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ポルソナーレ式イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第237号
11期21回め平成21年12月12日
脳の働き方と言語の学習回路/浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
「年金激震!」・2(週刊東洋経済)
 「言語にとって美とはなにか」2(吉本隆明)

エクササイズ:
行動停止を変える日本語の文法の学習モデル

はじめに

 ゼミ・イメージ切り替え法、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、№47のゼミをお届けします。
 平成21年12月8日付けの日本経済新聞はILO(国際労働機関)の「2009年版世界労働報告」の発表を報道しています。「世界の失業者は2億4100万人だ」という発表です。さらに「世界の主要国が景気刺激策を早期に打ち切ると、2012年にかけて長期失業者が4300万人増える」と予測しています。日本も含めて世界のこの状況は、「投資」というものの認識が「人間の教育」に向かわずに、「マネー」という「期待価値」に向かってバイアスに偏向したことが本質的な原因です。今、必要なのは「未来に向かうための変革」です。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 変革と教育への投資」が日本人を立ち直らせる
  2. 公共事業が削減される
  3. 日本人は、今、何をすべきか
  4. 仕事、教育に投資すべきである
  5. 日本人は、何が変わらなかったのか
  6. 『言語にとって美とはなにか』の読み方
  7. 「認識のバイアス」の是正の仕方
  8. エクササイズ・日本語の文法のしくみを分かることが、バイアスの改善になる
  9. 「年金問題」パートII
  10. 人材育成(教育)への投資の根拠とはこういうものです
脳の働き方のメカニズム・おとなと子どもの脳の発達のさせ方
「年金激震!」・2 (週刊東洋経済、2009・10・31号よりリライト・再構成)
「言語にとって美とはなにか」2 (吉本隆明、勁草書房・刊より、リライト・再構成)
「変革と教育への投資」が日本人を立ち直らせる

 『週刊ダイヤモンド』(2009・12・12号)で、野口悠紀雄(早稲田大学大学院・ファイナンス研究科教授)が現在の日本の危機的な状態と対策について書いています。

 要旨となるところをとりだしてご紹介いたします。

① 今の日本経済はお先真っ暗としかいいようがない。
ピーク時の8割に落ち込んだ経済(生産)、過剰な生産設備、就職難、企業利益の激減、税収の減少、国債の大量発行、失業、などの改善の見通しがないことだ。

② 今の日本経済は、病人にたとえるとモルヒネでなんとか体を動かしてほそぼそと食費を稼いで命をつないでいる明日をもしれない病人と同じだ。
「モルヒネ」とは、自動車や家電の購入支援などのことだ。モルヒネが終わった時にどうなるか?需要の先取りが終わるから、日本国内の市場は、荒涼たる風景が出現するだろう。

公共事業が削減される

◎編集部特集

?平成21年10月。都内の会員限定の講演会。
前原誠司・国土交通相の発言。
「全国に50万社ある建設会社のうち、ある一定レベル以上の会社は生き残ることができると考えている。その数は半分くらいだろう」
「ゼネコンは海外に出て仕事をしてほしい。一定レベル以下の中小も、住宅建設くらいはできるだろうから大丈夫でしょう」
「公共事業投資額を14%減らしている。一年で一挙に減らすのではなく、毎年、徐々に減らしていく」

?削減額は9,840億円。
民主党がマニフェストで掲げる公共事業の削減額が4年間で1兆3000億円だから初年度でほぼ達成する勢いだ。
「前原ショック」ともいえる公共事業削減の嵐。その影響度合を測りかねるなか、業界は、自分たちの将来を具体的に突きつけられて震え上がった。

?来年度予算で公共事業費14%削減というとてつもない事態に、地方のゼネコンは悲鳴すら上がらない。
毎年3%の公共事業の削減を打ち出した「小泉構造改革」から7年。この間、建設業雇用者は約58万人、建設業登録業者は約6万社減少した。じりじりと崖っ縁に追い込まれてきた。今回の衝撃はその比ではない。
「小泉さんのときも辛かったけど、計画的に人員減をすれば、なんとか対処できた。だが、正直、1年で14%減らされたらもうどうしたらいいかまったく分からない。なんとかあと数年間は踏ん張るつもりだったけど」(東北地方のあるゼネコンの社長の話)

