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ポルソナーレ式イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第202号
10期10回め平成20年6月28日
脳の働き方と言語の学習回路/浅見鉄男「井穴刺絡・免疫療法」

脳の働き方のメカニズム
日本人の病気の脳の働きの起源

「東京・秋葉原、無差別殺人」
の病気の脳の働き方

はじめに

 ゼミ・イメージ切り替え法、中級クラス、スーパーバイザーカウンセラー認定コース、Aクラス、№12のゼミをお届けいたします。
 今回の本ゼミは、前回にひきつづいて「東京・秋葉原無差別大量殺人事件」をケースにとりあげます。テーマは、「誰でもいいから人を殺す」という病気の言葉と、じっさいに「誰でもいいから人を殺した」という病気の「行動」は、どのようにしてつくられるものか?についてご一緒に考えます。
 ものごとには、どんなことにも原因があります。「誰でもいいから」という言葉は、その人間の現実には原因も動機もありません。この特異で、しかし今、日本人の全員に共通する病理のメカニズムについてお話します。

ポルソナーレ代表田原克拓

本号の目次

  1. 日本人の心身の病気の典型が「東京・秋葉原、無差別大量殺人事件」です
  2. 「病気ではなく、テロである」と考えれば「刑事事件」の対象になる
  3. 「心の病気」が「連続殺人者」になる
  4. 社会と不適応」が「うつ病」に陥り、甘えと依存の中で「自我」を喪失する
  5. 「社会」にたいしての攻撃や敵意は「社会についての認知バイアス」である
  6. 「悲惨な現実」の中にも「楽しい現実」がある、と「肯定バイアス」は考えられない
  7. 母親に敵意と拒否を向ける「乳児」の脳の働き方
  8. 病気も健康も、「言葉」の『意味』で「行動する」
  9. 「愛着の不安定」な「乳児」が成人すると「うつ病」になる
  10. 「誰でもいいから殺傷する」は、「うつ病」の「うつ破り」が動機である
  11. ポルソナーレ式イメージ療法(プログラム)他者の不安な態度に傷つかないイメージ療法
脳の働き方のメカニズム
日本人の病気の脳の働きの起源

「東京・秋葉原、無差別大量殺人」の
病気の脳の働き方
日本人の心身の病気の典型が「東京・秋葉原、無差別大量殺人事件」です

 平成20年6月8日(日曜日)に東京・秋葉原の「歩行者天国」で、男女7人もの人が死亡するという「通り魔事件」が起こりました。容疑者は、元・派遣社員の加藤智大(ともひろ)です。その日のうちに殺人容疑で逮捕されています。警視庁は、「万世橋署」に特捜本部を設置して、動機を解明しています。
 6月16日付の日経で、編集委員の坂口祐一は、次のように書いています。

