脳の働き方の崩壊は、「痴呆」に行き着きます。 |
ポルソナーレのカウンセリング |
ゼミは、中級クラスになって「脳の働き方」についての学習を本格的にすすめています。初級クラスの学習の当初から「日本人の脳の働き方」は自滅に向かっているとお話しています。初級クラスのカウンセリング・ゼミの当初は、「自滅といっても、どこか遠い所にいる特別な日本人のことではないか」とお思いになっていた人もいたかと思います。しかし、中級クラスになって、スーパーバイザーカウンセラーの認定のための「日本人の脳の働き方」の説明に踏み込みはじめると、意外と、自分の身近な人の問題であることにお気づきでしょう。
「脳の働き」ということでどなたもすぐに思い浮べるのは「記憶力」とか「ニガテなものを見たり聞いたりすることへのストレス」「集中力が減退した」などの限られた機能のことでしょう。そして、それだけはどうしても避けたいとひそかに願っているのが「痴呆症」(ボケ、もしくは認知症)でしょう。
ところが、ポルソナーレの「脳の働き方」についての「初級クラス」から「中級クラス」にかけての考察をふまえると、ほとんどの人がこの誰もが恐れる「痴呆症」をまぬがれないという脳の働き方をくりかえしています。
「脳の働き方」は、原則として「言葉」ということと「行動」ということにシンプルに還元してとらえることができます。ここでは、「心や精神はどうなる?」といった議論や「寝たきりや、ひきこもりの人間だって人間だ」といった議論は、全て「脳の働き方」といった概念の中に包み込んでとらえることができます。それは「痴呆状態」という「脳の働き方」です。
スーパーバイザー・カウンセラーの知的力量の水準に合わせて、問題を、概念の次元で、論理的に設定してみましょう。
分かりやすい例は「不眠症」です。 |
「不眠症」の脳の働き方とはこういうものです。 |
「不眠」とは、「眠れない」とか「眠らない」という事実の言葉から入っていくことが望ましいのです。どういう時に「眠れない」もしくは「眠らない」のでしょうか。「徹夜仕事をしている」、「非常に嬉しいことが起こった」「非常に、苦悩することが起こった」「心配なこと、不安なことが思い浮んで眠れない」、などでしょう。このうち、どれがあっても「不眠」という状態が起こります。では、このいくつか任意に想定される事例のうち、どれが「不眠症」という病理にあたるのでしょうか?
それは、「右脳」だけが働いている時の状態です。「心配なこと、不安なことが思い浮んで眠れない」が該当します。なぜ、これが病的に眠れないことになるのでしょうか?これを正しく説明できるのが「スーパーバイザーカウンセラー」の条件です。発生から結果にいたるプロセスを正しく説明できる、原因を正しく指摘して、その問題の性質を明らかにできる、これを公平な第三者にも伝わるように説明する、というのがポルソナーレが規定するスーパーバイザーカウンセラーの知的力量というものです。たまたま偶然に出会った「相談者」(クライアントではありません)に説明して、その結果、「不眠症」が治って眠れるようになっても、「カウンセラー」とはいえないのです。なぜかといえば、不眠は、薬でも眠れるし、森田療法の「恐怖突入」でも眠れる、また、仕事もせず一日中横になっていれば眠れる状態がつづくものだからです。
複数の公平な第三者の前で説明するか、書き言葉(手書きの)の文章で発生の原因と、そのプロセスを説明できて、ここで初めて「定立」といいます。
「不眠」とは「眠れない」ことが「不安になる」ことをいいます。実際に眠れているか、眠れていないかは問題ではありません。薬を長く服用している人は、「眠れないのではないか?」という不安をもっているので、その心配のために服用しつづけています。眠れなかった体験が、3年も前のことであったとしてもです。今は、現実に眠っていても、「薬を飲まないと眠れないのだ」と思いこんでいること、これが「不眠症」というものです。 |
「眠る」「眠れない」の脳の働き方 |
