男性と女性の人間関係は、「性の関係が成立する」と永続すると考えられています |
前回の本ゼミでは、ロルフ・デーゲンの『オルガスムスのウソ』(文春文庫)の中から、男性がつくり出した性についてのイメージが「多元的無知」を生み出している、というエピソードをご紹介いたしました。女性は、男性の性的な欲望のペプチドホルモンGnRHが生み出した小説、映画、テレビドラマなどに出てくる「女性」が、自分にとってのモデルになる、と固く信じて疑っていない、というのが「多元的無知」です。これは、女性と男性の「性の脳の働き方」のメカニズムが全く異なる、ということを世界中の誰もが正しく理解できていないことに由来する「多元的無知」でした。すると、この「多元的無知」は、男性と女性の人間関係の中にも侵入してきます。「性の関係をとりきめることが男と女の人間関係の成立である」とか「性の関係が稀薄だからお互いの関係はうまくいっていない」というものが「多元的無知」です。
このような「男と女の人間関係」を規定すると考えられている「性」は、一体、どのようなトラブルを生み出すものか?について、ロルフ・デーゲンは『オルガスムスのウソ』の中で、次のようにリポートしています。
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男性よりも女性が「性機能障害」を自覚している |
シカゴ大学の社会学者エドワード・O・ローマンは「国民健康・社会生活調査」を分析して、その結果を、1992年2月に医学専門誌『ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』に発表した。この分析結果によって「一体、どれだけの人が性のトラブルを抱えているか」が初めて明らかになった。
質問の中に、「過去1年間に少なくとも2ヵ月間、7つの性機能障害のうち、1つでもあてはまるものがありましたか?」というものがある。「はい」と答えた人が性機能障害のカテゴリーに分類された。その結果は次のようなものである。
A・成人女性の43%
成人男性の31%
B・女性の性機能障害の内容…「性欲の欠如」(22%)、「性的興奮の阻害」(21%)
男性の性機能障害の内容…「早漏」(21%)、「勃起障害」(5%)
「このローマンの研究結果はあまりにも誇張されすぎている。多くの女性が不満や性欲減退を感じているのは事実だと思うが、だからといって彼女たちが病気ということにはならない」
(精神医学教授サンドラ・レイブラム)。
「機能障害という用語のこのような使い方は誤解を招く。ストレスや疲労、パートナーの威嚇的な行動パターンが原因で女性の性的な欲求が減退することはよくあることだ。これは、健康的で、完全に機能的な反応といえる」(インディアナ大学キンゼー研究所・所長ジョン・バンクロフト)。
エドワード・O・ローマンの反論。
「この数字でも、おそらくはまだ真実よりも低めに出ているといえるのだ。自分はインポテンツだと躍起になって言う人はいない。 |
性の関係は「女性」が完成させます |
ロルフ・デーゲンのリポートから、男性と女性の双方に「性的な障害」がかかえられているという調査結果をご紹介しました。調査結果の内容は、性の関係としてお互いに同意し合った男性と女性が「性の欲求を感じない」か「性的な快感を感じない」かのいずれかのために、性的な関係をもちえない、という事実がある、というものです。
その割合は、男性よりも女性の方が高く、50%近くから80%くらいになると推測されています。
これは何を意味するのでしょうか。
前回の本ゼミで解明してお話したとおり、性は、脳の働きの一つです。脳の働きの最大の特質は何であったでしょうか。
それは「行動すること」です。
脳の働き方から見た「行動」には三つの種類があります。一つは、トカゲやワニなど爬虫類の動物の行動です。これは、ただDNAの指示にしたがって子孫を残すためにだけ行動します。行動は、食べることと生殖が中心です。
二つめは、「下等哺乳類」の行動です。大脳辺縁系の視床下部と扁桃核を中心に行動します。「触覚の認知」の距離のない了解だけを表象(ひょうしょう)する「聴覚」と「視覚」の交信をおこなって一緒に行動する、ということをおこないます。交信がつづく間は、親子とかパートナー、同族として共に行動するという「行動パターン」です。 |
人間の「性」の脳の働き方のソフトウェアのメカニズムとはこういうものです |
三つ目が「人間の行動」です。