  • 歩行者天国でにぎわう東京・秋葉原で、25歳の男が通行人らを無差別に襲い17人が死傷する(7人が死亡)事件が起きた。
    なぜ、このような事件が起きたのか。防ぐ手だてはあるのか。
  • 2001年に大阪府池田市の小学校で起きた「校内児童殺傷事件の犯人・宅間守は、公判でこうのべた。
    「恵まれた家庭で育った子どもでも、けったいなおっさんに殺される不条理を分からせたかった」。
    「しょうもない貧乏たれの人生やったら、今回の事件を起こす人生の方が良かった」。
    この事件は、身勝手な不満や恨みから社会全体に対して確定的な殺意をいだき、それを実行に移した特異な事件だった。
  • 「東京・秋葉原の無差別大量殺人事件」の動機は、まだ解明されていない。
    だが、加藤智大(ともひろ)容疑者が携帯サイトに書き込んだ職場や家庭でのうっぷん、孤立感、そして敗北感を見ると、大阪の池田小学校事件と同じような構図が浮んでくる。
  • 最近のおもな「無差別殺傷事件」は、次のようなものだ。
    「1999年。東京池袋の繁華街で、通行人らが包丁と金づちを持った男(23歳)に襲われて2人が死亡した。6人が重軽傷を負った」。
    「1999年。山口県のJR下関駅に男(35歳)が車で突っ込んだうえ、包丁で刺すなどして、5人が死亡した。10人が重軽傷を負った」。
    「2001年。大阪教育大付属池田小学校に、包丁を持った男(37歳)が乱入した。児童8人を刺殺した。15人に重軽傷を負わせた」。
    「2005年。愛知県安城市のスーパーで男児が男(34歳)に包丁で刺されて死亡した。2人がケガを負った」。
    「2008年。茨城県土浦市で別の殺人事件で指名手配中の男(24歳)が、通行人や警察官8人を包丁で刺した。1人が死亡し、7人が重軽傷を負った」
    これらの犯人は、皆、一様に、「誰でもよかった」と供述している。
    社会や経済構造は、大きく変動している。この中で「誰でもよかった」と供述している。
  • 社会や経済の構造が大きく変動している。
    この中で「誰でもいいから、人を殺傷したい」という連鎖が起きている。これは深刻な事態だ。
  • 「誰でもいいから人を殺傷したい」という言葉と行動は、「政治・思想」の有無、という違いはあるが、身勝手な考えというものだ。
    「市民を巻き込む」という点では、「テロ」と同じである。
    「宅間守死刑囚」(死刑が執行された)は「死刑になりたかった」と供述している。これは、まさに「自爆テロ」と同じである。
  • 「テロ対策」の分野では、「テロ組織」とは無関係な若者、移民が、迫害や差別体験などから「疎外感」「社会への反感」を抱き、「テロリスト」へと変わっていく「過激化」である。
    「インターネット」を通じた「過激思想への傾倒」が指摘されている。
    今回の「秋葉原、通り魔事件」と似ている面もある。
  • 欧米各国にも、人々に疎外感をもたせない社会づくりに腐心(ふしん)している。
    遠回りになっても個々人が、疎外感を抱かずに暮せる社会、人と人とのつながりを実感できる社会に、少しでも近づいていくことしかないのではないか。
「病気ではなく、テロである」と考えれば「刑事事件」の対象になる

■ここでは、「テロ」という概念(がいねん)が持ち出されています。「テロ」とは、「テロリズム」のことです。おもに「政治的な行動」の概念です。

 「政治的な考え」がある、ということが「テロ」の概念の前提になります。

 「政治的な考え」は、言葉で言いあらわされたり、文書に書かれたり、法制化されます。「政治」は一人でもおこなえますが、「地域空間」の中の「人々」の中で成り立つものです。ここには、「リーダーシップ」をとって主導する人間がいます。この人物が「政治的な考え」をリードする、と考えられるときに「テロリズム」という「ものの考え方」が生まれるのです。「テロリズム」は、「政治的な考え」と「一人の人間」とを同一視します。その人物が死亡すると、「政治的な考えも消滅する」という「ものの考え方」が「テロリズム」の発想です。

 しかし、このような「ものの考え方」は、「情報格差」というものが固定化されていて閉鎖状態におかれている状況での発想です。「テロ」というものが成り立たないことの実証が「旧西ドイツ」と「旧東ドイツ」を分けていた「ベルリンの壁の崩壊」でした。

 象徴的なエピソードがあります。「旧東ドイツの人々」は、「ラジオ放送」を通して、「西ドイツの人々が、毎日、バナナをおいしそうに食べている」ということを知っていました。あまりにもうらやましいので、これが「ベルリンの壁」をなくす動機になったと伝えられています。

 「テロ」とは、政治的な暴力主義のことです。一人の人間を殺害すれば、自動的に、その「地域全体」の共同観念としての「政治的な主張」に代表される「共通の社会意識」も消滅する、と思い込む「ものの考え方」のことです。

 今の日本、そして世界は、インターネットの「マトリックス」がいきわたっているので、「テロ」による政治的な有効性は全くありません。

 「テロ」という概念は、この言葉の厳密な意味にもとづけばすでに死語になっています。

 すると、ご紹介している「坂口祐一」ののべる「誰でもいいから人を殺すという言葉と行動は、テロと同じだ」というときの「テロ」は、「病気の概念」としてのべられていることになります。なぜ、「テロと同じだ」と拡大解釈してのべられているのでしょうか。ほかに言いようがないからでしょう。

