めです。
私は、誰かと話をしたいんです。
自分がいつからこうなったのかは分かりません。自分を変えたいと努力はしました。でも変われませんでした。話すのを諦めたら、本当に何も話せなくなりました。よけいに胸が苦しくなりました。
私の両親はとても仲が悪くていつもケンカしています。私が小さい頃からずっとケンカばかりしています。だから、家族の誰かと一緒に食事をしたことなんて中1の時からずっと、今まで一度もありません。
私がしゃべれないのは、一生、このままなのでしょうか?
●ポルソナーレの「指示性のカウンセリング」とはこういうものです
ポルソナーレが解明した脳の働き方のソフトウェアのメカニズムの重要な柱は「自律神経」が働かせている、というものです。自律神経は、「首から上」に働く場合が「上向システム」といい、「首から下」に働くときが「下向システム」といいます。これまでの自律神経の働き方は、「下向システム」だけが説明されていました。
下向システムの自律神経は、交感神経と副交感神経の支配の臓器、器官が決まっています。
これは、エネルギーの代謝システムを自律神経がになっているためです。
上向システムの自律神経は、副交感神経の「A6神経」が神経伝達物質を送る、というシステムをになっています。言語や数字、記号の「認識」のシステムが「A6神経」の役割りです。
この「A6神経」は、「A10神経」の「右脳」に表象する「認知」を高度化する、というように働くのです。この「高度化」とは、「記憶」の次元が上がっていくことです。「記憶」は、五官覚の知覚から始まって、この知覚が記号化され、言葉になり、概念化する、というように「記憶」の次元を高くしていくのです。
この「高次化」が止まる時、「しゃべれない」「聞けない」「読めない」ということが起こるのです。
こういう人でも「A10神経」の最初の知覚の記憶はあるので、「しゃべれない」「聞けない」という場合は、「生の感情」だの「生の欲望」のコトバはしゃべれます。
ケースの女性は、記憶の中の「怒り」「恨みごと」「不安」や「恐怖」のどれかのコトバは、洪水のようにしゃべり出すのです。 |