「人間の行動」には「言葉」がともないます。人間の脳は、「下等哺乳類」の脳の「大脳辺縁系」の上に「左脳」と「右脳」の新皮質が発達して加わっています。
人間の脳は、目や手や舌、耳、皮ふ、鼻などの「五官覚」の「知覚の機能」がつくり出した「認知」を記憶する「右脳系の海馬」と、この「右脳系の海馬」が記憶した「認知のイメージ」を、「左脳系の海馬」で記憶する、ということをおこなっています。「左脳系の海馬」に記憶させるものは自律神経の副交感神経です。
「X経路」と呼ばれています。
「Y経路」は「目の瞳孔を収縮させる」というような機能をもっています。「焦点を合わせる」「こまかいいりくみや形象を認識する」「色や色彩を認識する」という機能が「X経路」の特性と内容です。これは「右脳ブローカー言語野の3分の1のゾーン」でおこなわれます。この「右脳ブローカー言語野の3分の1のゾーン」で「X経路」が、「視覚のパターン認知」をクローズアップとして表象し、この表象が「触覚の認知」としてさらに「認知」され、この触覚の認知がクローズアップして表象されると「記号」になるのです。
この視覚の記号は「発語の音声」と対応しているので「言葉」になるのです。「視覚」と「聴覚」は相互性をもつ知覚機能です。「視覚」と「触覚」は、クローズアップのイメージが相互性をもっています。同じように「聴覚」と「触覚」も相互性をもっています。「互換性」といっても同じです。
自然の音の「風」や「虫の音」などの音の強弱、音の長短は、交感神経に反応して、心臓の拍動を速めたり遅くさせるので触覚として認知されることでも照明されます。
人間は、お風呂に入ったときに「あー」と声を出したり、「イスから立ち上がる」ときに「どっこいしょ」と言ったりします。これは、身体の知覚と発声とが相互性をもっていることの証明です。
すると、「クローズアップ」という触覚の知覚を内包しているイメージの表象(ひょうしょう)も「発語の発声」と相互性をもっているということになるのです。
乳児、および「古代人」は、母親の顔の「目と口」だけをクローズアップをくりかえして「形象的な記号」として認識しました。この「形象的な記号」の認識をY経路で「認知」して「発語の音声」によって認識したものが「言葉」です。 |
欲の脳「視床下部」に「女性の性」の根拠があります |
人間の「性」についてのいろいろなことは、「脳の中」の「大脳辺縁系」で起こって、完結します。「性」のいろいろなことをつくり出すのは、「欲の脳」といわれている「視床下部」です。視床下部は、自律神経の中枢です。いくつもの「中枢神経」が集まった集合体になっています。
中枢神経には、恒常性(ホメオスタシス)の機能と役割をになって「食べたい」「食べたくない」「性をしたい」「水を飲みたい」「体温を調節したい」などの欲求を生命活動としてつくり出しています。
「性をしたい」の中枢神経は二つあります。男性の「性」をつくり出すのが「背内側核」です。交感神経の中枢です。
女性の「性」をつくり出すのが「視索前野」です。副交感神経の中枢です。「食べたい」の欲の中枢神経も副交感神経の中枢です。「食べたくない」の中枢は、交感神経の中枢です。したがって、男性は「食欲」は意識しても「食べること」についての欲求のイメージは、日常的にイメージングされていないことが分かります。女性は、「食べたい」の中枢神経が副交感神経の中枢になっているので、「食欲」とは無関係に、つねに「食べることのイメージ」がイメージングされていることが分かるでしょう。
これと同じことが「性」についてもあてはまります。男性の「性」の中枢は、つねに欲望の権化(ごんげ)といわれるGnRHというペプチドホルモンが分泌して、さらに男性ホルモンのテストステロンも血管をとおって集まってくるので、欲求と衝動が合成された「性行動のイメージ」が「右脳・ブローカー言語野の3分の1のゾーン」にいつでも、どこでも、表象(ひょうしょう)されているのです。
女性の「性」の中枢神経の「視索前野」は、GnRHではなくてTRHというペプチドホルモンが分泌します。「やる気」とか「行動力」の意欲が「欲求」の内容です。「性」の欲求も喚起しますが、それはいくつかのステップを踏んだのちに「性の欲求」のイメージに結晶して「右脳のブローカー言語野の3分の1のゾーン」に表象(ひょうしょう)されるというメカニズムになっています。TRHは、排卵や卵子の生成にかかわっているホルモンです。