「心の病気」が「連続殺人者」になる

 厳密な言い方をすると「心の病い」でも、「無差別に人を殺す」ということはおこなわれています。「シリアルキラー」といわれているものです。「連続殺人者」といわれています。「シリアルキラー」は、欧米にも日本にも起こっています。おもに三つのパターンの「シリアルキラー」が分類されています。一つは、「利害」を動機とするものです。

 社会で働いて収入を得るということを考える力が無い人が、「収入源」として殺害しつづける、というものです。殺害された人の捜索がおこなわれて、容疑者がつきとめられています。

 もう一つは、「ミュンヒハウゼン症候群」による「シリアルキラー」です。典型的には、病院の「看護者」が病気で入院中の患者を次々に殺害するというものです。薬物を過度に与えて危機的な状態をつくり、第一発見者を装って救出にあたり、うまくいけば「人命救助に努力した人」として賞賛を得る、というパターンが特徴です。

 社会の変化が過度期にあって、格差状況にもある時に、自分も一気に「勝ち組」のステージに昇りつめたい、ということが動機になっています。

 もう一つのパターンは、「FBI心理捜査官」でクローズ・アップされた「快楽殺人」の「シリアルキラー」です。「神戸・A少年」の『酒鬼薔薇聖斗』もこのパターンに分類されるという説もあります。「殺害するときに、性的な興奮をおぼえた」と供述したといわれているからです。

 「快楽殺人」は、「性的な意味」をもつ儀式性やシンボルを残したり、所有されていることから、「分裂病」のつくる妄想の所産である、と定義することができます。「殺人行為」そのものに価値がおかれているのではなくて、「サディズム」のイメージを記憶に残して、このイメージの再現のために「快楽殺人」をくりかえす、というものです。平成20年6月17日に死刑執行された「宮崎勤事件」の「宮崎勤」(45歳)が好例です。

 坂口祐一(日経編集者)は、この「宮崎勤死刑囚の死刑執行」について、次のようにコメントしています。

  • 宮崎勤死刑囚による「連続幼女誘拐事件」は、「神戸連続児童殺傷事件」(1997年)、「大阪校内児童殺傷」(2001年)、「奈良女児誘拐殺人」(2004年)、そして「秋葉原の無差別殺傷」(2008年)へとつながる、不可解な凶悪事件の連鎖の始まりだったのではないか。
  • 動機は、従来型の怨恨(えんこん)や「性的欲望」では説明しきれない。
  • 特異事件が起きるたびに期待された「心の闇」の解明は、毎回、裏切られた。
  • 「宮崎勤事件」では、「家族が互いに無関心だった」「地域の人間関係が希薄化した」などの指摘がなされた。まさに、「秋葉原・無差別殺人」で容疑者が「携帯サイト」に書きつづった内容そのものだった。
  • この間に定着したのは、「厳罰化」による「死刑判決の増加」「警備員や監視カメラの導入」「不審者情報の配信」だ。「不審」を排除するだけの防犯対策だけだったのではないか。
  • 時折、出現する凶悪な犯罪者を「モンスター」として扱い、文字どおり排除しても、「モンスター」を生む土壌は、なお、残されたままだ。
    (平成20年6月18日、「日経」)
社会と不適応」が「うつ病」に陥り、甘えと依存の中で「自我」を喪失する

■坂口祐一のこのコメントで注目してもよいのは、「モンスターを生む土壌」という言葉です。「土壌」とは何のことでしょうか。ポルソナーレの「社会教育法としてのカウンセリング」の考え方から導けば、こうなります。

 「秋葉原無差別殺人」では、『2ちゃんねる』の掲示板に書き込まれている多くの共感のコメントを例にあげて考えてみます。『週刊新潮』(2008・6月26日号)によれば、次のようなものです。