「眠る」とは、一体、何のことでしょうか。
「脳の働き方」でいうと「A6神経」の働きが止まることです。「A6神経」は脳幹から出発して、「左脳」と「大脳辺縁系」そして「小脳」に分布しています。「A6神経」は、ノルアドレナリンという猛毒のホルモンを分泌させて、人間的な意識を活性化させます。おもに「左脳」に作用して、「左脳」を働かせるのです。「左脳」は「言語の脳・認識の脳・表現の脳・行動の脳」です。この「左脳の言語」は、「記号としての言葉」と「書き言葉」の二つがありますが、ここでは、どの言葉でも「表現」「行動」をあらわすことには違いはないと理解します。
この「左脳」は、脳神経を「ニューロン」といって樹状突起の回路でネットワーク化されています。回路は、電気的なエネルギーが生起して、信号化された情報を伝える、というメカニズムになっています。だから「デジタル脳」といわれています。「右脳」は、液体伝導で信号化された情報を伝えます。ちょうど「血液」の中を通って「女性ホルモン」が脳下垂体(のうかすいたい)から子宮や卵巣へと伝わる、というメカニズムと同じです。この左脳と右脳のメカニズムの違いから分かることは、エネルギーの消費量と疲労度です。「左脳」の方がエネルギー消費も疲労度も高いことがよくお分りでしょう。すると、「夜になって眠る」のは、「左脳」なのです。自律神経の交感神経が「光」(太陽)に反応して「暗くなるとエネルギーの供給を停止する」というようにして、「眠ること」(休息すること)に導くのです。ここで「眠ること」(休息をとること)をおこなうのは「左脳」です。
「右脳」は、目、耳、手、皮ふ、などの五官覚の働きの「認知」に対応しているので、夜になっても、ほんのわずかしか「眠らない」(休息しない)のです。これが、「レム睡眠、ノンレム睡眠」といわれるものです。
「レム睡眠」とは「浅い眠り」のことです。この「浅い眠り」の時に、人は夢を見ます。
「不眠」というのは、「レム睡眠」の状態のときに、「夢を見ている」のではなくて、「大脳辺縁系」の生の感情や生の欲求にむすびついた過去の不安な記憶の「エピソード記憶」が「右脳」の「ブローカー言語野の3分の1のゾーン」に思い浮べられていることをいいます。
「エピソード記憶」とは何のことでしょうか。これは「行動」に対応した「記憶のイメージ」のことです。人間は、誰かに「自分の体験」を話す時に、「いつ」「どこで」「誰と」「何を話した」という体験の順序にしたがって説明します。そういう説明の言葉を話さない場合でも、「右脳」のブローカー言語野(3分の1のゾーン)には、体験したことが「始まり」から「終わり」までの空間的な進行のイメージとして思い浮べられるでしょう。これが「エピソード記憶」というものです。 「不眠」の時に思い浮べられている「不安のイメージ」も、「負の行動のイメージ」が「エピソード記憶」として思い浮べられます。この「エピソード記憶」は、大脳辺縁系の中の生の感情や生の欲求を記憶している「扁桃核」や「視床」や「中隔核」のどれかとむすびつくとき、「不快」の感情が具体化して「あの人は嫌な人だ」「あの人は敵かもしれない」「あの人の言動は、自分に害をもたらす敵対行動かもしれない」という「負の行動のイメージ」を想起します。 |
「不眠」は、「横になる」(行動停止)の「右脳中心」が引き起こす |
身体が横になって寝ている時というのは「行動停止」の状態です。
しかも、「目をつむっている」ので、意識の外との関わりが遮断された「行動停止」の状態です。
「行動停止」の時は、誰でも「負の行動のイメージ」が「右脳」に表象(ひょうしょう)します。だから、どんな健全な人でも、眠っている時に観る「夢」は、たいていが「不快な内容」になるに決まっているのです。