抽象化したいい方をすると「生命体の創出」の役割と機能をになっています。この「生命体の創出」という機能は「生命体を創出した」という機能にもむすびついています。その機能が「人間関係をつくる」ということと「言葉をつくる」という機能です。女性の「視索前野」は、「人間関係」と「言葉」を創り出す中枢神経でもあるのです。男性の「背内側核」は「空間認知」の中枢です。
「性」は、男性の「性の中枢の背内側核」と女性の「性の中枢の視索前野」の「関わり」であることをお分かりいただけていると思います。
男性のGnRH(性の欲望の権化(ごんげ))を中心とした「性」は、大脳辺縁系の「扁桃核」(好き・嫌い、敵・味方)の生の感情か、「中隔核」(幸福のボタン押しの快感。トカゲの脳。目先の利益、目先の快感の生(なま)の欲望を生む中枢)のままに性行動をあらわす、ということになるでしょう。 |
女性の「性」は「人間関係」と「言葉」の創出を動機と目的にしています |
女性のTRH(やる気、行動力、そして性の欲求のホルモン)は、ダイレクトに「性の行動」を表象(ひょうしょう)しません。
まず「人間関係」、そして「言葉」の認知や認識を完成させて、その後に「性の行動」のイメージが表象(ひょうしょう)されます。
人間の脳は、下等哺乳類の「大脳辺縁系」中心の脳とは違っています。新皮質という「言葉」と「言葉による行動」を記憶する脳を発達させてもっています。この新皮質は、「左脳」と「右脳」とに分かれて「双頭の脳」といわれています。「左脳」と「右脳」は、それぞれ独立した機能と役割をもって働くので「二院制の脳」ともいわれています。
女性の「性」の中枢は、副交感神経の中枢です。この副交感神経のスタートの位置は「脳幹」(脊髄の頂点に位置しています)にある青斑核(せいはんかく)です。この青斑核から「A6神経」がスタートして、おもに「左脳」へとつながり、「左脳」の言語中枢を中心にして張りめぐらされています。
このことは何を意味するのかといいますと、女性の「性」は、「左脳の働きの一つ」としておこなわれている、ということなのです。ここが「男性」から見た「女性」についての性的なイメージとは、大きく違っていて、「女性の性の実体」とは全く無関係なものを思い浮べているということになるのです。男性も、このことにうすうすとは気がついています。
だから、「ナンパする」とか「口説く」とか「プレゼントをする」とか「ラブレターを書く」などというように男性自身の性の欲望の権化(ごんげ)のGnRHの生の欲望を伝え、交渉して同意を得ようとします。 |
男性の女性へのアプローチの仕方を教えます |
ポルソナーレのカウンセリング・ゼミの『カウンセラー養成ゼミ』では、「ハーバード流交渉術」も人間関係をつくっていくうえで重要な「関係づけ」のための会話術として「社会教育法」の柱の一つにしています。
「ハーバード流交渉術」は、「原則立脚型の交渉術」です。交渉の仕方は、「ソフト交渉型」(相手の言い分を全面的に受け容れて交渉を成り立たせる)、と「ハード交渉型」(圧力を加えたり脅したりして自分の言い分を全面的に受け容れさせる)の二つが主流です。「ハーバード流交渉術」は、「相手の利益」を分かり、その利益実現に協力しながら、自分の利益実現にも協力してもらう、という関係づけの技術です。
この「ハーバード流交渉術」の位置から「女性の性の欲求」という「利益」を見ると、「人間関係のよりよい成立」と「言葉として語られる内容が未来型になっていて、長期利益として記憶するに値するものである」、の二つが実現すべき望ましい目的になっています。
ここのところをごく普通の日常の光景に置き換えると、こんなふうです。
男性が、女性にたいしてあれこれと話しかけているという場面があります。電車の中とか、何人かの男女が集まっているような場面です。女性は、にこにこして男性の話を聞いているでしょう。男性は、ひょっとして、こんなにもにこにこして喜んで聞いてくれているのだから、きっと自分のことを気に入ってくれているのかもしれないと考えるでしょう。こんなにも自分の顔を見つめて嬉しそうに笑っているのだから、ひょっとして、好きになってくれているのかもしれないよ、とも考えるでしょう。そこで、「メルアド、教えて」とか「ケータイの電話番号を教えて」とか申し出るかもしれません。これで、ひとまず、彼、彼女の関係に大きく近づいたと幸せな気持ちになるかもしれません。
しかし、この認識が根本的に違うのです。