  1. 「高見の見物なら、こんな愉快なことは稀。殺された勝ち組の奴ら、ざまあーみろ!」
  2. 「派遣社員には、労働運動もできないようになっている。現代版の奴隷制度だ。こんなのがあったら社会は、どんどん悪くなる。
    一般の日本人の生活も向上しない。
    派遣制度の最大の搾取(さくしゅ)者は、大会社だけでなく、派遣会社の社長。こんな制度があるのがおかしいよ」。
  3. 「小泉元首相は死ね。加藤は被害者だ。小泉の恩恵を受けたやつが被害にあえばよかったのに。残念だ。加藤、おまえはよくやった、だが相手が違ったな」
  4. 「加藤は、現代社会が生み出した最も悲惨な被害者だ。そう、彼によって殺された人間よりも。
    格差社会と呼ばれている現代。
    小泉政権によって規制が緩和された派遣、契約、日雇いが急増している。年収200万円程度の低賃金で、不当に労働させられ、不要になったら切り捨てられる。若者は、現代社会に、また自分の将来に希望を見出せないでいるのだ。
    これは、社会に与えた警笛(けいてき)である。やり方はどうであれ、彼が警笛(けいてき)を鳴らしたのだ」。
  5. 「田舎から来た貧乏でまじめな青年が現実に触れるたびに社会への憎悪をつのらせた。地元で一番の進学校を出ても、現代の蟹(かに)工船という資本主義の現実。富裕層のあんたらには、分かるまいな」
  6. 「第2・第3の加藤は、必ず現れる。加藤よりももっと不幸な人は、何十万人もいるんだよ」。
「社会」にたいしての攻撃や敵意は「社会についての認知バイアス」である

 ここには、日本の経済社会の現実の中で「もがき、あがいている」ことが「動機のひとつ」になっているという共鳴と共感が語られています。

 そこで、加藤智大(ともひろ)容疑者を含む「共感者」「共鳴者」を「10人」だけ揃える、という「モデル実験」を想定してみます。この「10人」が全員とも「無差別殺人」を考えるか?そして「実行するか?」と理論的に設定してみるのです。

 得られる正解は、「考える、そして実行する」という人が「5人」です。

 残りの「5人」は、「考えない、故に実行しない」、という解(かい)になるでしょう。

 この実験で分かることは、「現実の実情、実体」がどうであれ、このことを理由や根拠にして「無差別の大量殺人」がおこなわれるものではない、ということです。なぜか?というと、「現実は悲惨」という事実は、「国連」が発表している「全世界の難民は、1000万人になった」ということと、全く等価であるからです。

 「テロ」も「無差別殺人」も、そして「10年間、年間3万人を超える日本の自殺者」も、一人一人の人間の「ものの考え方」がつくり出すのです。「ものの考え方」の中に、動機も、原因もあります。「原因があるから、結果がある」ということは、つねに、いつの時代でも、どこの社会でも変わらない「ものごと」の法則というものです。「原因は何か?」「根拠は何か?」と問いかけて、その原因なり、根拠なりを究明する知的実力が無いときに、「認知バイアス」が生み出されて、「認識のバイアス」による「言葉」が、梅雨(つゆ)時の空のように灰色の雨雲が広がるのです。「実験心理学」に「確認バイアス」とか「肯定バイアス」という言葉があります。しばしば「運命診断」や「占い」に登場する「バイアス」です。バイアスとは、「歪み」「片寄り」「偏向」といったほどの意味です。

 「部屋の中の南の方向に、リンゴとかバナナ、お花を飾ると、よい運勢が開かれますよ」などといったことをお聞きになったことがあるのではありませんか。

 「当るかどうかは、ともかく、リンゴは好きだしね」「お花を飾るって良いことだから」という「認知の仕方」で実行する人もいるでしょう。

 「行動」には「言葉」が必要である、とは、本ゼミで「脳の働き方のソフトウェアのメカニズム」の本質としてお話しました。この言葉のとおりには、どなたにもよくご記憶のことでしょう。しかし、『行動』をするのは「言葉」の『意味』であることは、なかなかに呑み込めないでいる方も多いかもしれません。このような『行動』では脳の中では、「肯定バイアス」(確認バイアス)が働いているのです。

 「確認バイアス」もしくは「肯定バイアス」とは「そうではない反対の事実や『意味』を全く考えない」ということです。「占いが当たらない」「トラブルつづきで、緊張の日々をすごしている」という正反対の「事実」については「考えない」ということです。