しかし、ごく稀(まれ)にきわめて健全な「夢」を見ることもあります。多忙を極める仕事をかかえているとか、とてもおもしろい「物語」を読んでいて、その物語のストーリーが途中である、といった場合です。この時は、「左脳」の言葉を考えつづけているので、「右脳」に「左脳の言葉の意味のイメージ」が「右脳のブローカー言語野の3分の2のゾーン」に思い浮べられます。「まだ、行動は続行している」という「記憶」と「扁桃核」の「好き」や「視床下部」のGnRH(欲望のホルモン)の記憶を想起している時には、「楽しい」「やる気がある」という生の感情にむすびついて、「左脳」の言葉に対応した「夢」を観ます。これは、「行動が止まっていない」という無意識(右脳で表象されるイメージのこと)の活動です。
「不眠症」は、これとは正反対の「無意識」の活動であることがお分りでしょう。
「不眠症」の人は、昼間の「行動」が「半行動停止」になっています。
「行動のための言葉」が「記号としての言葉」であるために、「その行動の意味は何?」「その行動の言葉の意味は何?」と問われる関係の場面で、「本当はこんなことはやりたくない、止めたい」と思っているのに、嫌々ながら、無理に「行動する」ことが「半行動停止」です。「行動停止」は、「負の行動のイメージ」を「右脳」に表象する、とご説明しています。「不快に感じる」「自分だけが損をしている」という内容が万人に共通する「負の行動のイメージ」です。 夜になって、「寝よう」と身体を横にすると、完全な「行動停止」になります。ここで、昼間に「右脳」に思い浮べられていた「負の行動のイメージ」が、全面的に表象(ひょうしょう)します。 なぜでしょうか。「左脳」にも働きかけていた「A6神経」のノルアドレナリンが「大脳辺縁系」だけに分泌されるからです。「A6神経」は大脳辺縁系の中にも分布しています。
これは、「危険」「敵」「嫌い」ということを記憶して、自分の身体や「自我」(自分で自分の気持ちを安心させる能力のこと)を防衛するためのメカニズムです。このノルアドレナリン(猛毒のホルモン)が「線状体」を刺激すると、「昼間」は「不安だな」「嫌だなあ」という「負の行動のイメージ」にとどまっていたものが、一気に「恐怖のイメージ」に進行するでしょう。 |
「負の行動のイメージ」がつくる「強迫神経症」のしくみ |
人間の「行動」には、「始まり」がある、そして「終わりがある」というように成り立っています。この整序性を別の言い方をすると「因果の法則」といいます。原因があるから結果がある、という法則のことです。「無意識」の活動でもこの因果の法則が働きます。「負の行動のイメージ」にも因果の法則が働く、ということです。
「線状体」は、「不安」のイメージを「右脳」に想起します。
家の中で「半行動停止」のことをおこなっている人は、線状体が想起する「不安」のイメージは「恐怖」のイメージへと進行しないので「不安」のイメージのままにとどまります。これが「強迫神経症」です。「30分間も手を洗わずにはいられない」(不潔恐怖症)、「ガスの元栓を閉めたかどうかが気になって、何度もガスの元栓を確かめる」という病理が「強迫神経症」です。
「不眠症」の場合は、「強迫神経症」の「不安」のイメージの反復した想起ではなくて、「恐怖」のイメージへと進行するのです。理由は、「行動停止」になるからです。「因果の法則」にしたがって、「不安」のイメージは、「恐怖」のイメージを想起しますが、この「恐怖」のイメージは、「過去の恐怖の体験の記憶」を探して見つけて、「エピソード記憶」として「右脳」に表象させます。「過去の記憶」とは何でしょうか。「不安」から始まって「恐怖」に感じた体験のことです。 「楽しいことを期待していたのに恐怖に感じた」というのではありません。このパターンは、ふつう「トラウマ」といわれています。災害や犯罪や、事故に遭遇した場合の「恐怖」の体験がトラウマです。 |
「いじめ」「嫌な仕事をさせられている」の「恐怖のイメージ」と脳の働き方 |