?「コンクリートから人へ」。民主党のキャッチコピーは多くの国民の心をとらえた。
だが、現実の政権運営はどうか。
建設従事者は370万人。
その家族を含めれば何倍にも上る人間の生活をどうソフトランディングさせるのか。
「今やるべきことは、現行の公共事業に代わる市場をつくり、新たな需要を創出することだ。民主党はその道筋を示さない。単に削減ばかりを言っている。政権与党として無責任だ」(大阪大学・小野善康教授)

日本人は、今、何をすべきか

◎ 野口悠紀雄の話のつづき。

③ 「お先真っ暗」というのは、「これまでの経済構造を維持すれば」と限定した場合のことだ。経済構造を変えれば、話はまったく別のものになる。
条件が変わった時に、経済構造を変える必要があるのは当然のことだ。
2008・9のリーマン・ブラザーズの破綻から世界が変わった。世界が変わったのに、同じことを続けていて経済が活性化するはずがない。

④ 第二次大戦後、多くの新しいものが日本に生まれた。しかし、年がたつにつれて日本社会は固定化した。ベルリンの壁が崩壊してから20年が経つ。この間に世界は大きく変化した。しかし、日本は変わらなかった。日本人は新しいものを生み出さず、過去にしがみついた。そのために衰退した。

⑤ 民主党・政府は、デフレ宣言を出した。デフレとは、商品の価格が下がることだ。
下がったのは「エネルギー関連」(原油の価格の下落に起因する)、「耐久消費財」(とくにパソコン、テレビ)、「サービス価格」(平成21年12月時点で、宿泊、娯楽、理美容、牛丼、ルームエアコン取付料、洗濯代、外国パック旅行、英会話の料金、ゴルフプレー料金、ビデオソフトレンタル料、エステティック料金などのデフレ銘柄など過当競争のサービス価格)。6ヵ月連続で前年同月比マイナス。サービス価格がマイナスなのは、主要先進国では日本だけだ。

⑥ パソコンの価格は半分になった。
これは「クラウドコンピューティング」の普及によってコンピュータの使い方が変わったためだ。従来のように高性能のマシンを手元に置いておく必要がなくなったからだ。
IBMは、ノートパソコンの生産を中国のメーカー(レノボ)に売却して「ソフト中心のビジネスモデル」をさらに推し進めて、高い収益率を持続している。
しかし、日立製作所は、IBMからハードディスク事業を買った。そして低収益に悩んでいる。

仕事、教育に投資すべきである

⑦ このような状況は「新しいことを始めるのに絶好のチャンス」ということを意味する。理由は、次の二つだ。
理由の1……大企業の力が弱くなってきた。新しいことを始めるにしても、大企業の存在がハードルになっていた。大企業とその系列会社で独占していたからだ。
理由の2……価格体系が変化した。コンピュータ利用の価格が低下している。人手でおこなっていた業務をクラウドコンピューティングを含めて、コンピュータにおきかえて省力化を進め、収益を高めることができる。これまで不可能だったことをすることもできる。

⑧ この二つの条件は、小企業、または個人による起業の条件が整ったことを意味する。
ただし、起業すれば失敗することもある。新しいものへの挑戦は、つねにリスクを伴う。
なお、起業しないことが安全であるわけでは決してない。
現在の日本では、昨日までのことを継続するのがすでに最大のリスクになっている。

⑨ 「リスク」ということでいうと日本人の頭にしみこんでいるのは「貯蓄から投資へ」ということだ。株式や投資信託に投資すべし、というものだ。これが今の日本ではいかに無責任なアドバイスであるかはあらためていうまでもないだろう。
重要なのは、「金融投資」でリスクを取ることではなくて「事業」と「人材育成」に投資して未来につながるリスクを取ることだ。

⑩ 新しい専門分野に挑戦できる年齢であれば、この就職難がつづく時代では自分で事業を起こせばいいのだ。そうしないで、なぜ、人に頼ろうとするのか。
他力本願の依存からの脱却こそが重要である。

⑪ 新しい経済活動を展開するには「ファイナンス」の知識も必要だし、グローバルに活躍する能力も必要だ。これは、今までの日本の教育のシステムでは教えてこなかった知的実力づくりだ。
日本の政治による政策面における人的資本の軽視ははなはだしい。民主党政権になっても、全く同じだ。