 「確認バイアス」「肯定バイアス」で問題になるのは「南の方向に、リンゴやバナナ、花を飾ると良いことがある」という言葉を『概念』(がいねん)として読んだり、聞いたりすることができない、という「脳の働き方」です。単に、「記号としての言葉」として丸暗記するというのが「認知バイアス」です。「認知バイアス」とは?については、前回の本ゼミで「カニッツァの三角形」の実験例でご説明しています。
 「正しい三角形」ではない、角の一点がつながっていない「不正確な三角形」を見て、「この図形のとおりに描いてください」と指示する実験でした。「バイアス」の認知をした人は、「正しい三角形」を描きます。

「悲惨な現実」の中にも「楽しい現実」がある、と「肯定バイアス」は考えられない

 「秋葉原通り魔事件」についての理解の仕方にも、この「認知バイアス」による「認識バイアス」が起こっています。

 「悲惨な現実」があったとしても、この「悲惨な現実」じたいに事件の原因や根拠があるのではない、ということをお伝えしています。

 「悲惨な現実」ではあっても、そこには、相対比較として見ると、「楽しい現実」もあるということが公平な見方というものです。しかし、「悲惨な現実」に適応できなければ、「楽しい現実」も「認知」できません。それは、個々人の「脳の働き方」に帰せられます。原因も根拠も、「一人、一人の人間」の「ものの考え方」の中にあるのです。

 「秋葉原通り魔事件」は、「誰でもいいから殺す」という「言葉」が「原因」としての「動機」と、「行動」の根拠を分かりにくくさせています。

 「誰でもいいから、襲って攻撃する」ということを、人間は、成り立たせるものなのか?どうか?が問われています。

 ポルソナーレのカウンセリング・ゼミは、『カウンセラー養成ゼミ』の講座も独自の教育方針でカリキュラムを展開しています。この講座では、「脳の働き方のソフトウェアのメカニズム」を順序立てて解明して、「言葉」や「言葉」の『意味』の生成のしくみを解析してご説明しています。

 ケーススタディは『赤ん坊から見た世界・言語以前の光景』(無藤隆・講談社現代新書)です。

 この中に、次のような「乳児」についての観察の事例があります。

 「乳児」にとって、「母親」は、一般的に「生存にかかわる絶対的な存在」であると考えられています。
 そのとおりの理解で間違いはありません。しかし、「脳の働き方」は、「生きていくうえで絶対的な価値をもつ母親」のはずが、この「価値」を放棄したり、自ら崩れ去らせるということを「記憶する」のです。このことについての要点をご紹介します。

母親に敵意と拒否を向ける「乳児」の脳の働き方
  1. 一般的に親密な人間関係は、乳児(0歳3ヵ月からの子ども)と母親との「愛着関係」がつくり出す。
  2. 「愛着関係」とは、「母親」が「子どもの動きのリズム」に合わせて、次に、「子ども」も「母親の動きのリズム」に合わせることをいう。
  3. この「動きのリズム」に合わせることを「同調」とか「同期」という。「同調」とは、音や声や、気分などを同じにするということだ。「同期」とは、時間や状態、場面を同じにする、ということである。
    (これらについては、アメリカ、マイアミ大学のフィールドが調べた)。
  4. 「母親」が「うつの状態にあるケース」と、「健常な状態にあるケース」とでは、「愛着関係」に違いが生じる。
    「うつ状態」にある「母親と乳児」とは、「同調」も「同期」も正反対になる。
    すなわち、一方が否定的な動きを示すと、一方も否定的な動きを示す。
    互いに、不適応の関係を示す。
  5. この結果、「母と乳児の愛着関係」は、4つのタイプが観察される。
    • Aタイプ…不安定。乳児は、母親と関わることを回避する。
    • Bタイプ…安定した愛着を示す。
    • Cタイプ…抵抗型。母親にベッタリとしがみつくか、敵意を示す。
    • Dタイプ…不適応な行動類型。非統制的で不安定な愛着を示す。非常な敵意を示し、極端な混乱や恐怖を示す。
  6. 子どもの「人見知り」とは、おもに「Cタイプ」と「Dタイプ」の不安定な「愛着」をさす場合が多い。
病気も健康も、「言葉」の『意味』で「行動する」

■「脳の働き方」という「ソフトウェアのメカニズム」をとおしてこれらの「乳児と母親の愛着」(行動のリズムに、互いがどのように適応するか?の関係のあり方)を見ると、どうなるのでしょうか?