ちなみに、「学校でイジメに遭っている」「職場で、イジメのような仕打ちを受けている」「毎日、不本意で望まない仕事を強いられていて、今日も恐怖の一日が始まるかと思うと、ストレスを感じて身体が固くなる」といった、予想される「恐怖感」の中で体験した「恐怖」はどうなるのでしょうか。家の中で「行動停止」になると「線状体」は、ダイレクトに「恐怖のイメージ」を表象します。この「恐怖」のイメージが「過去の体験」の「エピソード記憶」を想起させるのです。「A6神経」のノルアドレナリンが「中隔核」を刺激して「震え」や「痛み」や「呼吸困難」の知覚のイメージも「右脳ブローカー言語野」(3分の1のゾーン)に表象します。これは、「バッド・イメージ」というものです。「自分に危害が加えられている」「自分の身体のどこかの機能が壊れた」というイメージが「バッド・イメージ」です。
「バッド・イメージ」は、必ず「A9神経」がドーパミン(快感のホルモン)を分泌させます。これも「幸福のボタン押し」による「目先の快感」の一つです。「脳の働き」は快感報酬を原則として働いています。
「恐怖の報酬」としてドーパミンが分泌するので、このドーパミンだけを目的にして脳を働かせるようになるのが「学校に行かない障害」「仕事に行かない障害」です。 |
「不眠症」の定義 |
お話を「不眠症」に戻します。
「不眠症」は、「恐怖」の「エピソード記憶」を想起させることだ、とお話しました。
「負の行動」もまた「精神活動」であることはよくお分りでしょう。全ての「精神活動」は「無呼吸症をともなう」と理解するのもポルソナーレのカウンセリングの理論の一つです。「無呼吸症になるのだ」ということを思い出しましょう。「不眠症とは、無呼吸状態になることだ」と言い換えてもよいのです。「無呼吸症」とは何のことでしょうか?「心臓の心拍が下がりつづける」ということです。これは「心停止の不安が感じられる」ということです。過去の「恐怖のエピソード記憶」はこの「心停止の不安」につながる「体験」が想起されるでしょう。
「叩かれた」「突然、大声で怒鳴られた」「たすけを求めていたのに、放置されて、見捨てられの絶望を感じた」「みんなは楽しそうにしているのに、自分だけは孤絶していて、とり残されているような孤独の中で別世界にいるようだった」などが「心停止の不安」が想起する「エピソード記憶」です。子どもの頃の「父親」か「母親」との関係の中にこのような「エピソード記憶」の体験があれば「自分が悪い」という、「自分を否定」して、「自分の存在を疑う」イメージが想起されます。これもまた「バッド・イメージ」です。「バッド・イメージ」は「A9神経」の快感のホルモンのドーパミンを分泌させます。この「脳の快感報酬の原則」が「不眠の状態」を継続させるのです。 |
「パニック障害」「パニック発作」の脳の働き方とはこういうものです |
このような無意識の「脳の働き方」は、「パニック障害」や「パニックが起こるのではないか?という予期不安」にも起こります。
貝谷久宣(かいやひさのぶ)は「パニック障害」と「予期不安」についてこんなふうに説明しています。 |
パニック障害となる「パニック発作」の定義
ある限定した時間内に激しい恐怖感や、不安感とともに、次の症状のうち4つ以上が突然に出現して、10分以内にピークに達する場合 |
- 心悸亢進。心臓がドキドキする。または、心拍数が増加する。
- 発汗がある。
- 身ぶるい、手足のふるえがある。
- 呼吸が速くなる。息苦しい。
- 息が詰まる。
- 胸の痛み、または不快感を感じる。
- 吐き気、腹部の嫌な感じがある。
- 「目まい」「不安定感」「頭が軽くなる」「ふらつきがある」
- 「非現実感がある」「自分が自分でない感じがする」
- 「常軌を逸してしまうのではないか?」「狂ってしまうのではないか?」と感じる。
- 「死ぬのではないか?」と恐れる。
- 知覚異常がある(シビレ感、うずき感)。
- 「寒気」「ほてり」が感じられる。
(「DSM‐IV」による「パニック発作」の診断基準より)
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治療の仕方 |