日本人は、何が変わらなかったのか

■野口悠紀雄がのべているのは、日本を含む世界の経済社会は、「パラダイムのシフト」が変更した、ということです。「パラダイム」とは、多くの人々が行動したり、社会性のあるものごとを考える場合の「前提」となる枠組みのことです。20年くらい前のパラダイムとは何だったのでしょうか。

 「第二次大戦後、日本には多くの新しいものが生まれた。
 しかし、年がたつにつれて新しいものが生まれなくなった。
 そして日本社会は固定化してしまった。ベルリンの壁が崩壊してから20年がたつ。
 しかし日本は変わらなかった。過去にしがみついたために衰退したのだ」(野口悠紀雄)

 ここでいわれているのは「東西対立」「南北格差」「商品価値の二極化と解体」ということです。「東西対立」という軍事費に象徴される「投機的な価値」が解体して、「マネー余り」が顕在化しました。投資の対象が見当らなくなり、「空気」や「水」に代表される「付加価値」に投資の対象が見出されるという「消費社会」が新しい「パラダイム」になったのです。この「消費社会」を究極まで「投資の対象」にしたというのがアメリカのプラグマティズムがつくり出した「金融工学による金融派生商品」です。

 日本は、アメリカがつくった「金融派生商品による市場」に送り込む輸出商品はつくったけれども、しかし、それが「単なる期待価値を根拠とするマネーの世界」であることは「認識」しなかった、ということを野口悠紀雄はのべていることになります。「期待価値」とは、見方を変えれば「借入金」のことです。「債務」と同義です。「実体経済」によって担保し、相殺しなければなりません。「日本社会は固定化した」「新しいものが生まれなかった」というのは、「期待価値というバブルには依存したけれども、実体的な価値をもつものは何か?と考えることはしなかった」という意味です。それはなぜか?と問いかけているのが本ゼミのモティーフです。

『言語にとって美とはなにか』の読み方

 『言語にとって美とはなにか』(吉本隆明・勁草書房)が昭和40年に刊行されました。この書物で書かれている核心となるところは、次の個所です。要旨をご紹介します。

① 原初の人間は、食糧を手に入れたり、手に入れることを協同でおこなう中で、身体の器官や生理的な機能を発達させた。

② だが、人間は、もうひとつ人間的な意識も発達させた。それは「自己表出性」の発達というものだ。
この「自己表出性」の発達は、「自己」を「対象化」するという能力の発達である。

③ それは、どのように発達したのか?というと、「自己表出性」という人間的な意識は、現実的な対象にたいして反射が無いのに、「自発的な有節音声」を発するようになる、というものだ。この有節音声の発声は「対象の像」を指示するという言語の「概念としての形式」を完成させるものだ。なぜかというと、この「概念としての像」は、現実的な対象との一義的な関係をもたなくなったからだ。

■ここでいわれていることは、人間には「観念」というものが生成されたということです。人は、「あなたの顔はどれですか?」と問われると、自分の顔を指でさし示すことができるでしょう。

 これと同じように「あなたの観念は、どれですか?」と問われたときに指でさし示すように「これです」と説明できるものとして具体的に特定化してみせた、というのが、ここでいわれていることです。このように、「言葉」「言語」の領域で、人間の「観念」の生成とその存在性を明確に定義してみせたのは、知見の範囲では『言語にとって美とはなにか』が初めてのものです。

 「自己表出性」とは、人間の五官覚の「聴覚」「視覚」「触覚」の知覚による経験と、そして、その記憶が「右脳系の前頭葉」に「イメージ」として表象されることをいいます。人間は、「記憶」ということをおこないます。「記憶」とは何でしょうか。たとえば、シャツやズボン、ハンカチに「アイロン」をかけたときに、布に、形状が残るというのが「記憶」です。

 普通の家庭で使う「アイロン」は、一日もたつと「形状」が薄くなります。これが「短期記憶」です。

 すでに布地に特殊加工が施してあって、「アイロン」で押したような「形状」がいつまでも消えない、というのが「長期記憶」です。「自己表出性」とは、この「長期記憶としてのイメージ」が恒常的に思い浮びつづけるということをいうのです。これは自律神経の働きが可能にします。A10神経が恒常的に表象させつづけます。このように「恒常的に思い浮ぶイメージ」が「自己」になるのです。

