全日本カウンセラー協会 ポルソナーレ

うさぎです。
ポルソナーレ 今の日本の脳の働き方と病気のリポート
「個人べつの病気と症状の傾向」 No.79
日本人の「脳の働き方」の変え方
■脳の働き方から変える新・性格教育法
■特集・日本人の心の病いと治し方

みなさん、こんにちは。
全日本カウンセラー協会・ポルソナーレの谷川うさ子です。

●日本人に心の病気をつくる新しい現実

 すでにどなたもよくご存知のとおり、日本の経済社会は大きく「景気後退」の道の軌道をたどりはじめています。「インフレ」(物価の値段が上がること)と、「デフレ」(収入が増えず、支出がスピードアップしつづけること)に挟まれて、日本人の「社会の中で生きていく能力」を問いかけています。

 人間は、誰であっても「社会参加の能力」が無くては、安全に、健全に生きていくことはできません。
 ところが、日本人は、「社会」はあっても、この「社会参加の能力が乏しい」という「性格」(脳の働き方のメカニズム)を抱えています。そのような日本人の「性格」(脳の働き方)の前に、数年前から迫ってきているのが「デフレ」と「インフレ」による「社会参加のハードル」です。この「ハードル」をどうしても超えられずに、「これ以上は生きられない」というトラブルの現象が「心の病い」です。

●日本人は「社会参加の能力」について何も知らない

 日本人は、「社会参加」ということの正しい意味も知りません。「学校に行っていれば社会参加」と考えている程度の理解ではないでしょうか。「仕事に行っている。ちゃんと毎月、収入を得ている」ことを思い浮べて「社会参加」と思っている人もいるでしょう。
 それならば、なぜ、小中学生の不登校児が増えつづけているのか?というように「角度」を変えて考えることはできません。
 また、日本人は、世界で第一位の高い「自殺率」が10年もつづいていることと、「社会参加の仕方」については、誰も考えられていません。

●日本人は、脳の働かせ方を「暗記」「丸暗記」のことだと思っている

 誰でも「学校に行くこと」は「社会参加である」とは知っています。また「仕事をして収入を得ること」は「社会参加という」ことは、よく分かっています。では、「社会参加の能力」とは、何でしょうか?日本人が考える「社会参加の能力」の意味は、「学校の教科書の言葉を暗記して、試験に良い成績をあげること」が「能力である」というものです。また「職場の中で、命じられたとおりに行動できること」が「能力である」と理解して誰も疑っていません。

 日本人の「社会参加の能力」は、誰もが「暗記のことである」と考えています。
 このことは、「脳の働きとは、暗記の能力のことである」と「イコール」で理解しています。だから、「脳年齢」や「脳活性化」とは、「暗記の能力」のことだとも考えられています。

●茂木健一郎、川島隆太らの「エセ脳科学」が受け容れられている理由

 茂木健一郎の『脳を活かす勉強法、奇跡の強化学習』(PHP研究所)が68万部も売れたり、川島隆太(東北大学教授)の「暗記のドリル」が大量に売れているのは、「暗記すること」が「脳の働き方の全て」と誰もが考えていることの証拠になるでしょう。

 それならば、新聞でもしばしば報道されているように、日本の大会社で「10人に7人か8人」という「うつ病」の心の病いによる「休職者」が増えつづけているのはどういうわけなのでしょうか。

●「丸暗記」がうつ病をつくり出すしくみ

 「うつ病」とは、どういう心の病気のことでしょうか?ひとくちにいうと「学校に行くこと」という行動が止まることをいいます。「仕事に行くこと」という行動が止まることが「うつ病」です。「学校に行って教科書に書かれていることを学習しなければならない」ことはよく分かっているのに、しかし、行動が止まるというのが「うつ病」です。
 「職場に行って与えられた仕事を遂行しなければならない」ことは、よく分かっていて、意識は明晰なのに、しかし、行動が止まるのが「うつ病」です。

