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読むだけで幸せになる手紙
要介護認定600万人のうち、
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日本人の「平均寿命」は長いが、「自立して生活できる健康寿命」は、男性が9年、女性が13年だという。 この「健康寿命」に当たらないのが「虚弱」(フレイル)というのらしい。 「虚弱」(フレイル)とは、動作が遅い、転倒しやすい、物を持つ力が弱い、などのことだといわれる。ここから「認知機能の障害」とか「鬱病」とか「神経症」が生まれて、やがて「要介護状態になる」と考えられている。 高齢者の衰えが「フレイル」だ。「虚弱」のことだから「運動」と「食事」で予防や回復が可能であるとする。 (平成27年8月16日、日本経済新聞より) この高齢者の虚弱(フレイル)の説明には、「なぜ、女性が全体の57%を占めるのか?」「なぜ、男性の健康寿命は9年間しかなく、短いのか?男性が要介護状態に陥って早く死亡するのか?」という問いかけはない。原因や理由を考察しようとする観念はない。 『幼児教育の経済学』という本がある。シカゴ大学の教授、ジェームズ・J・ヘックマン(2000年ノーベル経済学賞受賞)が書いた。幼児のころにどのように「教育」という「人的資本投資」をおこなうか?で「国の国際競争力が決まる」という主旨の本だ。 「老いた人間のことを考える」とは、「子どものことを考える」ことと同義だという説明だ。 逆のいい方も成り立つ。 「子どものことを考える」とは、すなわち「高齢者の要介護状態、認知症のことを考えること」と同じである。 多くの日本人には、このような気の遠くなるような論理をたどることはなじまない。 だが、「なぜ、男性とくらべて57%という効率の女性の419万人もの要介護者」(平成27年3月時点)が発生しているのか?は、「幼児のころ」の脳の働き方に原因と理由があるのだ。 幼児の成長、発達の中には、教育のテーマがある。一歳半ごろにあらわす「指さし」だ。まだ物を言わない幼児が、遠くの物を見て、人さし指をピンと伸ばして、無言のままに「あれは何か?」と問う。専門的には「共同指示」という。 親も、幼児の指し示す対象を見る。そして「あれは、スズメよ。チュンチュンって鳴くのよ」と話す。これを「現在母親発話」という。 「目で見ること」(視覚)と「耳で聞くこと、話すこと」(聴覚)が一致して、「共時して働く」という脳の働き方のしくみ(メカニズム)がある。 このような理解の仕方を、ジェームズ・J・ヘックマンのいう「エビデンス」(証拠)を理解するという。 エビデンス(証拠)とは、人間の知性は「言葉」がつくり出すが、この「言葉」は「目で見ること」(視覚)と「耳で聞くこと、話すこと」(聴覚)とがいつも同時に、一致して働くということだ。 この一致が、脳の中で「視覚」と「聴覚」による「言語」(言葉)をつくり出した。 ところが、この「聴覚」は、脳の中で二つの働き方に分かれている。 一つは、「いつも視覚とむすびついている聴覚」、もう一つは「自分の欲、感情にむすびついている聴覚」だ。 前者は、「相手の顔、目を見て話し、聞く」という聴覚の働き方だ。 後者は、大声で笑い、笑い声を出しながらしゃべって、「自分の気持ち」だけを言いあらわす「聴覚」だ。 ここでは、相手の顔も目も見ない。あらぬ方向を見て話す。 会話の中の話題は一致しない。一方的な、ひとり言のようなしゃべりを好きなように、好きなだけ話す。 子どもをもつ母親の二、三人に聞いてみると、「わたしは子どもの目も顔も見ないで話す」という女性もいる。「わたしのばあいは、子どもの父親は、子どもの目も見ないし、顔も見ない」という人もいる。 これは、2歳児から始まる「不安定な愛着」のことだ。 目は、たしかに相手の顔を知覚しているが、しかし、その視覚は、相手と交わす言葉の中身をイメージしていない。 「心的には見ていない」という心的現象だ。このような心的異常を吉本隆明は『心的現象論』(角川文庫)でくわしく説明している。 会話の中で「あっはっはっ」と大声で笑う女性、「そーよ、そーなの、わたしってば、いつもそーなのよ」と自分の感情のことを笑いながら話す女性、そして「スマホの画面を見ながら話す人」「左耳に電話機を当てて話す人」は、「右脳の聴覚」だけが働いて言語機能の「聴覚」が働いていない。 ポルソナーレは、これが「要介護常態」と「認知症」(痴呆症)の発生のしくみだと、考察している。 |
谷川うさ子さん |
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