 「子どもの行動」も「母親の行動」も「言葉」の『意味』を「学習」して憶えていることになるのです。

 「言葉」には、『意味』があることは誰でもよく知っています。「辞書」を開いて調べてみると、まず、「言葉」が先にあって、次に『意味』が書かれています。「言葉」を『意味』といっしょに学習して憶える(記憶する)ときに、このときの「言葉」を『概念』(がいねん)といいます。

 『意味』を憶えていないのに、「言葉」をしゃべったり、聞いたり、書いたりするときの『言葉』を「記号としての言葉」といいます。

 母親と乳児の「愛着」についての測定の実験と観察のことを『ストレンジ・シチュエーション』といいます。アメリカの発達心理学者の「エインズワース」という女性が考案しました。

 この「ストレンジ・シチュエーション」の実験と観察で分かることは、何でしょうか。観察は、成人して「大人」になってからもつづけられています。恋人、親友、友だちづくり、結婚したパートナーどうし、などです。「大人」になっても「愛着の不安定さのタイプ」はそのまま持ちこまれてつづいています。

 「相手の人」が不機嫌になると、「自分もまた不機嫌になる」というようにです。「相手の人」の気持ちの不安定さの改善につとめて、「安定した関係」のために働きかけることはない、と観察しています。
 しかし、問題の本質は、「人間関係がうまくいかない脳の働き方を身につけている」ということではありません。

 「乳児」にとって「母親」の「行動」は「共同指示」といって「言葉」の『意味』のメタファーになるのです。「母親」の「共同指示」とは、「指で対象をさし示すこと」と「喜びの表情」のことです。

 人間の「行動」には必ず「言葉」が必要です。この「行動」に必要な「言葉」とは、『意味』のことです。人間は、「言葉」の『意味』によって「行動する」ことはよくお分りでしょう。

《例》
●山に登る(概念)
◎ビルでもなく、家の二階でもなく、地形の高い頂点を目ざして歩いていくこと(意味)

 この例でもよくお分りのとおり、「人間の行動」は『意味』によって成り立ちます。「乳児」にとて「母親の行動」は「言葉」の『意味』を学習して記憶するための対象です。この「意味」の学習と記憶が「母親の喜びの表情」とセットになって「右脳の前頭葉」にドーパミンを分泌させます。

 「うつ状態の母親」は、「乳児」に何をしていることになるのか?といいますと、「辞書をひいて、意味を調べても、そこに書かれている意味を憶えることができない」という脳の働き方を生成していることになるのです。

 人間の脳の働き方は、『記憶のソース・モニタリング』によって「行動」をおこしたり、ものごとを学習したり、短期や長期の「記憶」をおこないます。このことは、すでによくご存知のとおりです。

 『記憶のソース・モニタリング』とは、「辞書」を開いて目で見たとすると、目で見ている『意味』(の文章)が「長期記憶」として記憶されていれば、「同じだね」、「少し違うね」「こういう内容だったのか」などというように、「行動」のためにあらためて記憶されるでしょう。しかし、『意味』(の文章ないし、文)が「左脳のブローカー言語野の3分の2のゾーン」と「左脳系の海馬」に全く記憶されていなければ、「なんだ、これは?!」「こういうごちゃごちゃしたことを言ったって、一体、どう動けばいいのか?」と感じるばかりでしょう。何の「喜び」も感じないのです。「愛着のBタイプの子ども」が成長して「大人」になれば「このようなしくみになっているのか!!分かって嬉しい!」「このように取り組めばいいのねっ!!おもしろい!」と感じて、「右脳・ブローカー言語野の3分の2のゾーン」から「右脳・前頭葉」にかけて、快感ホルモンのドーパミンを分泌させます。

「愛着の不安定」な「乳児」が成人すると「うつ病」になる

 「愛着の不安定な乳児」の「Aタイプ」「Cタイプ」「Dタイプ」の子どもが大きくなり、成長すると、どうなるのでしょうか。

 「脳」は、「快感原則」によって働いています。「快感原則」は、「健康な言葉を生成する脳」も、「病気の言葉を生成する脳」も、同じように働くということをあらためてご記憶なさってください。

 「愛着の不安定な乳児」は、「負の言葉の意味」を学習しているのです。「負の言葉」の『意味』とは、「視覚」「聴覚」「触覚」のうちの『触覚』によって「安心を得る」という「行動の仕方」のことです。

