■このような「日本語」の文法の原型像を正しく理解することは、日本語のもつ徹底して「外の対象」を無為に化し、やがて破壊にまで行きつくというメカニズムを乗りこえるという日本語の表現の仕方になるでしょう。
その日本語による表現のモデルとは、次のようなものです。
■後藤式「文章の技術」
(わかりやすい文が書ける明快ルール。PHP研究所・刊より)
◎「ひとつの文の中に連体修飾語と連用修飾語がある場合、その並べ方に注意する」
◎悪い例
①昨日の見事に対策が成功した。
②B社は新たな先月戦略を発表した。
◎良い例
①
a.昨日の対策が見事に成功した。
b.見事に昨日の対策が成功した。
②
a.B社は先月新たな戦略を発表した。
b.B社は新たな戦略を先月発表した。
c.先月B社は新たな戦略を発表した。
d.先月新たな戦略をB社は発表した。
e.新たな戦略を先月B社は発表した。
f.新たな戦略をB社は先月発表した。
◎後藤禎典の説明
- 「名詞」=体言。「動詞」=用言。
- 体言を含んだ文節を修飾する修飾語を「連体修飾語」という。用言を含んだ文節を修飾している修飾語を「連用修飾語」という。
- 用言には、動詞の他に「形容詞」「形容動詞」が含まれる。
- ひとつの文の中に「連体修飾語」と「連用修飾語」の両方がある場合は、「説明を加える相手の語よりも前に置く」という原則にもとづいて並べる。
- 「連用修飾語」は、「連体修飾語」とその「被修飾語」との間に割り込むことができない。
- 同じ修飾語であっても、「連用修飾語」は文の中でその位置は比較的自由であるのに対して「連体修飾語」はその被修飾語との一体感が強く、その位置にかなりの制限がある。
■日本語によって「精神分裂病」を生成する「不適合」を生むのは、まさにその「日本語」そのものです。
後藤禎典の示す文例を、「新生児」「乳児」「乳・幼児」の「脳の働き方」の「言葉の生成のメカニズム」を基準に立てて判断すると、次のとおりの「モデル文」になります。
①の文例
「昨日の対策は見事に成功した」。
②の文例
c.「先月B社は新たな戦略を 発表した」。
「Y経路」の認知と認識は、「全体とは何か?」「全体の中の部分とは何か?」のメタ言語を表象します。そこで「この文章を読む人は誰か?(距離のある対象との敬語、ていねい語、謙譲語の基準を示す)」を想定することが必要です。さらに、①と②の文章は、「どういう状況で成立するのか?」の前提が、文章のモチーフをつくる語句(概念)の選択の基準になるのです。
(「文脈の意味の成り立たせ方」「否定語句を肯定句に変えるケース、変えないケースを判断する」)。
さらに、「いつ」「誰が」「どのような目的で読ませるために書くのか?」の条件によって、「名詞」(具体的な事物の名称)「名詞句」(形式形容詞)(「AはBである」の抽象的な形容表現のことです)が選択されます。
一つの文ないし文章の背景では、概念はおよそ「7分の6」が未表現(メタ言語)のままになっています。その「7分の6」を示すのが「抽象名詞」もしくは「名詞句」です。(「…のこと」「…となる」で定義される名詞的な表現です)。これは、文例に書かれた「文」を、「話し言葉」で話す、という状況を想定してみるとよく分かります。
- 1人の人に話す。
- 2人の人に話す。
- 5人の人に話す。
- 20人の人に話す。
- 100人の人に話す。
- 1000人の人に話す。
このような状況を想定して「自分の口で、自分の話し言葉として7分の6の言葉を含めて話す」ということが成立する時に、その時の文章は「書くべきモチーフ」を正当に成り立たせている、といえるのです。この時に「聞き手」による「評価」は約30%の評価を得る、という程度の「内容」の表現が望ましいといえるでしょう。 |