 もし、「丸暗記」や「暗記すること」が社会参加の能力ならば、「行動が止まる」ということが起こるはずもありません。「行動」のためには、誰にとっても「言葉」が必要です。長年「学校に通っている子ども」「長い間、職場に通って仕事をしつづけている人」が、一体、なぜ、行動を止めるのでしょうか?「丸暗記」や「暗記」が「うつ病」をつくり出すからです。

 「うつ病」の本質とは、「自分が行動したことは、即、快感か、楽しいことをもたらすものでなければならない」という「ものの考え方」(性格)のことです。「丸暗記」「暗記」そのものは、何の楽しいことも快感ももたらしません。そこで、つねに、楽しいことや快感に相当することを用意しておく必要があります。茂木健一郎が『脳を活かす勉強法』の中で「ホメられる」というのは、「うつ病」のモデルになるのです。また、川島隆太が「一分間で、何個、暗記できたか?」と「ドリル」をゲーム仕立てにしているのも「うつ病」を促進するモデルになるのです。

●暗記、暗記の能力もない人が「分裂病」をつくる

 「分裂病」の本質は、仕事や勉強の行動の中で、「快感に感じるイメージ」をつねに「思い浮べつづける」という「ものの考え方」のことです。これも脳の働き方です。
 「性格」の特質として「快感のイメージ」を決して手離さないという二重の思考パターンを抱えています。しかし、仕事の中や学校の勉強の中では、たえず自分に語りかける現実があります。ここで「たえず思い浮べる快感のイメージ」は鮮明さを失い、曖昧になって不安なり緊張なり、恐怖なりのイメージが思い浮びます。
「人の目が気になる」だの「人が自分を悪く思っている」、もしくは「人の話が分からない」といったことです。

 頭の中に「快感のイメージがハッキリとは思い浮ばない」というニュートラルな状態の「分裂病」の症状が「頭の中に音楽が鳴る」とか「人の声がいつも流れている」という状態です。これは、「半行動停止」の状態のときの分裂病の病理現象です。つねに、誰にとっても現実は圧倒的に「生きるための能力」を要求してくる、という本質によって、このような「半行動停止」が強いられます。「現実」から「分裂病による生きる能力の喪失のゾーン」に移行していくときに「不眠症」の病理が橋渡しをするのです。「不眠症」は、「半行動停止」のときに思い浮ぶ「快美感のイメージ」よりも「不安」や「緊張」のイメージの比重が高くなって、「本格的に、快感のイメージだけで頭の中を一杯にして満ちあふれさせたい」とジャンプするときの「誘(いざな)い」の症状です。

●グローバリゼーションの中の日本経済は、暗記、丸暗記の脳の働き方をリセットしている

 「うつ病」も「分裂病」も、今の日本の経済社会のように、経済の市場のメカニズムが新しく大きく変化するときに発生します。新しい経済社会は、「新しい言葉」がつくり出されて、「新しい行動」を生み出すということが求められている「現実」のことでもあります。すると「言葉」を「丸暗記する」「暗記する」という「社会参加の仕方」は、それまでに暗記していた「コトバ」がリセットされることになり、まったく白紙の脳の働き方に引き戻されることを意味します。
 それまでのその人の「過去の実績も経験もゼロになる」ということです。今の日本人の「心の病気」は、このような新しい経済社会の現実にたいして、何の「参加の能力ももちあわせていない」ということを共通の動機にして生み出されているものであるのです。

 すると、新しく変化している日本の経済社会を生き残って、心身ともに元気で楽しく生きていくには、「脳の働き方から変える性格」を身につける必要があります。今までどおりの「丸暗記」「ひたすら暗記する」という「脳の働かせ方」しか知らない人は、まずまちがいなく「うつ病」と「分裂病」を脳の中につくり出して、病理のつくる快感に高く吊り上げられて、一気に糸が切れて墜落していくことになるでしょう。

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