GnRHとTRHの脳の働き方の違いです。女性は、コミュニケーションとして語られる男性の話し言葉を、「どのように」(Y経路)の「認知の対象」にしているにすぎません。この男性の話している内容は、自分の「左脳の記憶」にする「記憶の対象」にしていいものか?どうか?について「認知」しているのです。女性は、男性の話す「どのように」に当る説明の内容を聴きながら、自分自身の「左脳系の海馬」に記憶されている言葉を「右脳・ブローカー言語野3分の1のゾーン」に表象(ひょうしょう)させて「記憶のソース・モニタリング」をおこない、「一致するかな?どうかな?」というように、適合か、不適合かの比較調査をおこなっています。このような男性と女性のコミュニケーションの場面では、どの女性も、一人の例外もなく「適合か?不適合か?」の「記憶のソース・モニタリング」がおこなわれているというのが本質です。
男性の話す「話し言葉」の「どのように」(Y経路のパターン認知)の内容が、どの女性にも共通して、またどの男性にも共通する、という「社会性」にとどまるときは、「左脳だけの働きのメカニズム」が「学習する」という働き方をします。ここでのドーパミンは、A10神経がになって、「右脳の前頭葉」の域で分泌します。これは、女性自身の知性として完結します。「左脳系の海馬」に記憶されるのです。しかし、女性が「左脳系の海馬」に「長期記憶」として記憶するにあたり「ソースとしての記憶」が不完全であったり、倒錯や錯誤の記憶であるという場合があります。
女性の切実な必要や目的に見合うものが、男性の話の「どのように」の内容である場合、女性の聴覚が視覚のクローズ・アップへと転換し、さらに触覚の認知へと変換されるときに、「右脳系の海馬」でも認知されるのです。これが女性にとっての「性的な関係」の脳の経路です。女性は、ここで「言葉の創出(学習)」と、「人間関係の創出(学習の対象)」の二つのことをおこなっていることになるのです。
ここで男性に求められていることは、「コミュニケーション」として話される言葉は、「Y経路のパターン認知」の「どのように」でなければならず、さらに、女性A、女性B、女性C、女性Dではなくて、なぜ、目の前の当該の女性でなければならないか?の「どのように」も表現する必要があるのです。
この二つの「どのように」(Y経路のパターン認知)が無いときは、どんなに長く性的な関係が継続された関係でも「性の関係」はどこまでいっても成り立たないのです。
『オルガスムスのウソ』(ロルフ・デーゲン)の「性欲不全時代」の中から、「性の関係」が成り立たない事例をご紹介します。 |
女性と男性の関係に、支障や障害が発生する理由を教えます |
- ドイツのケルン泌尿器クリニックがおこなった調査
(1)30歳から80歳の男女一万人にアンケート用紙を送って回答してもらった。
(2)性機能障害に悩んでいる女性…59・2%
性機能障害に悩んでいる男性…21%
- オーストラリアでおこなわれた大規模なアンケート調査
(1)一万九千三百人の回答による。
(2)性障害を体験したと答えた女性…72%
性障害を体験したと答えた男性…48%
(3)性障害とは一度きりの不全ではなく、少なくとも一ヵ月間は持続している。
(4)女性の「性機能障害」の内容…「性欲減退」「オルガスムスに達したことがない」(30%)
などだ。
- 男性の「性機能障害」の改善のためにファイザー社が「バイアグラ」を開発した(二○○三年)。また、イーライ・リリー社は「シリアス」を発売した。
さらにバイエル社は「レビトラ」を開発した。武田薬品工業は「イクセンス」、アボット社は「ユープリマ」をそれぞれ開発した。
この薬の開発以降、何が、どのように変化したか。
「健康な被験者には性欲の亢進は全く見られなかった」(ヴァーナリス社の研究者ジョン・ハッチソン)。
アメリカのセックス・セラピスト、バリー・W・マッカーシーの説明。
「バイアグラを処方された人の半分以上は、服用を継続していない。問題は、性機能の回復だけにあるのではないと、感じたからのようだ」。
「バイアグラは、インポテンツの男性の三分の一にはなぜか効果がなかった」。
『シュピーゲル誌』の論評。
「バイアグラを、憎むべきアンシャン・レジームのうっとおしい再来と受け止める妻も多い」。
- エドワード・O・ローマンはバイアグラの製造元のファイザー社の顧問である。ローマンは、女性の「性機能障害」(female sexual dysfunction)FSDという新語を開発した。(医療ジャーナリストのレイ・モニソン)。
「彼らは、バイアグラなどのクオリティ・オブ・ライフの改善薬の大当りに味をしめて、女性の性機能障害なる病気を発明した。つまり病気が存在するからその治療薬を開発するということをおこなっている」。
女性のFSDの概念とは、次のようなものだ。