- ベンゾジアゼピン系の抗不安薬とイミプラミン(抗うつ薬)を服用させる。(一ヵ月後には、イミプラミンを一日、75ミリグラムに増やす)。
- 「行動療法」をおこなう。(臨床心理士による)。「不安段階表」をつくる。音楽を 聴きながら「脳波」のα波(アルファー波)を出させる。
- リラックスさせる。「不安」の状況のイメージを思い浮べる。リラックスしたままイメージできるようになれば、不安度の高い状況を思い浮べる。このような経過をたどると、パニックを起こす特定の場所に行くことができるようになる。
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薬物療法は「有効性」はあるが、「有用」ではない根拠 |
貝谷(かいや)が診断基準にしているアメリカの「DSM」(IV)は、「頭の中に思い浮ぶ恐怖の状況のイメージ」が「パニックなる発作」をつくり出す、というようにとらえていることが分かります。ここまでは、正当なアプローチといえるでしょう。しかし、「パニックの状況」として思い浮べられる「イメージ」は、「自覚的な意識によるイメージ」なのか、それとも「無意識によるイメージ」なのか?の区別がないことから、薬物療法が数ヵ月にわたっておこなわれています。 薬物療法は、原則的に「大脳辺縁系」に作用します。A6神経やA9神経の伝達物質に作用して、「線状体」や「淡蒼球」「中隔核」などへの刺激を少なくする、というように作用します。そこで、次のステップとして「行動療法」がおこなわれます。リラックスした状態で「不安のイメージを思い浮べる」という方法です。この方法は効果があると貝谷(かいや)はのべています。 ポルソナーレのイメージ療法の観点から観察すると、「不安な状況」にたいして「リラックスした気分」で関わりをもつことができる、という効果になっています。
しかし、「効果はあるが、有用か?」という問いかけが成り立ちます。「有用か?」というのは「症状は消えるが、再び同じ症状があらわれないか?」ということへの保証のことです。「パニックなる発作」が起こる「原因」が明らかにされなければ、原因が残っているかぎり、また「パニック発作」がくりかえされると考えるのは合理的な問題のとらえ方というものです。
「パニック発作」とは、何のことでしょうか。
分かりやすくするために「イメージ療法」のプログラムを立てて「パニック障害」の脳の働き方をお話します。
「パニック障害」は、「電車の中」「運転中の自動車の中」「広場」「狭い所」などで発作を起こしています。
これらの「空間」が「記号としての言葉」に相当しています。このような「記号としての言葉」の中で「自分を批難している」かのような了解を触覚の認知としてイメージしていることが分かります。そこで「イメージ療法」のプログラムは次のように設定されます。 |
「ポルソナーレ式イメージ療法」による「パニック発作」の治し方 |
- 「パニックになっている状況と、パニックを起こしている自分」を思い浮べる。
- この画面の自分を思い浮べて、発作の不快感を実感しておく。
- この画面に枠(わく)をつけて、枠の中を「白黒」にする。
- この画面はそのままにして、次に、画面の「右下」に「言葉の意味」をよく分かって「行動」して成功したという「体験」と、この時の自分を思い浮べる。
- 「画面」は、「始まり」から「終わり」までの「行動」の過程を順序よくたどった「体験の画面」にする。
カラーにして明るく輝かせる。
- 次に、画面の中央に「3の画面」を思い浮べる。
- 「3の画面」を「左上」に遠ざけて小さくし、「5の画面」を一気に大きく拡大して「3の画面」を包みこみ、見えなくする。
- 次に、「画面の左の下」の「音源」に、パニックを起こす「空間」(電車、車の中、広場など)の「言葉」を大きくする。そしてこの「言葉」を小さくする。
- さらに、「左下の音源」から「自分が安心する人の声」でゆっくり、「8の画面の言葉」を大きくして頭の中に響きわたらせる。この時、腹式呼吸(鼻から先に息を吸い、口から息を吐く)をおこなう。
