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全日本カウンセラー協会・ポルソナーレのマスターカウンセリング
読むだけで幸せになる手紙・手が震えるけど愛される物語 |
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わたしは、地方の小さな銀行に勤めています。 恥かしながら、手が震えるので辛く思っています。 昼休みに誰かがお菓子をくれます。わたしはお菓子は好きです。セロファンに包んであるチョコレートは懐かしい気持ちになってとてもおいしい。 手が震えるのは、好きなチョコレートなのに、手で口まで運ぶときです。 カタカタ、カタカタと手がこきざみに震えます。震えを人に見られると悲しくなるので、食べません。 お昼ごはんの時にも手が震えます。社員食堂に、2人とか3人とか女子社員が集まってお弁当を開いて食べます。箸で食べ物をはさみ取るのは平気です。箸でつまんだご飯とかニンジンとか、玉子焼きを口もとに運ぶときに手が震えるのです。 これは、経験したことがある人には分かってもらえる悲しみの世界です。 パーキンソン病でもなく、アルコール中毒でもないのに手が震えるのって、よほどの対人緊張症だと思われそうです。 わたしは、対人緊張ではなくて、自分が自分に緊張して体が固くなるのです。 きっかけはありました。 相性の悪い女性の先輩です。あ、この人はわたしのことを嫌っているなって声の感じでわかります。 言葉の語尾が切り口上になれば、圧力を感じます。低い声か、声が少し大き目になれば体がサッと固くなります。 この先輩が近くにいると字を書く時にも異常と思えるくらい指先に力が入ります。 この女性の先輩と同じように、父親にも体が固くなって緊張します。 わたしの父親は小学校の教師です。 母親は小学校4年のときに病死しました。小学校6年生のときに、新しい母と再婚しました。亡くなった母親の実の父と母、つまり祖父母が遠い親戚の女性を養女にもらいました。この養女の婿(むこ)になったのが父親です。 だいぶ前のテレビ番組に「必殺仕掛人」という時代劇がありました。 主人公の藤田まことが姑から「ムコどの、ムコどの」と呼ばれて、小さくなっていました。 父も家に帰ってくると転校生のように小さくなっていました。 父親は、家ではいつも不機嫌でした。 わたしだけにきつい言い方をします。 職場では、昼食は一人で食事します。ひとりでごはんを食べるのはあまりにも淋しいという人もいます。わたしは一人で食べるとしっかり食べられるのでいいのです。昼食を食べられないと仕事にもミスを起こします。空腹では、仕事に集中できなくなります。淋しい時は、東京で大学に通っている妹に電話します。妹のものおじしないパワフルな声を聞くと元気になります。妹は、一人の時には喫茶店とかハンバーガー店とか人がたくさんいる所に行って、にぎやかな中で本を読むと言います。 わたしは喫茶店には行けません。人がたくさんいると話し声で体がカチカチに固くなります。呼吸するのも苦しくなるのです。 |
谷川うさ子さん |
福島民子さん(28歳・仮名)の手紙です。 日本の女性は、父親から行動の仕方を学びます。 男性の脳には認知の能力があるので、行動力だけはどの男性も身につきます。女性の脳には認識の能力はあります。認識の力は学習でしか身につきません。そこで女性は、ひとりで自分の気持ちをあらわすために父親の行動の仕方をマネします。模倣します。 マネの仕方は、聴覚の力で覚えます。 目の視覚で学ぶのは母親です。 福島民子さんの父親は、家族との会話がうまくいかなかったので、行動のための対象の学習がうまくいきませんでした。その悲哀が暴言となって民子さんに向けられました。 民子さんは、人のどんな言葉も自分の行動を批難しているように思えました。 わたしは、小学校の同窓会に出席しました。 隣の席に、その後彼氏になる男性がいました。同窓会ではお酒を飲みます。アルコールの入った千葉健さんが言いました。 「なんだ、手が震えるから飲めないのか。僕が、震えを治してやる」 息を吐いて、力を抜けて。はいはい、はいはい、その調子。はいはい、はいはい、おいしいビールをひとくち飲んでみよう、と『マッサン』(NHK・TVドラマ)の主題歌を歌う中島みゆきふうの歌声で言います。 わたしはビールを飲みました。手は震えません。 次は枝豆だ、ビールのおつまみにステキ。 枝豆を食べても手は震えません。 今は、週末になると二人だけで会います。 中島みゆき風の応援歌に感謝してお礼を言いました。 「あれ?ぼくはそんなこと言ったり歌ったりしたんだっけ?」 千葉健さんは、明るく笑います。 デートの日は、いつも空にビールのおいしそうな泡のような白い雲がぽっかり浮んでいます。夏のビアガーデンに二人で行くのが楽しみです。 |
谷川うさ子さん |
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