症状1…性的興奮の欠如。エロティックなことを想像しても性器の興奮にむすびつかない。
症状2…セックスをしてもオルガスムスが抑圧されているか、全く感じない。
症状3…性交痛。性交が不能か苦痛になる。
症状4…性欲喪失。性的な興奮をともなう空想、思考が起きない。以前は「不感症」と呼ばれていた。あらゆる性的接触への嫌悪感にまで達している。
カナダの心理学者ライナ・ダイニーンの話。
「セックスセラピーを受けたカップルは3分の1が途中で放棄している。60%の人々には何かしらの改善はあるようだが、期待していたような効果は得られていない」。
この期待していたような効果が得られないのは女性の「FSD」にたいする「薬の開発」にもあてはまる。女性にたいしての「性的障害」を改善する薬の開発は、今のところ成功していない。
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「性機能障害」とは「行動停止」か「半行動停止」のことです |
女性の「性」は、男性が考えているように「女性の性器の機能性の障害」ではないということがよくうかがわれる事例です。ここでは、「治る」「治らない」という概念が中心に考えられています。
「治る」とは何のことでしょうか。
痛みや苦痛、もしくは「かゆみ」といった症状が消えることをいいます。同じことは、「心や精神の病い」でもいわれていることはよくご存知のとおりです。「障害を治す」というとき、これは、「症状が消えればよい」ととらえられていることが分かります。
しかし、「障害」とは、痛いとか、辛い、苦痛といったことをさすのではなくて「行動が止まる」「行動が止まったままになる」「行動が止まることが予期されて不安になる」ということをさします。すると、これは、「行動」には必ず「言葉」が必要になるので、「行動にともなう言葉が欠如している」という内容になるのです。
女性が、「性機能障害」におちいっている、というときは、女性が男性の「言葉」を「認識しえない」ということを指しています。「セックス」という「性的な結合」は、女性にとって、「男性の語る話し言葉」の「パターン認知」を「認識する」という脳の働き方としておこなわれています。したがって、「性が苦痛だ」というのは、「あなたの話し言葉はとうてい受け容れ難い」ということが伝えられていることと同義です。
「性的なことを言われても興奮しない」というのは、「あなたの話すどのような話題でも意味不明で、それが私と一体、何の関係があるのか?と不信に思うばかりである」ということが伝えられています。 |
心や精神の病気は、「治る」のではなく、「行動が回復すること」が定義です |
すでにみなさまは、心や精神の病気というものは「負の行動のイメージ」が「右脳・ブローカー言語野の3分の1のゾーン」に表象(ひょうしょう)されつづけていることだ、という脳の働き方のメカニズムについてよくご存知です。「負の行動のイメージ」とは何のことでしたでしょうか。
「自分は楽しくない」「自分だけが損をしている」というのがその基本型です。「行動」の本質とは、「自分に楽しいことがやってくる」「自分に得することがやってくる」というものでした。この「行動」の本質とは、「過去」のことではなくて「現在」と「未来」にかかわる行動のあり方としての定義です。
女性にとっての「性の障害」とは、今、自分に「パートナー」がいる、いないとにかかわらず「男性の話す話し言葉」に「負の行動のイメージ」しか表象(ひょうしょう)されませんよ、ということにその根本の核心があります。 |
「多元的無知」を記憶している女性も「性機能障害」がつくられます |
これは、必ずしも、「男性」の話す「話し言葉」だけの問題ではありません。女性のサイドに、「左脳系の海馬」に長期記憶として「男性の話す話し言葉」を「記憶のソース・モニタリング」として比較検証する「ソースの言葉」が記憶されていない場合も「性的障害」なる障害が表象(ひょうしょう)されることがお分りでしょう。このパターンの「性的障害」は、女性は、男性のGnRHがつくり出す「性的な欲求のイメージ」を「右脳系の海馬」に記憶していることによって生じます。つまり、この女性は、男性の話す「話し言葉」を「トカゲの脳のつくり出す幸福のボタン押しの目先の快感、目先の利益」という「ソースの記憶」と一致しないので「性」という関係が成り立つ「行動」にたいして、「行動停止」に陥っているといえるのです。ロルフ・デーゲンがリポートしている「性的機能の障害」の女性が、このいずれに当るのかは、不明です。 |