すると、こういう精神活動にともなう「過緊張状態」を、一般的にどのように乗り越えていくのでしょうか。
「左脳」に対応する「右脳」にドーパミンを分泌させるのです。
小学生の子どもならば、「ねえ、お母さん、この国語の教科書のこの文章の、この言葉の意味ってどういうことなの?」と質問することで、「前頭葉眼窩(か)面」からドーパミンが分泌するのです。このとき、小学生の子どもが質問することは、「左脳のブローカー言語野のX経路(3分の1のゾーン)」で認知され、そして認識された「概念」です。このような理解の仕方が非常に大切なことです。ここで小学生の子どもは、もういちど「Y経路の対象」として知的な対象に再設定しています。ここで「母親」の態度はどういうものが望ましいのでしょうか。ご一緒にモデルを考えてみましょう。
■Aパターン
「あなたは、どう思うのかな?とてもいい質問だと思うよ。思ったとおりでいいのだから、どう思うのか言ってごらん」。
■Bパターン
「あっ、とってもいい質問ね。よくがんばれているね。それはね、これこれ、こういうことなのよ」(正しい内容をきちんと説明する)
■Cパターン
「わかりました。教えます。でもこれからこういう分からないことが起こるとき、お母さんがいるとは限らないね。そこで、分かり方、調べ方を教えます」(一緒に大型辞典なり、参考書なり、国語辞典なりで調べて、小学生の子どもに納得のいく正しい理解を得る)。
正解は、Aは100点、Bは60点、Cは30点です。こういう局面では、左脳のブローカー言語野・Y経路のゾーンに対応する「右脳のブローカー言語野・Y経路」に『意味のイメージ』を喚起させて、前頭葉(右脳・Y経路対応のゾーン)にドーパミンを分泌させることが最も望ましいのです。
Aパターンは、子ども自身に、概念とその意味のイメージを自覚して喚起させようとしています。ここでは、無呼吸状態に抵抗して、さらに水準を上げる努力がおこなわれています。
「自分でも考えてみる。そして表現してみる」というのは、これが「分裂病」の直接の原因の「知覚神経」の「弛緩・しかん」を防ぐのです。Aパターンは、小学生の子どもの「自分でも努力して考えたこと」の内容を聞いて、その「考え」のイメージを発達させる方法です。子どもが、自分の口で「説明」した時点で、ドーパミンは分泌します。
そして、その「説明」を肯定的に評価した時に、「ドーパミンの分泌のさせ方」が自得(じとく)されます。この「自得されたドーパミン分泌の仕方」が、「知的実力」というものです。
ここでは、「母親」という「公平な第三者」の代表が、客観的な位置から「評価の言葉を話し言葉でのべる」ということが大切なことです。人間は、自分の「考え」が、客観的な位置に立つ「第三者」から評価されると、それがその人の知的実力として確定します。
Cパターンにはそれがないので、これから成長していく道のりをたどる人間には、意義が高いとはいえないのです。Bパターンは、「分裂病」の原因の「知覚神経の過緊張」を動機とした「弛緩・しかん」への「移行」はありません。しかし、「移行がない」というだけの意義しかありません。独力で「精神活動にともなう心拍の低下という無呼吸状態という緊張」に抵抗力をつけて、葛藤の水準を上げるという成長の仕方はありません。つねに「弛緩・しかん」の中の「連想によるドーパミン分泌」と隣り合わせの状態にいるといえるのです。 |