 「自己」の「自」は、「他者」と「自分」とを区別するというときの「自分」のことです。「己」とは、「おのれー!!そこを動くな!!」「おのれらは、自らのやっている所業の意味が分かっているのか!!」と使われるように、「生の感情」や「生の欲求」をダイレクトに、行動に現(あらわ)したというときの「内的な自分」のことです。「自己を対象的にする」ということは、「内的な自分」とイコールであるのが「長期記憶のイメージである」ということになります。この「イメージ」は、なぜ、「内的な自分」なのでしょうか。たとえば、「あなたの心臓はどこにありますか?」と問われたとしましょう。心臓を出して見せて、「ほら、これです」というようには説明できません。自分の胸に手を当てて、「ここでトクトクと脈打っているものが心臓です」と説明するでしょう。

 「トクトクと脈打って実感できるもの」というように、感覚的な知覚を指して、これが「自分」の「心臓だ」と説明します。「長期的に表象されているイメージ」も感覚的な知覚を指して特定されます。具体的にいうと、「失恋したから悲しいのよ」とグチを言うときには、失恋して悲哀に沈んでいる自己像のイメージのことを語るでしょう。このときは、胸が痛いとか、涙が出そうだとか、孤立の脱力感で体に力が入らない、水を飲みたいときに似た「のどのかわき」を和らげたいという欲求が実感されるでしょう。この身体に知覚される実感が「自己」です。このような自分のイメージが消えないかぎり「じっと心の目で見つづける」ので「自己を対象化する」というのです。

 このイメージは、右脳系の前頭葉に表象されます。この段階では「メタ言語」のイメージです。「有節音声」が発せられて、そのイメージが「カテゴリー」として特定化されると「概念としての像」として確定します。これは、お分りのとおり、「有節音声」の「a,i,u,o」の4つの母音(ぼいん)のどれかで確定されたというのが「原日本語」の成立の仕方です。

 欧米語の場合は、「p,b,t,d」のような「子音」で、「Y経路」のパターン認知の対象を認識します。これによって、いくつもの「概念の像」が無数に確定されました。日本語(和語)は「a,i,u,o」の4つのX経路の母音が中心になって「概念の像」が確定されました。この日本語と欧米語の「概念の像」の量の差と違いは、「認識する」という知的能力の差と違いを意味しています。

 この「認識する」という知的能力の学習や教育、そして日々の訓練をおこなってこなかった、ということを野口悠紀雄は語っていることになるのです。

「認識のバイアス」の是正の仕方

 野口悠紀雄のいう「ピーク時の8割に落ち込んだ日本経済、日本の企業が抱えている過剰な生産設備、長期失業、就職難、企業利益の激減、国の税収減少と国債の大量発行など、日本経済はお先真っ暗としか言いようがない」ということの契機は、『言語にとって美とはなにか』の説明する「左脳系の前頭葉」に表現されて思い浮ぶ「概念の記号像」(言語)を正しく認識するということができなかったことにあります。また、これが「認識のバイアス」の本格化の始まりでもありました。
  日本人の「認識のバイアス」の具体例は次のようなものです。

◎日本語の「動詞」が、人間関係をあらわす文例
(『日本語』金田一春彦(下巻)、岩波新書)

?あげる(上げる)「私があなたにあげる」
「私があの人にあげる」
「あの人があの人にあげる」
?くれる
「あの人が私にくれる」
「あなたが私にくれる」

◎「動詞」が敬語に用いられる文例

?「教えろ」(相手に頼む。命令する。敬意は表現されていない)
?「教えてくれ」「教えてくれないか」「教えてください」の順で、敬意の表現の度合がつよくなる。
?「教えて下さいませんか」「教えて下さいませ」「教えていただけないでしょうか」「お教えいただけたらありがたいのですが」の順で、さらに上位の段階の敬意表現になる。

◎動作をする人(相手の動作)に用いる動詞の表現例

?「…をする」→「…をなさる」「…をあそばす」
?「行く」「居る」→「いらっしゃる」「おいでになる」
?「言う」→「おっしゃる」「仰せになる」
?「見る」→「ご覧になる」
?「着る」「食べる」「呼ぶ」「求める」→「お召しになる」
?「くれる」→「下さる」

