●「埼玉県川口・父親刺殺事件」の長女の心の病気と原因を教えます
みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。
●事件の裏には「父親」あり
平成20年7月19日(土よう日)に、埼玉県川口市で、私立中学3年生の長女(15歳)が、父親(46歳)を包丁で刺殺するという事件が起こりました。「動機は何か?」の解明がすすめられています。「動機は謎だ」と考えられています。長女は、「親が勉強しろと言っていた。うっとおしく思っていた」ことを犯行の動機に語っています。どこの家庭でもあるような親の言葉が、なぜ、「父親を刺殺する動機になるのか?」と不可解に思われています。
●脳の働き方の理解のご案内
話すとか書く、というようにあらわされる言葉のことを『対象言語』といいます。『対象言語』は、「行動するための言葉」です。
「行動」は、手足を動かすことだけではなく、見る、聞く、などをとおして「思うこと」も含みます。
「行動」の本質は、「自分に楽しいこと」か「得すること」がもたらされることにあります。食事を摂る、水を飲む、などの「行動」がその典型です。
すると、「勉強をしろと言った。だから親を殺す」という「行動」は、「行動の本質」に反した「行動」であることが分かります。「行動」の本質に反した「行動」もやはり「言葉」であらわされます。
正常、異常を問わず、「行動」には「言葉」が必要です。
「行動」の本質に反する「言葉」は、『対象言語』の以前に成り立つ言葉です。このような「言葉」のことを『メタ言語』といいます。『メタ言語』とは、人間の頭の中にイメージとしてつねに思い浮べられている「声」「音」「視覚的な像」のことです。
●「メタ言語」と「対象言語」の脳の働き方の理解のための入門
人間は、『対象言語』と『メタ言語』の二つの種類の言葉でものを考えたり、行動しています。
『対象言語』は、話す、書く、読むというときの言葉です。いずれも「表現力」という能力の訓練を必要とする言葉です。『メタ言語』は、脳でいうと「右脳」だけで成り立つ言葉のことです。
「右脳」は、目、耳、舌、口、皮ふ、鼻などの五官覚にむすびついています。五官覚からの情報が「視床」によってふるい分けられて「記憶の中枢神経」に記憶されます。
この記憶が「左脳」の「記号としての言葉」にむすびつく、すると『対象言語』による言葉で「行動」があらわされる、このようなメカニズムになっています。
『対象言語』のもつ法則性にしたがってあらわされる言葉を「表現」といいます。おもに「書き言葉」によって訓練されます。「いつ」「どこで」「何が」「何を」「どのように」「どうする」というように、「行動」の目的、目標がはっきりあらわされます。行動の結論が表現されているので、「行動」の動機や根拠が誰にもよく伝わります。
●人間は、「メタ言語」を中心に脳を働かせると病気のままで生きていく
『メタ言語』は、「右脳」(ブローカー言語野)にイメージとして思い浮ぶだけの「言語」以前の「言語」のことです。思い浮ぶことを表象(ひょうしょう)といいます。典型的な表象(ひょうしょう)が「妄想」です。
「不眠状態のときの夢」「プリンタで印刷してみると行動の目的がハッキリしないメール、ネットサーフィン、オンラインゲーム」なども『メタ言語』の比重が高いコトバです。
「埼玉県川口、父親刺殺事件」の容疑者の長女が供述した「父親が勉強しろと言う言葉がうざったかった」という言葉は『メタ言語』です。
『メタ言語』は、「行動が止まっているとき」に「負の行動のイメージ」として表象(ひょうしょう)されます。これが病気の「脳の働き方のメカニズム」です。
●長女は「うつ病」に陥っていた
長女の「行動停止」とは、「追試を受けねばならないこと」と「補習を受けなければならなかったこと」の二つです。これは、「学校」という「社会性の世界」の知性の対象から「あなたのこれまでの行動は無効である」と通告されたというメタファーになります。メタファーとは「見立て」ということです。
意味としての「喩」のことです。
長女の「行動」とは、学校の教科書の「言葉」を「憶えること」です。
「学校」は、社会性の世界にある「行動」の対象です。関わりがもてなくなれば、「孤立」します。「孤立」とは、「うつ」か「うつ病」に陥り、独立して生きてはいけないという「負の価値」の中にどっぷりつかることを意味します。