 「物を食べる」「水を飲む」「口に物を入れる」などが『触覚』による「安心の仕方」です。

 「対象をイメージしてドーパミン」を分泌させる、という「安心の仕方」ではありません。「対象をイメージする」とは、「二・五次元」か「三次元」のイメージのことです。さまざまな角度や距離、方向から「見て」、その上で万人に共通する「内容」が「二・五次元」か「三次元」ということです。このときの「対象」は、遠くに離れていて、一定の距離が保たれています。

 『触覚』による「安心の仕方」とは「対象」とぴったり同化しているか、「クローズ・アップのイメージ」になります。

 なぜ、このようなことになるか?といいますと、「母親の共同指示」と「母親の喜びの表情」が「記憶」されていないからです。「不安定な愛着の関係」のもとで育った「乳児」は、「うつの母親」から「同調」や「同期」の「行動のリズム」が否定されたり、拒否されているので、言葉の『意味』を憶えるという脳の働き方が「生成のされようがない」のです。「Dタイプ」の「愛着の不安定」さの「乳児」は、「母親とかかわること」についてを拒否したり、敵意をあらわにしています。このことは、何を意味するのでしょうか。

「誰でもいいから殺傷する」は、「うつ病」の「うつ破り」が動機である

 「秋葉原通り魔事件」におきかえると、「社会と仕事の現実」が変わっているとき、その変化の中で新しくかかわることについての敵意や拒否になるのです。

 また、仕事や社会の構造的な変化の中で、「レクチュア」や研修会、あるいは、個人的に勉強して知的実力を新たに切りひらくということを拒否する、もしくは敵意をあらわす、というようにあらわれるのです。

 「誰でもいいから殺す」というのは、一体何でしょうか。当然「うつ病」の「うつ破り」の行動のことです。「うつ」とは、「快感にかんじること、楽しいこと」が「即、今すぐに手に入るべきだ」という「右脳系の働き方」のことでした。

 「会話」もなく、「コミュニケーション」もない、という「愛着の不安定な行動パターン」では、「号令や命令で動く行動」のための「記号としての言葉」も、「見えない」「聞こえない」という離人症が起こります。

 「ツナギがない。辞めろってか」という加藤智大(ともひろ)容疑者の「行動」は「うつ」がつくり出した「離人症」が生み出したものです。「うつ破り」とは、「即・快感を手に入れること」のための「行動」のことです。「バッド・イメージ」の記憶のとおりに、物か、人を壊してドーパミンを分泌させるという行動パターンになります。

 「どうせやるなら、大きな事件を」「ネット住人に気づかせてやるぞ」。


ゼミ・イメージ切り替え法 NEWSLETTER 第202号 一部掲載
秋葉原連続殺傷(通り魔)事件
日本人の「うつ病」の脳の働き方 ■特集・「秋葉原、無差別大量殺人事件」の原因は「うつ病」である
脳の働き方のメカニズム・病気の脳の働きの起源 ■「東京・秋葉原、無差別大量殺人」の脳の働き方
脳の働き方・言葉の生成のメカニズム 病気の言葉の『意味』の生成 ■「東京・秋葉原無差別殺人事件」
脳の働き方のメカニズム・日本人の病気の脳の働きの起源 ■「東京・秋葉原、無差別大量殺人」の病気の脳の働き方

連載
高村智恵子と倉橋由美子の恋愛と結婚
脳の働き方のメカニズム・死に至らしめる病「うつ病」
「東京・秋葉原、無差別大量殺人」の病気の脳の働き方
日本人の鬱病の脳の働きの起源 「鬱の力」
脳の働き方・病気の言葉の『意味』と行動 『鬱の力』
子どもの崩壊の起源「母の叱り方・父の叱り方」

参考:うつ病を治すカウンセリング

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ストレスを楽々のりこえる女性の「脳」を育てる!!が教育の人気の秘密です。女性は、脳の働きと五官覚の働き(察知して安心。共生して気持ちよくなる)とぴったりむすびついて、一生、発達しつづけます。


脳と行動の診断

人の性格(ものの考え方)が手に取るように分かる「心の観察学」

心の病いに感染させられない「人間の関係学」がステキに身につきます。

心の病いを救出する、心と心をつなぐ「夢の架け橋術」

相手に好かれる「対話術」がまぶしく輝くので、毎日が心の旅路。

相手の心の働きのつまづきが正しく分かって、「正しい心の地図をつくれる」ので、損失、リスクを防げます。

性格のプロフィールが分かるから正しく「教え・育て・導く」ができる本物の社会教育の実力が身につきます。


よくある質問

学校に行くとイジメがこわいんです。私にも原因ありますか?