◎謙譲表現としては使われない例……「立つ」「座る」「寝る」「起きる」「歩く」「駆ける」「見る」「聞く」「会う」「慕う」など。

?「お立ちする」
?「おすわりする」
?「おやすみする」
?「お起きする」
などは、「行く」を「参る」、「する」を「致す」といった敬語表現(謙譲表現)に変える。

■国語学者・大野晋は、日本語の文法のもつ「認識のバイアス」について次のような主旨で解析します。

① 言葉の成り立ち方は、社会の成り立ち方と不可分にむすびついている。ヨーロッパの社会は、個人と個人は、どんなに親しくても越えがたい深い谷があると認識する。だから、この認識をふまえて、言葉に頼って人間関係をむすぶ。同意し、その上で合意する。そして共同幻想としての契約をかわす。ここでの動詞の表現は、「動作を私がしたか」「動作をあなたがしたのか」「彼がしたのか」の区別や限定が大切になる。
そして、名詞は、具体から抽象までをいちいち明確にして言い立てる。

② 日本人の社会では、「知り合っている人間どうし」が、じっと動かずに暮している。
動詞の言葉を言えば、その言い方(敬語表現)で動作をするはずの人間は、誰だかが分かった。
『源氏物語』の文章は、主語がなくて、誰が誰かが分からないというが、そんなことはない。狭い宮廷の範囲のストーリーなのだ。動作の主は誰だと言い立てなくても、動作につけた敬語の高さの度合いによって、「この人は誰か」という動作の主は判別できた。

③ このようにして、日本人は「相手に分かっていることは省略する」という文法形式がつくられて使われている。
これは、事実をすみずみまで明確にすることよりも、相手に気がねして、相手の気持ちを損ねまいとする表現を大事にするということだ。
いかにして、相手を嫌な気分にさせまいとして、嫌な思いをいだかせずにすませるか、ということに意識を向ける表現にこまかい神経をつかうということだ。

④ 英語やドイツ語では、相手がどんな「聞き方」をしても「答えの事実が肯定である」ならば「肯定表現」をする。「答えの事実が否定である」ならば「否定表現」だ。このような認識の仕方だ。
日本語(和語)の場合はどうか。
◎問い「行きましたか?」
 答え「はい。行きました」
◎問い「行きませんでしたか?」
 答え「いいえ。行きました」
相手の「聞き方」に対応した返事の仕方が人間関係への配慮になる。ここでは、事実についての認識ではなくて、相手への配慮が日本語の構文の基本になる。

⑤ この相手の「聞き方」に応じた「返事の仕方」は、そのまま「事実」の認識の仕方そのものになる。
「相手の知らないこと」「相手の知っていること」が文の要素になる。
欧米語の認識の仕方は、相手が知っていても、知らなくても『主語』とこれを叙述する『述語』が文の要素(構文)の基本になる。

エクササイズ・日本語の文法のしくみを分かることが、バイアスの改善になる

 野口悠紀雄は、現在と、これから3年間はつづくと予測されている日本の構造的なデフレ不況の中で、最も望ましい「行動の仕方」の認識を示します。

  • 今は、新しいことを始めるのに絶好のチャンスだ。
  • 理由のその1。これまでは大企業とその系列会社が仕事を独占していた。
  • 理由のその2。クラウド・コンピューティングの普及で価格体系が変化した。
    コンピュータ利用の価格が低下している。人手でおこなっていた業務をコンピュータに置き換えることで省力化が可能になる。
  • この二つの理由は、小企業、または個人による起業の条件が整ったことを意味する。

■野口悠紀雄によるこのような認識の仕方によれば、日本人は、日本語の文法の構造によって「自分」か「他者」の人間関係の方にバイアスにシフトされて「推移律」の習得を後退させています。このことは、現実のものごとを全て悲観と不安でとらえ、ここで思い浮べられるイメージが真であると認識されるということです。

 言語は、現実との一義的な関係をもたなくなった」(『言語にとって美とはなにか』)という「類概念」のまま、自分の右脳系の前頭葉に浮上させっぱなしにして、悲観や不安を「妄想化」させてきたということです。この不安や悲観のイメージの表象を「自己がとらえた概念」として、再度、対象化するという「認識」の仕方が分からずに社会現象化した不安に呑みこまれているといえましょう。