●人間が言葉を憶える「脳の働き方」のメカニズムの理解のご案内
人は、「言葉」をどのようにして憶えるものでしょうか。ポルソナーレの研究・開発では、二通りがあります。まず「行動」のために憶えるのです。これを「長期記憶」といいます。もう一つは、「短期記憶」をくりかえして「長期記憶」に変化させる憶え方です。
「短期記憶」とは、今すぐの「行動」にむすびつかない「記憶」のことです。
「学校の教科書の言葉の勉強」と「仕事の言葉」は「長期記憶」の対象です。中学生がもし、フランス語を学習する、ドイツ語を学習する、という場合、これは「短期記憶」の対象です。
「長期記憶」は、「母親」と「父親」が育て、学習させ、記憶させます。子どもの「記憶のソースモニタリング」のソースになるのです。記憶することのスタートは、「新生児」から始まり、「乳児」「幼児」の段階でほぼ完成します。子どもの身体の機能の発達に見合う「行動」の成長の中で、子どもが自分ひとりの力で独立して「行動」するために「言葉」の学習と記憶がおこなわれるのです。3歳でほぼ完成します。
子どもが、「行動」のために憶える言葉は、①記号としての言葉(命令、指示、号令の言葉を意味とする)、②概念(言葉の意味を憶えると、記号としての言葉は、概念に変わる)、③意味としての言葉、の三つです。これは、「愛着」という「安定した関係」の中で初めて憶えることが可能になります。「不安定な愛着」の中で育った子どもは、全ての言葉を①の「記号としての言葉」としてしか憶えることができません。
●子どもは、母親と父親の「愛着」によって言葉を学習し、脳を働かせる
「愛着」という概念は、ボールビー、エインズワース、フィールドらが観察や実験や心拍数の周波数を解析して普遍化しています。「愛着」は、「同期」(同じ状況に立つこと)、「同調」(共感すること)という行動で成り立ちます。乳児は、これにより安定を得て、「探索」という行動と、対象についての「言葉」の記憶を可能にします。「同期」と「同調」は、脳の働き方を見るとき「言葉」の「意味」の「メタファー」です。
乳児にとって「同期」は、「記号としての言葉」のメタファーです。「同調」は、言葉の「意味」のメタファーになるのです。いずれも「記憶のソースモニタリング」のソースになるのです。
母親が「愛着」のパートナーでありうる時期は、子どもが小学3年生までです。小学4年生以降は、「自我の生成と完成」に向かうので、「父親」が「母親」から「愛着」を引き継ぐのです。
●父親が「子どもの社会化」を壊しつづけている脳の働き方のメカニズムとはこういうものです
「父親」が、子どもにたいして正当な「愛着」のパートナーの役割りを果さない場合、子どもは、「同期」のメタファーである「学校と教科書の勉強」の言葉を「長期記憶」にすることができません。この結果、学校に行けない、学校を卒業してからは仕事に行けない、という支障が起こります。また「同調」という「愛着」の言葉を「父親」が言わない場合、子どもは、社会の中で「自分の行動」を可能にすることができなくなります。学校、そしていずれは仕事の言葉の『意味』を憶えることができなくなるので、「行動停止」に陥るのです。
●子どもにとって「父親」とは何か?の理解のための入門
「父親」は、男性の「視床下部」の「背内側核」の能力の「空間認知」を脳の働き方の特質にしています。この「空間認知」にもとづく想像力によって、子どもの話す「体験」に「同期」し、子どもの話す体験の内容(嬉しい、おもしろい、不安など)に「同調」する、というのが「父親」の「愛着」のメカニズムです。
「埼玉県川口・父親刺殺事件」で殺害された「父親」は、長女と一緒にチキンカレーをつくり、一緒にビデオ鑑賞するなど、「仲のいい関係」でした。「同期」と「同調」の言葉は全く無かったのです。すると、学校という社会の場面への参加が不能、教科書の言葉の意味は初めから、学習と記憶の「らち外」にある、という脳の働き方になっていました。
「学校」と「授業の教科書」にたいして「うつ」と「うつ病」を抱えていたのです。
日本の「父親」は、子どもの社会化にたいして、これを壊したり、否定するという「不安定な愛着」の役割りしか果していません。この事件は、子どもの社会性の意識の欠如とその問題の所在は、全て「父親にあること」を示す典型的な事件です。
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