怒りっぽいんです。反省しても、くりかえしています。治りますか?
脳と心の解説

「仕事・人生・組織に活かすカウンセリング」です。他者の心身のトラブルを解消できれば、自然に自分の心身のトラブルも解消します。

プロ「教育者」向けのカウンセリング・ゼミです。
人間は、誰でも「気持ちが安心」しないと正しく「ものごと」を考えられません。

「脳を最大限に発達させる」が教育の狙いと目的です。「指示性のカウンセリング」とは、 「一緒に考える」「共感し合って共に問題を解決する」カウンセリング術です。ものごとには「原因」(脳の働き方)があるから「結果」(心身のトラブル)があります。

「脳の健康を向上させる」、が教育のテーマと目標です。「指示性のカウンセリング」は、「考えたことを実行し、考えないことは実行しない」 という人間の本質を、最後まで励まし、勇気づけるカウンセリング術です。

脳の働きがつくる「人格=パーソナリティ」を育てる!が教育の方針です。
「指示性のカウンセリング」は社会性の世界(学校・仕事・社会の規範・人間関係のルール・合理的な思考)と正しく関わる!を一緒に考えつづけるカウンセリング術です。

ストレスに強い、元気に働く「脳」に成長させる!!が教育の魅力です。
「指示性のカウンセリング」は五官覚(耳、目、手、足、鼻)を正しく発達させて、言語の能力も最高に発達させるカウンセリング術です。


脳と行動の診断

「心の病いの診断学」が楽しく身につきます。

心の病いの予防と解消の仕方の「人間の理解学」が身につきます。

心の病いに気づける「人間への愛情学」が驚くほど身につきます。

「交渉術」の知性と対話の能力が目ざましく進化しつづけます。

相手の心の病理が分かって、正しく改善できるので心から喜ばれます。「心の診断術」

病気になるということ、病気が治るということが正しく分かる、最高峰の知性が身につきます。


よくある質問

朝、起きると無気力。仕事にヤル気が出ません。うつ病でしょうか?

仕事に行こうとおもうと、緊張して、どうしても行けません。治りますか?
バックナンバーの一部を9期後半分より、随時掲載していきます。
詳しくは下記をクリック
 ゼミ・イメージ切り替え法
 バックナンバー第7期まで
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入会も随時受け付けています。
入会と同時にご希望のバックナンバー等、ビデオ(DVD)学習で、学んでいただけます。


ゼミの見学、ゼミのバックナンバービデオ(DVD)試聴も無料です
ニューズレターと共にお送り致します。 詳しくは「入会案内」をご覧下さい。
ポルソナーレのゼミの様子をYouTubeに公開しました。

脳を発達させる日本語トレーニングペーパー 谷川うさ子王国物語

一部公開しました。
トップページ NEW! 年間カリキュラム 学習の感想と学習成果 「日本人の思考」と「谷川うさ子王国物語」と「グローバル化の恐怖」
学習内容(サンプル) 「言葉」 日本語の影響。その仕組みと感情、距離感、人間関係について
「脳を発達させる日本語トレーニング・ペーパー」の役立て方の資料
『分裂病の自己診断表と自己診断』
男性に嫌われない女性の話し方
女性に嫌われない男性のしゃべり方
を教えます

ポルソナーレのマスターカウンセリング

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クマ江
クマ江さん

《クマ江版・おそろし》
スクールカーストと
脳の働き方 百物語
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うさ子
谷川うさ子さんの
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「第20期」(平成30年・2018年)ゼミ、開講中!
受講生の皆様へ 平成25年冬版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ
受講生の皆様へ 平成25年5月5日 版 ポルソナーレからの真実の愛のメッセージ 詳しくはこちら!

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