 その典型が、いわれているところの「年金問題」です。

「年金問題」パートII

 『週刊東洋経済』(2009・10・31)の特集より、要点をご紹介します。

?『年金が消える』(榊原英資・現在、民主党の経済ブレーン)、『粉飾国家』(金子勝)、『僕らの年金脱退宣言』(木村剛)…これらは、「公的年金」の破綻を指摘する書籍だ。2004年以降、相次いで出版された。
榊原英資は「積立金の不良債権比率は40%。国民年金の未払い率が4割に迫る公的年金は、財政的にすでに破綻している」と言う。
金子勝は「ひたすら保険料引き上げと給付額切り下げをくりかえしても、年金制度がもつわけがない」と言い切る。
下村剛は「公的年金は破綻するという現実を直視せよ」と、年金の未納、未加入を推奨している。
「公的年金破綻論」では民主党も重要な役割を演じた。
「国民年金制度は壊れている」(民主党・岡田克也、2005年4月の発言)
「現行の公的年金制度は間違いなく破綻して、5年以内にまた変えなければならない」(民主党・枝野幸男・2004・4月発言)

?だが、待望の「政権交代」を実現した民主党は、「公的年金制度は破綻する」という発言をトーンダウンさせた。
「それでも、将来の低年金者を生むかもしれないから問題だ」と言い始める。「年金制度問題は、4年間、先送りする」「当面、2年間は年金記録問題に集中する」(民主党)。
民主党や多くの論者は「年金給付水準が政府公約の50%(所得代替率)を割りそうだ」「しかし、未納問題で年金財政が破綻しないことは分かった」と言う。「2004年の年金改正がしっかりワークしていること」などで、安易に破綻論を口にしにくくなっている。

?2004年の「年金改訂」とは何か。骨子は次のとおりである。

  1. 年金保険料を毎年、段階的に引き上げる。17年度の「18・3%」(厚生年金、労使折半のこと)1万6900円(国民年金)をもって上限固定する。
  2. 「マクロ経済スライド」という「自動給付抑制機能」を導入し、「年金給付額」を徐々に抑制する。
  3. 「基礎年金部分」に充てる「国庫負担」(税)を「三分の一」から「二分の一」に引き上げる。

の三点だ。
「被保険者と国の負担引き上げ」「年金給付抑制」という難しい政治決着がおこなわれてきた。

?「公的年金の給付額」は「ぜいたくはできないが、それなりの生活が維持できる」という水準を満たさないかぎり、そもそもの目的を達成していない。この場合は「制度の見直し」は不可避だ。
だが「給付水準」は、「一人当り、月額いくらでなければならない」というような絶対基準もまた存在しない。
多いことにこしたことはないが、「少子高齢化」や「経済の低成長」などで、「基礎年金」に当てる「年金財政」が苦しいとなれば、給付世代は多少の譲歩をするだろうし、現役世代は、「将来の受給」に向けて「公的年金制度」を守るため、許容可能な範囲で負担増をのむだろう。
公的年金制度を維持できなくなれば、「時の政権」は選挙で負ける。政治家は、是が非でも「利害関係者間の合意」を取り付けていかなければならない。

人材育成(教育)への投資の根拠とはこういうものです

■さて、今回の「年金問題」のレクチュアはここまでです。

 今回は、「年金問題」は、「所得代替率」という制度があって、これにより「一家の働き手の死亡」や「障害の発生」などにも対応しているという基礎知識をお話しました。この「バッファー」のために、税金が投入されています。

 すると「少子高齢化」や「経済社会の低成長」は、「税の収入」に影響するということが生じます。制度そのものは「破綻することはない」が、「税の負担部分」の原資をどうするかという問題が、現在の問題であるということです。

 すると、野口悠紀雄のいうとおり「人材教育」の必要性という問題がここで現実味をおびてきます。そのためには、前提として日本語の文法のもつ「認識のバイアス」の是正によって、さまざまな妄想の改善策が不可欠であることがお分りでしょう。
  (「年金問題」の項は次回につづきます。)

ゼミ・イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第237号 一部掲載

関連
日本語の文法の解体学・III 『言語にとって美とはなにか』2


連載
前回:「年金激震!」・1 「言語にとって美とはなにか」
次回:『日本語の年輪』(大野晋) 『負けない技術』(桜井章一)

参考:脳の働き方の学習のご案内

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