- 「パニック発作」をおこす脳の働きのトラブルへの「イメージ療法」はこれで終了。チェックテストをおこなう。「2の画面」を思い浮べる。パニック発作の不快感を感じるか、どうか?をチェックする。感じなければ、「パニック発作」は解消したことになる。
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「イメージ療法」から分かる「脳の働き方」 |
この「パニック発作」を治す「イメージ療法」をとおしてお分りになることは、「言葉」と「行動」は深く、密接な関係にあるということでしょう。
「パニック発作」を起こす人は、「パニック発作を起こす言葉の憶え方をしている」ということです。誰もが、必ずしも「パニック発作」を起こすわけではありません。「パニック発作を起こす人」の「脳の働き方」が正しく分からないところでは、あたかも、「アレルゲンによってアレルギーが起こる」かのように、「外的な要因」に原因があるかのように認知されることになります。そういう認知の仕方で「治療」がおこなわれている典型が「貝谷久宣(かいやひさのぶ)」による薬物療法と行動療法です。投与されている「クロミプラミン」や「ブスピロン」「SSRI」(プロザック)などは大脳辺縁系で「セロトニン」の分泌と伝達をスムースにするために用いられていることは、よくご存知のとおりです。
しかし、「言語」は、A6神経の分泌する「ノルアドレナリン」によって活性化されて脳神経(ニューロン)に伝達されます。「セロトニン」ではありません。
「パニック障害」は、「左脳」で働かせられている「言語」が「記号」としてマル暗記されていることが原因です。「他者から語りかけられた時の言葉」もまた「記号として了解する」というように、徹底して「記号としての言葉」だけで生きています。すると、いつでもどこでも「行動停止」を強いられることはよくお分りのことと思います。「行動停止」が「不安」と「恐怖」のイメージの表象を引き起こします。「大脳辺縁系」の中の中枢神経の「中隔核」や「側坐核」を「A6神経のノルアドレナリン」が刺激すると、「身体症状もつくり出す」のです。
お伝えしている「パニック発作を解消するイメージ療法」は、このような「脳の働き方」のメカニズムを正しく分かることで、考案されたプログラムです。 |
「パニック発作」を起こす人は、「言葉」を記号としてしか憶えていない |
「パニック発作」を起こす人は「言葉」というものを初めから終わりまで「記号」としてマル暗記しています。「右脳」の「ウェルニッケ言語野」の「触覚の認知」にむすびつけてコピー機で複写して印刷するように暗記していることが特徴です。マル暗記は、受験の回答のための憶え方としては有効ですが、「社会の中」では、「有用」ではありません。憶えている「言葉」が「楽しさ」や「自分だけへの利益」をもたらすところでは「有効」です。「有効性はあっても、有用ではない」ということの証明が「パニック発作」です。「パニック発作」を抱えたまま仕事をしたり、恋愛をしたり、結婚すると「パニック障害」になるのです。 |
「記号としての言葉」を憶えるとは「触覚の認知」のことである |
「記号としての言葉」とは何のことでしょうか。「触覚の認知」によって言葉を記憶することです。
これは、「対象と自分とを血縁関係のように同化させること」です。
このことは、「他者」が自分に話しかける言葉も「記号として聞く」ということを意味します。
「自分と血縁関係のように一体化を求めているか?どうか」「自分に、何々をせよ!!というように行動の号令をかけているか?」のどちらかとして了解するのが「記号としての言葉」を憶えている人の「脳の働き方」です。
他者が自分に話しかける「言葉」は、「自分に一体化を求めているのではない」と感じれば、「自分は非難されているのではないか?」と、自分が否定されているかのような「イメージ」を「右脳」に表象します。大脳辺縁系の扁桃核が「嫌いだ」「こいつは嫌な奴だ」と価値判断するでしょう。あるいは、「それは違いますよ、正しくはこうですよ」と説明する言葉にたいしては、「あなたとは仲良くはできない。大勢の人があなたの欠陥を注目して、あなたを受け容れることを拒否しているのだよ」と「自分」とむすびつける了解をおこなうでしょう。
これは、「関係はあっても、関係性は無い」という状態です。やはり「行動停止」にあたります。「オペラント条件づけ」により「負の行動のイメージ」が「右脳」に表象されます。「A6神経」の「左脳」での働きが「半行動停止」となり、「大脳辺縁系」にノルアドレナリンの猛毒のホルモンを分泌させます。 |
「記号としての言葉」しか憶えない人は、家の外では「他者」を「敵」か「味方」かの色メガネで見ている |
このメカニズムは「不眠症」の人の場合と同じです。「パニック発作」の人の場合は、大脳辺縁系への「A6神経」によるノルアドレナリンの分泌が「家の外」でも起こるし、「家の中」でも起こるのです。
「線状体」が刺激されて「不安」のイメージが「右脳」に表象します。
耳にして聞いた言葉も「自分は否定されている」という「不安」の意味を感じて、「線状体」も「不安」のイメージを表象する、という二つの「不安」のイメージが思い浮びます。「認知的不協和」の法則により、「より不安度の強いイメージ」が思い浮びます。この「不安」は、「エピソード記憶」を想起させます。「扁桃核」が「こいつは敵だ」という「恐怖」のイメージを想起させるでしょう。「こいつは敵だ」という「エピソード記憶」とはどういうものでしょうか?「自分はバカにされた」「自分は陥れられた」「自分は踏みにじられた」という体験でしょう。これは「怒りの体験」というものです。「母親にものをねだったけれども、無視された」「人からイジメられたけど、母親は、何の慰めも言わなかった」などの「体験」です。この「怒りのイメージ」は、「息が詰まりそうだ、心臓が止まりそうだ」という危機意識をともないます。「今すぐ、楽になりたい、今すぐ安心を得たい」という衝動(生の感情)をつくり出すでしょう。そこで、「怒鳴る」「わめく」「叫ぶ」というヒステリー症状をあらわします。「パニック発作」をもつ人は、衝動的に、他者を攻撃する、という「恐怖」の体験を「エピソード記憶」として想起する人のことです。 |
「予期不安」は、目の前に「怒鳴り散らす人がいない」時に「自分に自滅のイメージ」をつくる快感報酬のことです |
では、なぜ、「電車の中」や「自動車の運転中」「広場」などでパニック発作を起こすのでしょうか?「他者が自分をじっと見ているのではないか?」「他者と一緒の空間で、自分が“右手の位置”に立って支配する人がいない」という擬似子ども意識が、自分の現在の「行動」を「自分は今、不快だ」「自分だけが今、損をしている」という「半行動停止」をつくり出すからです。「負の行動のイメージ」も「オペラント条件づけ」によって右脳に表象させます。
これもまた、「記号としての言葉」で「行動」していることの病的な脳の働き方です。
では、なぜ、貝谷久宣のいうような「発作」が出るのでしょうか?
もし、目の前に「支配する人」がいれば「叫ぶ」「怒鳴りつける」などでバッド・イメージをつくり、相手が脅えたりキズつくと「A9神経」がドーパミンを分泌させるでしょう。快感で幸福感を得られます。しかし、「広場」や「電車の中」「タクシーの中」では「支配する人」がいないので脅えます。そこで、バッド・イメージは「自分が壊れている」というイメージと自律神経の症状をつくって、「パニック」を起こして、「A9神経」にドーパミンを分泌させて、快感とともに幸福感を享受しているのです。
「予期不安」とは、このような「バッド・イメージづくり」を「広場」や「電車の中」ではなくて、「家の中」(一人の場面。子ども意識のままで、倒錯した“親意識”になれない状況のこと)で起こることでしかありません。 |